先日までオランダで行われていたU21欧州選手権は、決勝でセルビアを破った地元オランダが2連覇を成し遂げた。
 同選手権は来年の北京五輪サッカー競技のヨーロッパ予選を兼ねていた。欧州枠として「5」が用意されており、決勝進出2チームの他、ベスト4に残ったイングランドとベルギーが五輪出場権を得ている。そして残る一つの椅子をめぐって、予選グループ敗退国中成績のよかったイタリアとポルトガルの間で決定戦が行われ、延長・PK戦を経てイタリアが欧州代表最後の切符を辛くも手にした。

 U21伊代表監督は、かつて名FWとしてラツィオやフル代表などで活躍したピエルルイジ・カシラギ(38)。サッカー大国の若手タレントを預かる重職に就任して10ヶ月だが、何とか難関を乗り越えた。それでも伊サッカー協会との監督契約は来年の6月末までで、8月に開催される五輪本番の指揮をとる確証はいまだない。カシラギ監督が当初目指していた「4−1−4−1」は機能せず、芳しくない試合内容に批判もある。出場権獲得に嬉しさを見せつつも、不安は隠せない。
「私にとってオリンピックとは、今までTVで見るものでしかなかった。その舞台へ立つことは、スポーツをするすべての者にとって最高の出来事だよ。出場権を獲得した監督が行かない、などということはあってほしくないが」

 一方で期待されるのが、五輪ルールの「オーバーエイジ枠」適用だ。伊協会としては今大会代表組をそのまま五輪本番でも編成したい意向のようだが、世界王者を一人も合流させないというのはW杯優勝国イタリアの世論が許さないだろう。3人のオーバーエイジ枠招集予想として、GKブッフォン、DFカンナバーロ、マテラッツィ、MFガットゥーゾ、FWデル・ピエロ、ジラルディーノ、トッティの名前がすでに上がっている。

 今回出場を決めた5カ国の選手らは、いずれも自国リーグや外国リーグに飛び出し、すでに実力を見せ始めている。五輪本番まで1年。その間のさらなるレベルアップは確実。ぜひ北京の舞台で彼らと対戦する日本五輪代表を見てみたいものだ。