リーナス・トーバルズの公式サイト「The homepage of a WWW-illiterate」

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パソコンには、「OS」と呼ばれる基本ソフトウェアがインストールされている。OSは、Operating Systemの略で、ハードウェアとソフトウェアの受け渡しをする重要な役割を担う基本ソフトウェア。Officeソフトなどのアプリケーションを使えるのもOSがあるおかげだ。OSはパソコンにとって必要不可欠な存在で、OSがなければパソコンはタダの箱に過ぎないと言っても過言ではないであろう。そんなOSには、WindowsやMac OSなどのほかに、「Linux(リナックス)」と呼ばれるOSが存在する。

マイクロソフトのWindows VistaやアップルのMac OSなどは一般の人にも知られている代表的なOSだが、これらのOSとLinuxの大きな違いをひとつあげるとすれば、LinuxはGPL※と呼ばれるライセンスのもとに誰でも自由に改変・再配布できる点だ。いうなれば、WindowsやMac OSがメーカーの所有物とすれば、LinuxはユーザーのモノといえるOSなのだ。
※GNU General Public Licenseの略称。著作権を保持したまま、誰でも改変・再配布を自由に行えるソフトウェア

このような革新的なOSであるLinuxは、どのようにして誕生したのだろうか? 開発者であるリーナス・トルーパーズ(Linus Benedict Torvalds)氏の半生とともに、Linuxの歴史をみてみよう。

■Linuxを大学時代に開発
リーナス・トーバルズ氏は1969年12月28日、フィンランドの首都ヘルシンキで産声をあげた。父はニルズ・トーバルス氏、母はアンナさんで、両親は1960年代にヘルシンキ大学の左翼活動家であった。祖父は、詩人のオーレ・トーバルス氏。ちなみに「リーナス」という名前は、アメリカの著名な量子化学者 ライナス・ポーリング氏に由来する。

リーナス・トーバルズ氏は1988年、ヘルシンキ大学に入学してコンピュータ科学を専攻。1990年にUNIXとC言語を学び、1991年にUNIX互換のOS「Linux(Linus's Minix)」を開発して一般公開する。その後、Linuxに関する論文「Linux: A Portable Operating System※」を執筆、計算機科学の修士号を取得した。ちなみに、Linuxのマスコットとして知られているペンギンは、リーナス・トーバルズ氏の個人的なマスコット「Tux(タックス)」をイメージして使われている。
※移植性の高いオペレーティングシステム

リーナス・トーバルズ氏は、1997年2月からコードモーフィング・マイクロプロセッサの開発で有名なトランスメタ社で働いていたが、2003年6月からオレゴン州ビーバートンにあるOpen Source Development Labsに移籍し、OSDL特別研究員(フェロー)となった。

リーナス・トーバルズ氏は、アメリカのカリフォルニア州サンノゼで長年生活していたが、2004年6月にオレゴン州ビーバートンに家を購入し、そこに移住する。家族構成は妻のトーベさんと3人の娘さんに、猫のランディ。トーベさんは空手のフィンランド選手権で6度の優勝経験を持つ奥様だ。

リーナス・トーバルズ氏は現在、公式のLinuxカーネルの最終的な調整役を務めている。


■LinuxとはどういうOSか
Linuxは、大学や企業を中心に普及しているOSで、Linuxをインストールしたコンピューターをサーバーとして使用しているところもあるほどだ。

Linuxは、もともとカーネル※のみを指す呼称であるが、カーネルにGNUプロジェクトのソフトウェアをパッケージ化して配布を可能したものも「Linux」と呼ばれている。今日入手できるLinuxの中には、いくつかの種類があり、WindowsやMac OSのようにグラフィカルなユーザーインターフェイスを利用できるLinuxも登場している。
※OSの基盤となる中核ソフトウェア

リーナス・トーバルズ氏がLinuxを開発した当時は、CPUにIntel 80386を搭載したIBM PC/AT互換機が世の中に登場した時期にあたる。同じ32ビットのコンピューター環境であるワークステーションやミニコンピューターと比較すると、IBM PC/AT互換機は安価で容易に入手ができた。ところが、当時の商用UNIXは非常に高価であり、UNIX互換のMinixも教育向けという立場から機能的な面で満足できるOSでなかった。このことがLinuxを開発するキッカケとなった。

