チャールズ・シモニーの宇宙日誌サイト

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現代のビジネスシーンでは、Officeソフトは必要不可欠なものとなっている。
報告書や申請書などの書類作成にはWord系、経理や集計の表計算にはExcel系、企画書やプレゼンテーションにはPowerPoint系など、IT企業だけでなく一般企業においても利用されるほど定着している。

これらのOfficeソフトでもっと利用されているのが、いわずと知れたマイクロソフトのMS Officeシリーズだが、いったい誰が開発したのだろうか?

このOfficeソフトは、実はハンガリー生まれの天才的なプログラマーであるチャールズ・シモニー氏によって開発されたアプリケーションなのだ。チャールズ・シモニー氏は、どのような過程でWordやExcelを開発したのだろうか。彼の足跡とともに紹介しよう。



■若い頃から天才ぶりを発揮
チャールズ・シモニー氏※は1948年9月10日、ハンガリーのブタペストで生まれる。彼が高校時代、コンピューターはハンガリーに数台しかなかったが、当時、電気工学の教授であった父の力でコンピューター技師のアシスタントの仕事に就いている。ちなみに最初に取り組んだコンピューターは、ソビエト連邦製「Ural 2」たっだ。
※Charles Simonyi。ハンガリー語では、Simonyi Karoly(シモニ・カーロイ)

●高校時代に独自コンパイラーを開発
チャールズ・シモニー氏は、学生時代にプログラマーとしての一歩を歩み始めている。なんと、1966年に高校を卒業するまでの間に、独自のコンパイラーを開発しているのだ。その経験をもとにコペンハーゲンで一旦は職に就いたが、1968年にアメリカのカリフォルニア大学バークレー校に入学し、数学を専攻して1972年に理学士号を取得している。

1972年、チャールズ・シモニー氏はゼロックス社のパロアルト研究所に勤務して、1974年にバトラー・ランプソンと共に世界初のWYSIWYG型のワープロソフト「Bravo」を開発した。1977年にはグループでのソフトウェア開発手法として「メタプログラマー」の概念を提唱し、同論文によりスタンフォード大学で計算機科学の博士(Ph.D.)を取得している。


●"ハンガリアン記法"を考案
1981年、チャールズ・シモニー氏はマイクロソフト社に転職し、MultiplanやWord、Excelの開発に携わり、多大な功績を残す。これらのアプリケーションを開発する過程で、変数の命名法のひとつである"ハンガリアン記法"を考案した。

その後は、アプリケーション開発責任者や設計者代表(チーフ・アーキテクト)などの重要なポジションを任されたのち、Microsoft Research でインテンショナルプログラミングの研究に従事する。2002年に同社を退社したチャールズ・シモニー氏は、同年8月にインテンショナルプログラミングの概念を採用したソフトウェア会社であるインターナル・ソフトウェア社を創設した。

ちなみに2007年3月時点での純資産は10億ドルで、名声とともに巨万の富を築いている。


●記憶力の達人
「天才的なプログラマー」と言われるチャールズ・シモニー氏には、こんなエピソードがある。
彼が若い頃の話だが、20室の部屋がある城を思い浮かべてそれぞれの部屋に10種類ずつ異なるアイテムが収まっている様子をイメージすることで、200個の異なる情報を瞬時に記憶したそうだ。

よく知られているように、電話番号や郵便番号が7桁なのは、普通の人間が瞬時に記憶できる最大数が7桁※であることに由来している。10桁の数字を一度に記憶できる人は2千人に3人しかいないと言われており、チャールズ・シモニー氏が一般の人に比べて、いかに記憶力が優れているかわかるだろう。

※アメリカの心理学者ジョージ・ミラー氏は、論文「マジカルナンバー7±2」において、一般に記憶できる数は7桁プラスマイナス2であると示した。記憶すべき対象をイメージ化したり、ゴロ合わせで覚えれば、最大80桁まで覚えられると言われている


