フランス戦ではエムバペを抑え込んだクバルシ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 フランスとの準決勝に勝利した後、スペイン代表の宿泊ホテルで1枚の写真が拡散した。それはゴールシーンではなくキリアン・エムバペとパウ・クバルシのマッチアップを捉えたもので、ロッカールームでチームメイトから問い詰められた若きセンターバックは、ただボールを強く蹴ろうとしただけだと静かに答えた。

 ラミネ・ヤマルは、クバルシのプレーが激しいものの悪質ではないと日頃から語っている。バルセロナの下部組織「ラ・マシア」で共に育ったふたりは、アルゼンチンとのワールドカップ決勝に10代コンビとして先発出場することが確実視されているが、彼らの前にその舞台に10代で先発したのはペレ、ジュゼッペ・ベルゴミ、エムバペの3人しかいない。

 バルサのBチームでクバルシを指導し、メキシコ代表の新監督に就任したばかりのラファエル・マルケスは、彼を、年齢を超越した選手だと評している。16歳361日でトップチームデビューさせたシャビ・エルナンデスも一時代を築くと確信しており、現監督のハンジ・フリックもディフェンダーとアタッカーの違いを除けば「ヤマルと同等のレベルにある」と最大級の賛辞を送っている。

 クバルシは常に周囲の予想を上回るスピードで成長を遂げてきた。彼がまだアレビン(U−12)に所属していた頃、現在もサプライヤー契約を結んでいるスポーツメーカーは早期の契約締結に踏み切っており、彼の代理人も、この年齢でセンターバックという守備的なポジションの選手と契約するのは通常ではあり得ない事態だったと振り返る。

 ピッチ内で特別な輝きを放つ一方で、ピッチ外では頑ななまでに平凡な私生活を送っている。バルサの選手を除けば代表チームにおいて彼が最も親しいのはミケル・オジャルサバルとマルティン・スビメンディであり、彼らもまたメディアへの露出を嫌い、静かにフットボールと向き合っている。
 
 現在はバルセロナで実の姉と共に静かに暮らしている。身体にタトゥーはなく、クラブから支給された車を運転して自宅と練習場を行き来する日々だ。会見やインタビューで言葉を慎重に選ぶ様子はカルレス・プジョールの系譜を引くものであり、この元キャプテンに自身の理想を重ねている。

 周囲の関係者は、ピッチ外の喧騒から切り離すフィルターを持っていると証言する。噂話には一切関心を持たず、批判的な声に耳を傾けることもない。地元の小さなクラブを離れた当時と変わらないスタンスで競技に向き合い、試合が終わればすぐに家族や友人のいるプライベートな空間へと戻っていく。

 もっとも、スペイン代表において最初から不動の地位を築いていたわけではなかった。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督がロビン・ル・ノルマンを重用するとの見方は根強く、また首都メディアはディーン・ハイセンを推していたが、バルサのコーチ陣は彼の能力を高く評価し、本大会のメンバー入りを確信していた。

 クバルシは今大会において、対峙するすべてのストライカーたちにとっての天敵となっている。準決勝終了時点で、彼を上回る本数のパスを成功させた選手はおらず、その総数は550本に達する。またこの数字をシーズン全体に拡大するとバルサと代表合わせて4376本となり、2位で3838本のフィルジル・ファン・ダイクを大きく突き放している。

 すでにグループステージのベストイレブンに選出されたクバルシは、最優秀若手賞の有力候補の1人だ。さらにパオロ・マルディーニが1994年米国大会で樹立した5試合のクリーンシートという記録を塗り替えており、決勝戦を前にして、その数字を6に伸ばしている。

取材・文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

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