中国電力企業連合会はこのほど、2015年の中国の電力消費量が6億200万―6億6100万キロワット時となり、第12次五カ年計画期間中は年間平均8.8%のペースで増加するとの予測を示した。また今年の電力事業向け投資額を前年並みの7393億元とする予想を示した。

写真拡大

 <中国証券報>中国電力企業連合会はこのほど、2015年の中国の電力消費量が6億200万―6億6100万キロワット時となり、第12次五カ年計画期間中は年間平均8.8%のペースで増加するとの予測を示した。また今年の電力事業向け投資額を前年並みの7393億元とする予想を示した。

 同連合会は、電力需要の伸びは低下が予測されるものの、ひっ迫する電力供給に緩和がみられないとも指摘。現在は建設中の発電施設の規模が著しく不足している上、火力発電施設への建設意欲が下がっており、今後数年は火力発電施設の新規稼働が不合理に減少する可能性があるという。電力需要の伸びを満たすことができず、第12次五カ年計画中は電力需給の矛盾がはっきりとあらわれるとみている。

◆発電施設向け投資額は6%減か

 同連合会の予測によれば、2012年の中国国内の電力事業向け投資は実行ベースで7300億元超。うち発電施設向け投資は前年比約5.7%減の3500億元となる見通し。11年は電力事業向け投資が実行ベースで7393億元、発電施設向け投資が前年比6.5%減の3712億元だった。

 発電施設向け投資の減少は、建設認可が滞っていることに加え、低収益性や企業の投資能力不足が火力発電向け投資を大幅に抑制していることが要因だ。一方で、水力発電、風力発電などに代表されるクリーンエネルギー投資は急速に増加している。

 大唐集団は、2011年に2回投資計画を見直し、実際に行った投資は年初計画より10.9%少なかった。火発投資が減少する一方で、クリーンエネルギー投資は増え、同社の同年の投資総額に占めるクリーンエネルギー投資の割合は63%となった。

 同連合会によると、2012年に新規着工される発電装置の容量は8500万キロワット。うち火力発電施設は前年比5000万キロワット減、水力発電施設は同2000万キロワット増、原子力発電施設は同100万キロワット増、風力発電施設が同1400万キロワット増、太陽光発電施設が同100万キロワット増となる見通しだ。

 火力発電投資が減少し、クリーンエネルギー、特に水力発電投資が増えるというのが第12次五カ年計画、さらには第13次五カ年計画中の発電施設投資の傾向になるとみられる。同連合会によれば、中国の発電施設総容量は2015年までに2600万キロワット増え、増加量の内訳は水力発電施設が1700万キロワット、火力発電施設がマイナス500万キロワット、ガス発電施設が1000万キロワット、太陽光発電施設が300万キロワット、バイオマスエネルギー発電及びその他が200万キロワットとなる見通しだ。

◆電力不足、5000万キロワットに拡大

 同連合は以前に、2012年の中国の電力消費量が前年比9.5%の増加となり、伸び率は前年に比べて2ポイント下がるとの見通しを示した。全国の電力需給は総体的にひっ迫が続き、地域的、一時的、季節的な電力不足が依然として目立って、最大で3000―4000万キロワットの電力不足になると報告している。

 また26日開催された2012年の経済情勢、電力発展分析、電力発展予測に関する会議で同連合会は、2013年の中国の電力消費量が前年比8.5%増加し、全国の電力不足量が5000万キロワットに増えるとの見通しを示した。電力消費量の年間平均増加率は、第12次五カ年計画中が8.8%、第13次五カ年計画中が5.6%となり、電力供給のひっ迫が一段と突出する可能性があるとみている。

 なぜ電力需要の伸びが低下する中で、電力不足が拡大するのか。同連合会によれば、発電施設の建設事業が著しく減っている上に、火力発電施設に対する建設意欲が低下していることがその主因。今後数年は火力発電施設の着工規模が不合理に速いペースで低下し、電力需要の伸びに対応できない可能性があるという。

 中国は経済・社会発展に伴う電力需要を満たすべきであると同時に、一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーに占める割合を15%程度にするというエネルギー構造の目標を実現しなければならない。同連合会は、発電施設の建設と新規稼働の規模を確保するためにはプロジェクト審査のペースを速めるべきだと提案する。とりわけ大中型の水力発電プロジェクトの早期着工、安全を確保した上での原子力発電事業の効率的な発展、高効率火力発電施設と天然ガス発電施設の着工――を進めるべきだと強調した。

◆第1四半期の電力消費量は6―7%増へ

 同連合会の副秘書長で、業界発展企画部の主任である欧陽昌裕氏は、今年第1四半期の電力消費量が前年同期比6―7%の増加となり、年間で最も低い伸びにとどまるとの予測を示した。

 2011年第1四半期の電力消費量は前年同期比12.7%増の1兆911億キロワット時となっており、同連合会の予測に基づくと、今年第1四半期は前年同期のほぼ半分の伸びに落ちることになる。アナリストによれば、1月の電力消費量の前年同月比増加率がマイナスとなったのは春節連休が要因だったが、第1四半期の増加率の大幅な低下は、経済成長の減速が顕著に表れることを意味する。

 欧陽氏は、工業活動の回復に伴い、第1四半期の電力消費量は月ごとに回復するとの見通しを示す。1月はマイナス成長だったが、1―2月は5―6%の伸びに回復し、1―3月は6―7%になるとみている。また中国電力企業連合会は、今年の全国の電力消費量が前年比9.5%の増加となり、伸びは前半に低く、後半に拡大すると見通している。

 同連合会によると、電力消費の伸びは減速するものの、現在の状況から判断すると、2012年は増水期前に水力発電施設向けの水源が不足する可能性がある上、発電用石炭の局地的、短期的な矛盾が続くとみられ、電力供給の外部環境は依然として厳しい状態が続く。総合的に判断すると、2012年の電力需給はなお総体的にひっ迫し、地域的、一時的、季節的な電力不足が続き、最大で年間3000万―4000万キロワットの電力不足となる可能性がある。(編集担当:浅野和孝)