スペイン紙“ムンド・デポルティーボ”が主催する8歳から16歳の子供達を対象としたナイキ・キャンプに2日間、コーチとして参加したセスク・ファブレガスは2日間のコーチを終え、最後の休暇をバルセロナの実家で過ごしているが、同紙のインタビューでバルセロナに移籍した元チームメイト、ティエリ・アンリの素顔を明かした。彼の言葉からアンリのピッチ内外での素顔、メンバーから慕われていた存在であること、そしてバルサに来る前からバルサへの愛情を持っていことがうかがえる。

パリの決戦から今日まで
 アーセナルがチャンピオンズリーグ決勝でバルセロナに敗れてからの1シーズン、セスクはアンリのアーセナルでの心の動きを彼なりに分析。「サン・ドニのロッカールームでは自身の去就について僕らに何も言わなかった。でも、それから2日してアンリの契約延長が発表された。チャンピオンズリーグのタイトルはアーセナルに唯一欠けているタイトルだし、アンリはアーセナルでそのタイトルを獲りたかったんだ。でも、副会長のデヴィッド・デインが突如クラブを退団したりクラブの中に動きがあって、彼にとって何がベストかを考えていたんだと思う。アンリはアーセナルでプレーし続けることだけを望んでいた。おそらく、アーセナルはアンリが残るようベストを尽くしたし、この夏に出て行くとは思っていなかったと思う。でも、アンリは30歳になるし、バルサからのオファーに“ノー”とは言えなかったと思うよ。大きなチャンスだからね」。

メンタル部分での支え
「アンリは、『あーしろ、こーしろ』って言うようなアドバイスを送るタイプじゃない。賢い人だからね。少し調子を崩していたりすると、メンタル的に元気づけてくれるよう話をするタイプ。彼の言葉にはいつも助けられたよ。その気にさせるのがうまいんだ。ピッチの外でもそう。誰かが何か問題を抱えていたりするのを彼は顔をみただけですぐに見抜いてしまうんだ」。

いたずら好き
「例えば、誰かがセンスの悪い服を着ていたりすると、みんなそれを見せるようにロッカールームで一段高いところに立たせるんだ。それに、チームメイトの車の鍵を隠しているところを見たこともあるよ。ちょかいを出したりするのが好きなんだよ」。

試合の前にはマイケル・ジャクソン
 セスクの知っている限り、アンリはそんなにゲンをかつぐ選手ではないようだが、試合の前に必ずすることがあるという。「ティティはアップに入る前、ロッカールームですごい大音量でマイケル・ジャクソンの曲を流んだ。しかも、ラジカセでね」。バルサでもそうするののだろうか?

バルサは素晴らしいクラブ
 約4年前、2003年9月にロンドンへと旅立ったセスクは、アーセナルで2006-07シーズンのプレミアリーグ最高の若手選手と言わしめるほど急成長を遂げている。アーセナルでのトップチームではたった3試合の出場のみに留まったが、ロッカールームでセスクをみんなに紹介してくれた時のアンリの言葉は忘れられないという。「君はバルセロナから来た。素晴らしいクラブからね」。

ティティとの友情
 ティティとセスクはチームメイトから友人へとその友情を育んでいった。「ティティ、ビエラ、ベルカンプ、カヌー、ピレス、リュングベリといった偉大な選手とロッカールームを共有するなんて最初は信じられられなかったよ。アンリを含めてみんなには感銘を受けたし、それにベンゲル監督も素晴らしい。ティティとはその後、友人に変わっていったんだ」。

アンリのリーダーシップとプロ精神
 勝者のキャラクター、そしてリーダーシップは、チームで何かうまく行かない時に発揮されるとセスク。「ロッカールームでの会話は監督がいる、いないに関わらずある。あとは彼のプロ精神だね。例えば10時半から練習が始まるとしても、ティティは30分前にはやってきて練習を始めているんだ」。