クラレンス・セードルフはもはやミランに所属する一人のフオリクラッセ(けた外れの選手)ではなくなった。彼のことをよく知っている人ならば、その洗練された教養とビジネス能力を称賛していることだろう。複数の言語を操り、文学を愛すミランの“長老”は、いまやジャーナリストへも変貌を遂げた。宣伝をすることなく、騒ぐこともなく、スリナム出身のセードルフは数カ月前から世界でもっとも有名な新聞、アメリカ『ニューヨーク・タイムズ』にコラムを掲載している。

「セードルフが答える」と題されたコラムで、ミランの背番号10は毎月(偶然にも)10個の質問に答えている。その内容は、サッカー界だけにとどまるものではない。両者の協力関係が始まったのは、偶然にも同紙のジェフリー・マーカス氏がセードルフにインタビューをしてからだった。2人はすぐに意気投合し、リーグ戦が終わっても続く予定のコラム掲載の話が持ち上がったのは、ごく自然なことだった。シーズン後は、南アフリカでのワールドカップについてセードルフが語ることになっている。

セードルフが扱うテーマは様々だ。スポーツはもちろん、暴力や人種差別にも踏み込んでおり、サッカー選手としての思い出やピッチにおけるテクノロジーについても語っている。彼のコラムは素晴らしい成功を収め、多くの質問が寄せられるようになり、選別しなければいけなくなるのは避けられないことだった。どうやら、“記者”セードルフも、違いをつくっているようだ。