TBSドラマ『半沢直樹』の最終回は9月22日に放送され、24日にわかった関東地区の平均視聴率は42.2%だった。平成でトップのお化けドラマといえよう。
 そのため、TBSホールディングスの株価もさぞ急上昇と思われたが、逆に下がってしまったのだ。初回が7月7日に放送された『半沢』だが、翌7月8日のTBSHDの終値は1336円だった。だが、最終回の視聴率が出た24日の終値は一時前日比3円安の1311円に落ちている。

 なぜなのか。ある証券会社のチーフストラテジストはこう言う。
 「番組の間に流すスポットCMの増加は期待できるが、TBSは作品やスピンオフ作品の映画化といったマルチメディア展開はあまり上手ではない。そのため、一番組の成功だけでは買いを入れにくい」
『半沢』だけのヒットでは、株価上昇の要因とならないのだ。

 そこで、視聴率と株価の動きを分析してみた。
 まず、初回(7月7日)19.4%、2回(7月14日)が21.8%、3回(7月21日)が22.9%と視聴率は右肩上がり。だが、TBSHDの株価は反応せず、4〜5回目まで1300円〜1350円辺りを乱高下している。
 7回(8月25日)では30%に達したが、翌26日は終値1295円で前日比13円安と元気がない。さらに、8回(9月8日)32.9%、9回(9月15日)35.9%、10回(9月22日・最終回)には42.2%という驚異的な数字をはじき出した。しかし、9月9日分の終値は1281円、17日分が1295円、そして24日は1311円とほとんど動きがない。
 「TBSの7月クールは『半沢直樹』というビッグヒットがあったが、他の『名もなき毒』『ぴんとこな』『なるようになるさ』等がいずれも10%前後と失速している。さらに、8月は視聴率万年4位を抜け出して3位になったが、これも一時的なものにすぎないという低評価です」(テレビ業界関係者)

 株価の“倍返し”とはいかず、TBSHDに立ち込める霧は濃いままだ。
(編集長・黒川誠一)