折り折りの「反佐藤」勢力を封じ込め、7年8カ月という戦後最長の政権維持を誇った“不倒”の佐藤栄作が倒れた。政権の座を降りて3年足らずの昭和50年(1975年)5月19日、東京・築地の料亭『新喜楽』である。当時、その場に同席していた大物代議士の証言が残っている。「夕方からの親しい政財界人が佐藤を囲んで懇談する“長栄会”の場だった。佐藤元首相のそばに福田赳夫(のちに首相)がいて、佐藤は『君、核防止条約は頼むよ。