天皇杯は2回戦からJリーグ勢が登場する。
8日、10日、12日の分散開催だ。
今日は全国で6試合が組まれている。
関東圏なら「大宮×福岡大」も魅力的だった。
ただ会場がNACK5でなく熊谷陸上競技場。
夜行バスで戻ってきたばかりなのに遠征はしたくない。
そんな事情もあって駒澤陸上競技場に決めた。

「Jを目指すクラブ」はJFLの時から見ておきたい。
V・ファーレンをまだ見たことがなかった。
今季のJFLは現在3位につけている。
スタジアムの整備が「国体待ち」で来季の昇格はない。
2013年を目処にJ2入りを目指しているクラブだ。

ヴェルディは天皇杯と相性が悪い。
最後の勝利が2005年1月1日の磐田戦。
天皇杯決勝の栄光を最後に6連敗している。
対戦相手は大分、栃木、Honda、広島、ホンダロック、町田…。
これ全て初戦負けです。
天皇杯の醍醐味は番狂わせに尽きる。
今日の駒沢はかなり「ありそう」な条件が揃っていた。

駒澤陸上競技場は芝が冬枯れでちょっと寂しい雰囲気。
お客の入りは2,701人だから「そこそこ」かな?
長崎の声出しサポーターは15人くらい。
あとFC東京サポがチラホラ来ていた。
東京の仲間を応援しに来た…はずはない(笑)
長崎は佐藤由紀彦、近藤健一と元FC東京の選手がいる。
OBの健闘、ライバルの失態を期待しているんだろう。

東京ヴェルディ
GK 26 柴崎貴広  82.05.23 189/85 FC東京
DF 18 森勇介   80.07.24 175/74 川崎フロンターレ
   17 土屋征夫  74.07.31 177/73 大宮アルディージャ
   14 富澤清太郎 82.07.08 181/73 ベガルタ仙台
   37 中谷勇介  78.09.22 178/67 京都サンガ
MF  5 佐伯直哉  77.12.18 173/67 ジェフ千葉
   21 小林祐希  92.04.24 181/68 東京ヴェルディユース
   13 井上平   83.04.11 175/66 法政大
   10 菊岡拓朗  85.06.30 163/62 水戸ホーリーホック
FW 11 マラニョン 84.06.19 175/74 ヴァンフォーレ甲府
   19 阿部拓馬  87.12.05 171/68 法政大

−−−−阿部−−−-マラニョン−−−−
−−−菊岡−−−−−−井上−−−
−−−−−小林−−佐伯−−−−−
−中谷−−富澤-−−土屋-−−森−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−柴崎−−−−−−−

■リザーブ:
GK 34 新井章太  88.11.01 185/77 国士舘大
DF  2 福田健介  84.07.24 174/70 明治大
DF 20 深津康太  84.08.10 181/75 町田ゼルビア
DF 23 高橋祥平  91.10.27 180/70 東京ヴェルディユース
MF 22 和田拓也  90.07.28 170/63 東京ヴェルディユース
FW 25 平本一樹  81.08.18 180/75 横浜FC
FW 41 巻誠一郎  80.08.07 184/81 深圳紅鑽

V・ファーレン長崎
GK  1 近藤健一  83.04.02 186/84 FC東京
DF 20 杉山琢也  83.01.01 168/63 アルテ高崎
    3 藤井大輔  86.10.15 180/74 ザスパ草津
   24 崔宰銀   88.06.08 183/78 仁川ユナイテッドFC
    7 持留新作  88.04.29 178/72 愛媛FC
MF  5 中井義樹  83.01.04 181/75 佐川印刷SC
    6 山城純也  85.06.19 156/60 サガン鳥栖
   10 佐藤由紀彦 76.05.11 177/70 ベガルタ仙台
   16 岩間雄大  86.02.21 178/69 アルテ高崎
FW 13 有光亮太  81.04.21 174/68 アビスパ福岡
   15 水永翔馬  85.05.22 180/80 ホンダロック