●宇宙旅行の夢を実現
チャールズ・シモニー氏は、仕事ばかりに没頭した訳ではない。
彼が13歳でモスクワを旅行したとき、宇宙飛行士のパベル・ポポビッチ氏に出会い、以来宇宙旅行を夢見ていたそうだ。少年の日の夢は大人になっても変わらず、2007年4月7日、ロシアの宇宙船ソユーズ「TMA-10」に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)での滞在を実現している。世界で5人目の民間人宇宙旅行者であり、少年の頃の夢を見事に果たしたのだ。


■WordとExcelの現状と課題
OSと同様に、WordやExcelも目覚ましい進化を遂げているものの、それに伴う課題も持ち上がっている。

●日々進化するWordとExcel
WordやExcelは、時代とともに常に進化している。
Wordの最新版となるWord 2007では、フォントや段落、およびその他書式設定の機能が[ホーム]タブに配置され、従来のWordに比べて使い勝手が良くなった。

Excel2007も同様に新しいユーザー・インターフェイスを採用し、セル編集ツールやセルの書式設定ツール、およびナビゲーション・ツールを素早く利用できるように改良された。その結果、従来のExcelのようにセルの書式設定やデータのフィルタ処理を行う際、メニューを探す手間がなくなっている。


●Office互換製品が登場
WordやExcelは、ビジネスソフトなので、ゲームソフトに比べると割高感がぬぐえない。アカデミック版をのぞいた一般向け製品でもっとも安価な「Microsoft Office Personal 2007」でも約4万円。最近は、そこに目を付けた他社がマイクロソフトOffice互換ソフトを相次いで発表している。

サン・マイクロシステムズは、無料の「OpenOffice」と、同ソフトに若干の改良を施した「StarSuite」(3,970)※を販売している。
キングソフトは、見ためと操作性をマイクロソフトOfficeんに似せた低価格のOfficeソフト「Office2007」の販売を開始している。
※Googleは同社が選んだ無料のお勧めアプリケーションパッケージ「Googleパック」に「StarSuite」を同梱している

また最近では、マイクロソフトOfficeで作成した書類をネット上で編集できるウェブアプリケーションまで登場している。

2007 Microsoft Office system
Google Docs
Google Spreadsheets
Zoho Writer
ThinkFree Office Online

価格で安価なサードパティ製のOfficeソフトにも課題が残されている。マイクロソフトのOfficeソフトに合わせて操作や表示を似せて作っているものの、完全互換ではない点だ。表示がマイクロソフトの製品と異なったり、マクロ機能の一部が使用できない事例が報告されている。


●WordやExcelが抱える課題
最新のOffice 2007では、新たに追加された機能があるために、古いOfficeソフトでOffice 2007のファイルを開けないといった事態が起きている。このような事例に対処するため、マイクロソフトは古いOfficeソフトでOffice 2007のファイルを扱える「Word/Excel/PowerPoint 2007 ファイル形式用 Microsoft Office 互換機能パック」の提供や、Office 2007で文章や表を保存する際、以前のOffice形式での保存を推奨している。

また、どんなに優秀な人間でも欠点があるように、どんなに優れているアプリケーションでも不具合がある。マイクロソフトでは、そのような不具合を解消するために定期的に修正パッチを提供しているが、パッチをあてたことが原因で、不具合が起きる事件など起きている。

Excelの計算間違い引き起こすパッチを修正 - ITmedia

マイクロソフトでは、同不具合を修正するためのパッチを準備中であり、テストが完了次第、同パッチを公開する予定だ。



参考
チャールズ・シモニー | Microsoft Word | Microsoft Excel | ジョージ・ミラー - ウィキペディア
#891 Charles Simonyi(英文) - Forbes
Spaceflight Participant Charles Simonyi(PDF形式、英文)
CHARLES SIMONYI: President and CEO(英文) - Internal Software
Charles in Space(英文) - チャールズ・シモニーの宇宙日誌サイト
Microsoft Office - 公式サイト
マイクロソフト - 企業サイト


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編集部:関口哲司
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