初期のLinuxは、OSとしての基礎的な機能しか持ち合わせていなかったが、入手が容易で自由に改変できる点が多くの人々に受け入れられ、Linuxは加速度的な高機能化を遂げることになる。

●「Linux」の読み方
Linuxは、様々な読み方をされているOSでもある。英語発音のリナックスを筆頭にライナックス、リーナクス、リヌックス、リヌクス、リーヌークスなど、ほかのOSとは比べものにならないほど多い。リーナス・トーバルズ氏は、スウェーデン系フィンランド人であることからスウェーデン語の発音「リーヌークス」と表記するのが正しいとおいう意見もある。

読み方について開発者であるリーナス・トーバルズ氏は、「どのように呼んでもらっても構わない」としており、過去に出演したドキュメンタリー番組では、「リナックス」という読み方を使っている。


●Linuxは一般に普及しているか
Linuxは無償で入手できるOSだが、一般ユーザーへの普及はどうであろうか?

Webアクセス解析のサービスを提供するW3Counterが発表した結果によると、Linuxのシェアは2008年2月29日現在、2.01%となっている。1位のWindows XPに比べると1/39程度のシェアだが、LinuxとWindows 98がほぼ並んでいた(2007年8月30日の調査)ことを考えると、最近の5ヶ月で逆転したことになる。

表1.OSの種類とシェアの関係
順位OSの種類シェア
1Windows XP79.12%
2Windows Vista6.48%
3Mac OS X4.95%
4Windows 20003.29%
5Linux2.01%
6Windows 981.05%
7Windows 20030.73%
8Windows ME0.38%
9Windows NT0.06%
10WAP0.03%
※W3Counter調査。2008年2月29日現在

※参考
Global States(英文) - W3Counter

Linuxの普及は、コンピューターだけにとどまらず、携帯電話や携帯情報端末(PDA)などの小型端末向けの組み込み型OSとしても浸透しつつある。


■Linuxと歩む人生
Linuxは、世界的に有名なOSとなったが、開発者であるリーナス・トーバルズ氏の社会的な認知度はどれぐらいなのだろうか? 彼にとってのプログラミングとは何なのか?

●最も優秀な経営者の一人
2001年にリチャード・ストールマン氏は、武田賞を坂村健氏とともに受賞している。海外では、2000年のTIMEにインターネット投票で「今世紀の100人」の17位にランクインされ、2006年のTIMEでは「60 Years Of Heroes」にも選ばれている。経営者としても注目されており、2005年のBusiness Weekでは、最も優秀な経営者の一人に選出されている。
※武田賞:財団法人 武田計測先端知財団がノーベル賞100周年にあたる2001年に設立した顕彰制度。人類に富と豊かさ・幸福をもたらす工学知の創造とその活用において、顕著な業績をあげた人に対して与えられる。


●プログラミングは「楽しみ」
リーナス・トーバルズ氏は、自叙伝「Just for Fun」※の日本語版となる「それがぼくには楽しかったから」デイビッド・ダイヤモンド著、風見潤訳(小学館プロダクション刊)の発売を記念して来日した際、Linux関係者とのディスカッションで、Linuxをビジネスにしなかった理由は「興味がなかったから」と述べている。

リーナス・トーバルズ氏にとってプログラミングは、オープンソースにはコミュニティを作り上げていく醍醐味を味わう「楽しみ(Fun)にすぎない」のだそうだ。

楽しみの中から生まれたOSだからこそ、Linuxを支えるコミュニティには熱心な開発者が多いのだろう。

「長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしている。新しいものが出てきたときに、そのほうが自由に対応できるから。」リーナス・トーバルズ

リーナス・トーバルズ | Linux - ウィキペディア
渋谷に現れたリーナス、日本の技術者らと懇談 - @IT
財団法人 武田計測先端知財団 - 法人サイト
Linus Torvalds(英文) - Business Week
The Person of the Century Poll Results(英文) - TIME
60 Years of HEROS(英文) - TIME
The homepage of a WWW-illiterate(英文) - リーナス・トーバルズの公式サイト

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編集部:関口哲司
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