−−−−水永−−−−有光−−−−
−−岩間−−−−−−−−佐藤−−
−−−−−中井−−山城−−−−−
−持留−-崔宰銀-−藤井−−杉山−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−近藤−−−−−−−

■リザーブ:
GK 21 吉永哲朗  84.12.19 180/74 FC琉球
DF  4 橋本真人  89.10.12 190/80 栃木SC
MF 18 松岡康暢  86.05.02 168/62 ロアッソ熊本
FW  8 熊谷智哉  88.03.25 180/72 ジェフリザーブス
FW  9 中山悟志  81.11.07 184/78 水戸ホーリーホック
FW 11 神崎大輔  85.02.02 177/67 ヴァンフォーレ甲府
FW 17 山内祐一  84.10.26 163/60 ロアッソ熊本


ヴェルディが立ち上がりから試合の主導権を取る。
技術、攻守の「戦闘力」が明らかに違った。
長崎のDFはぎりぎりの対応が多く、
奪ってもつなげずに蹴り返すことが多い。
4−0、5−0の試合になると直感した。

9分、長崎は杉山琢也が中盤から右に叩く。
佐藤由紀彦が外からスペースに切れ込んで中に折り返す。
有光亮太は1タッチで後に落とす。
水永翔馬がエリア右角からシュートを狙ったけど枠外。
これが長崎のファーストシュートである。

11分、長崎は山城純也が右へ斜めのスルーパスを通す。
杉山琢也が縦にドリブルで切れ込む。
杉山はエリア右で切り返して左足シュートを狙った。
しかしGK柴崎貴広の正面で弱い。

ヴェルディの好機は長崎以上にあったけど割愛。
長崎が立て続けにいい形を作る。
右SBの杉山琢也は攻撃型の選手。
抜け出し、重心の低いドリブルが高水準である。
佐藤由紀彦とのコンビプレーはどうやら長崎の狙いだ。

16分、長崎は中井義樹が縦に当てる。
岩間雄大が左中間から切れ込んで中に当てる。
佐藤由紀彦も仕掛けてファウルを受けながら後ろに落とす。
岩間が走り込んでゴール正面から右足ループを沈めた!
<V・ファーレン長崎 1−0 東京ヴェルディ>
岩間雄大はプレーがダイナミック。
身体のバネ、切れ、強さが素晴らしくて驚いた。
身体能力的にはJに来ても目立つレベルである。
去年までアルテ高崎でプレーしていた。

私の予想と相反して長崎が先制する。
彼らは守備に脆さがあったけど、攻撃に転じると怖い。
チャレンジャーが先制すれば試合は面白くなる。
望みどおりの展開だ(笑)

21分、ヴェルディは右CKを菊岡拓朗が右足で低く入れる。
富澤清太郎のボレーは至近距離で決定的だった。
GK近藤健一がよくブロックしたけど…。
マラニョンがこぼれ球を押し込んだ。
<東京ヴェルディ 1−1 V・ファーレン長崎>
セットプレーの失点は勿体ない。

23分、ヴェルディは小林祐希がパスカットから縦に当てる。
菊岡拓朗はエリア左にスルーパスを通す。
マラニョンが抜け出して左足シュートを狙ってGKの正面。

24分、ヴェルディは富澤清太郎に警告。
佐藤由紀彦に対するラフなタックル。

33分、長崎は中盤で山城純也と佐藤由紀彦がパス交換。
ヴェルディが中に絞って4人がプレスに来る。
山城はこれを見て右に大きく開く。
杉山琢也がスペースを持ち上がって中に折り返す。
水永翔馬が狙ったシュートはGKの正面。

34分、ヴェルディは佐伯直哉が右にサイドチェンジ。
森勇介が中に切れ込んで阿部拓馬と前後のワンツー。
森はリターンを受けると右足ミドルを狙った。
これはDFがブロックして枠外。

