※イメージ画像:『どうも、どうも イモトアヤコでございます。』集英社

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 バラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)でヒマラヤのマナスル(8163メートル)登頂に成功したお笑いタレントのイモトアヤコ(27)。番組内では、当初から「世界最高峰のエベレスト(8848メートル)登頂」が目的として掲げられていたが、8000メートル級を制覇したことで現実味が強まってきた。放送中でもディレクターに挑発されたイモトが「じゃあエベレスト登るわ!」と宣言しており、もはや既定路線のようだ。

 だが、視聴者や業界人から過激すぎる内容を心配する意見が上がっており、登山業界の一部からの反発もあるなど逆風が吹いている。さらには一部メディアが「エベレスト挑戦に暗雲か」と報じるなど、企画の行方は微妙なラインに立たされているようだ。

 これまでイモトは、キリマンジャロやモンブラン、マッターホルンなど世界の名だたる山々に挑戦しており、その気力と体力はアルピニスト顔負け。マナスルの登頂では、気圧の関係で痛みだした前歯を街に戻って抜いてから頂上を目指すという根性を見せつけた。このマナスルは、過去に挑戦した297人の登山家のうち53人(08年までの記録)が命を落としているという、死亡率17.85%の「死の山」として知られており、昨年9月にも雪崩によって12名の死者を出す大惨事が起きている。それを制覇したイモトであれば、エベレスト登頂が成功する可能性は十分にあるように思える。

 ネット上でも「絶対にエベレスト登ってほしい」「イモトなら絶対いける」と期待の声が高まっているが、その一方で「バラエティーでやる内容じゃない」「命の危険があることはやめてほしい」「万一、何かあったらどうするんだ」といった批判も起きている。

「昨今、業界内でさまざまな倫理問題があったこともあり『このまま続けさせるべきなのか?』という疑問は局内でも上がっている。しかし、イモトの登山企画は毎回高視聴率を叩きだし、マナスル登頂では20.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。その週のバラエティー部門で断トツのトップ、総合部門でも4位に入りました。全体的に視聴率が落ち込んでいる中で、このドル箱コンテンツを終わらせるという選択肢はテレビマンなら正直あり得ません。スポンサー受けも非常にいいですからね。高視聴率に沸いた局内でも『次はエベレストだ!』という声が高まり、もう後戻りできない雰囲気です。ですが、マナスルは運よく登頂できたものの、エベレストはどうなるか分からない。視聴率優先の判断が、大きなアクシデントにつながらなければいいのですが…」(制作会社関係者)

 また、一部の登山業界からもイモトの登山企画に対して「カネにものをいわせている」などといった批判が起きているようだ。

「プロの登山家にしてみれば、イモトの存在は面白くないに決まっている。イモトのマナスル登頂は登山をサポートする『シェルパ』が13人もつき、業界で名の知られた一流のガイドや医師らが同行するなど、あまりにも豪華な陣容でした。費用も数千万から億のお金が使われた。もちろん、事故を防ぐためには当然の対策で一般的なプロの登山家とは別物なのですが、この番組のせいで、登頂に失敗した登山家が『イモトでも登れたのに』などと言われたら立つ瀬がない。『素人の芸人でも登れる』となれば、登山家たちのスポンサー集めにも悪影響が出る。登山家たちは命を懸けてやっているのに、テレビ局が大金を注ぎ込んでお遊びをやられたらたまったものじゃないですよ。今のような演出で企画を放送するのであれば、ちゃんとフェアに登ってほしいという声が出るのも無理はない」(登山関係者)

 バラエティーの範疇を完全に超えた難しい問題ではある。実際、登山家にとってイモトは気になる存在らしく、彼女がマッターホルンを登頂した際に下山にヘリを使ったことに対し、アルピニストの野口健氏が「えっ、ヘリを使っていましたか(笑)。遭難、または体調不良がなければ通常では考えにくい選択肢」と一般ユーザーの質問に応える形で苦言を呈したこともあった。

 何より重要な安全面の不安はもちろん、プロ登山家のメンツを潰しているという意味でも、企画続行が正しい判断か微妙になっているイモトの登山。今後、日テレがどのような判断を下すのか注目したい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)