37分、ヴェルディはエリア右外からのFKを菊岡拓朗が入れる。
阿部拓馬が正面からフリーでヘッドを合わせてゴールイン!
<東京ヴェルディ 2−1 V・ファーレン長崎>
またセットプレーだ。

44分、長崎は有光亮太に警告。主審に対する異議。

ヴェルディの1点リードで前半45分が終了する。
試合は後半。
45分、ヴェルディは井上平→平本一樹。
布陣がこう↓
−−−−阿部−−−-マラニョン−−−−
−−平本−−−−−−−−菊岡−−
−−−−−小林−−佐伯−−−−−
−中谷−−富澤-−−土屋-−−森−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−柴崎−−−−−−−


46分、長崎のカウンター。
岩間雄大が中央を持ち上がってエリア左に落とす。
水永翔馬が右足のシュートを狙って枠上。

53分、ヴェルディは小林祐希が右サイドにスルーパス。
菊岡拓朗がドリブルで仕掛けて中に戻す。
小林はリターンを受けて右足ミドルを狙った。
枠内だったけどGK近藤健一が抑える。

54分、ヴェルディは左CKを菊岡拓朗が右足で入れる。
土屋征夫が正面からヘッドを合わせてゴールイン。
<東京ヴェルディ 3−1 V・ファーレン長崎>
ヴェルディはセットプレーから効率よく得点を重ねる。
菊岡拓朗の精度が高いキックは有効だ。
これで試合の趨勢が一気にヴェルディへ傾く。

56分、ヴェルディのカウンター。
土屋征夫が左サイドに当てる。
佐伯直哉はファウルを受けながらヘッドを落とす。
主審がアドバンテージを取ってプレー続行。
阿部拓馬が左サイドから一気にドリブルで切れ込む。
阿部はエリア内まで持ち込んで右に短く落とす。
マラニョンが右足で「プレゼントパス」を押し込んだ。
<東京ヴェルディ 4−1 V・ファーレン長崎>

57分、長崎は山城純也→神崎大輔。
59分、ヴェルディは佐伯直哉→高橋祥平。
布陣がこう↓
−−−−阿部−−−-マラニョン−−−−
−−平本−−−−−−−−菊岡−−
−−−−−高橋−−小林−−−−−
−中谷−−富澤-−−土屋-−−森−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−柴崎−−−−−−−


68分、ヴェルディは小林祐希が右足で絶妙スルーパス。
菊岡拓朗はエリア右に抜け出してシュート。
GK近藤健一がこれを一旦ストップする。
しかし菊岡はセカンドを自らキープ。
切り返してGKを外すと左足で悠々と叩き込んだ。
<東京ヴェルディ 5−1 V・ファーレン長崎>

69分、長崎は崔宰銀が決定機阻止で一発レッド。
マラニョンに抜け出されて、後ろから抱え込んで止めた。
これでヴェルディが更に加速する。

70分、ヴェルディのFKは右中間で距離が約25m。
小林祐希が左足のライナーで直接狙う。
鮮やかに対角のネットへ突き刺さした。
<東京ヴェルディ 6−1 V・ファーレン長崎>

72分、ヴェルディは高橋祥平が左に開く。
平本一樹がドリブルで持ち上がって左足で折り返す。
阿部拓馬がフリーでヘッドを合わせてゴールイン。
<東京ヴェルディ 7−1 V・ファーレン長崎>

72分、ヴェルディは土屋征夫→巻誠一郎。
ヴェルディはこれで交代カードを使い切る。
布陣がこう↓
−−−−マラニョン−−−−巻-−−−−
−−平本−−−−−−−−阿部−−
−−−−−菊岡−−小林−−−−−
−中谷−−富澤-−−高橋-−−森−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−柴崎−−−−−−−


73分、長崎は中井義樹→熊谷智哉。
布陣がこう↓
−−−−−−−水永−−−−−−−
−−熊谷−−−−−−−−有光−−
−−−−−神崎−−佐藤−−−−−
−持留−−岩間−−藤井−−杉山−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−近藤−−−−−−−


78分、ヴェルディはマラニョンが前線で相手CBと奪い合い。
マラニョンは球際で競り勝って左にラストパスを送る。
巻誠一郎が右足で狙って決定的だった。
しかしシュートは左ポストに嫌われる。
巻誠一郎が決めればちょっとしたニュースだった。
このシュートミスにサポーター、記者席からため息が漏れる。

81分、長崎は佐藤由紀彦→山内祐一。
長崎の最終布陣がこう↓
−−−−−−−水永−−−−−−−
−−熊谷−−−−−−−−山内−−
−−−−−神崎−−有光−−−−−
−持留−−岩間−−藤井−−杉山−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−近藤−−−−−−−


ヴェルディも最後は無理をしない。
試合はそのまま7−1でタイムアップ。
ヴェルディが派手な試合で6年ぶりの天皇杯勝利を飾った。

ヴェルディは持ち味を存分に発揮した。
ドリブルで仕掛けられる選手が多い。
筆頭格はマラニョン。
菊岡拓朗、後半から入った平本一樹もドリブル自慢だ。
あと右SBの森勇介が盛んにに仕掛けていた。
長崎は両CBのドリブル対応がまずい。
簡単に重心を崩される。横にずらされるとボールに足を出せない。
手で止める、ファウルで止めるしか対処の方法が無かった。
セットプレーの4失点は必然だったとも言い得る。

ヴェルディえ嬉しかったのは小林祐希の活躍である。
ボランチの位置から攻撃によく絡んだ。
スルーパスに攻撃参加。そしてフリーキック。
去年のクラ選見せた持ち味を、上でも発揮できていた。

最後に両監督の会見です。
★佐野達・V・ファーレン長崎監督:
●試合の感想
J2屈指の得点力を誇るヴェルディが相手なら、
ボックスに全員引く、ブロックを作って固めるのがセオリーだろう。
でも我々は真っ向勝負で戦いました。
先制点はいい形で取れたけど、
セットプレーが全てだった。特に3点目が痛かった。
こういう相手にセットプレーで失点すると苦しい。
せっかく先制したのに、すぐ追いつかれてしまった。
そこでゲームコントロールができなければ格上とは戦えない。
我々は13年にJリーグ入りを目指しているけれど、
真っ向からぶつかったことで課題が分かった。
●右サイドからの崩し
我々はボールをつなぎ、人数を掛けて崩したい。
MFが中に入って、サイドバックが攻撃に絡む。
それはJFLで普段やっていること。今日もその通りできた。
●守備
攻めへ人数を掛けるのに、奪われた後の切り替えが悪かった。
簡単にマラニョン、阿部へつながれていた。
奪われることは覚悟しているけど、切り替えをもっと早くしないと。
GKと両CBの差も大きかった。
●セットプレー
Jリーグを数試合見て、警戒してた部分です。
菊岡拓朗は水戸時代からキックの精度が高かった。
土屋、富澤もウチのCBは止められない。
ディフェンシブサードでファウルしないようにと伝えていた。
ただ分かっていても、ファウルでしか止められなかった。

★川勝良一・東京ヴェルディ監督:
●試合の感想
初戦は難しいといえ、先制されたのは良くない。
落ち着いて点を取っていったようにも見えるけれど、
専門的に見れば緩いところが多々あった。
3点くらいでも抑えるところを抑えるサッカーをしたかった。
サポーターにゴールシーンを見せられたことは良かったけど…。
今後のリーグ戦を考えると、課題を隠したら何も残らない。
勝ったのに何故そんな渋いのかと思われるだろうけど、
締めるべきところを締めて、
1週間でちゃんとしたサッカーができる状態に戻したい。