「電話の向こうにいるのは“元テレクラのサクラ”です」…1分ごとに課金される『電話占い』のヤバすぎる正体
〈「稼げる占い師は、相談者のことを第一に考えていない」…売上の3割を没収され、パワーストーンのノルマに追われる“占いの館”の残酷なノルマ〉から続く
悩みや不安を抱える人々の心の隙間に入り込み、大金をむしり取る「闇堕ち占い師」たちがいる。かれらの悪徳商法の一例が1分単位で課金される「電話占い」だ。業者のなかには電話に出るのは占い師ではなく、素人のアルバイトがマニュアルを読んでいるだけというケースもあるという……。ここでは、業界に10年間身を置いたまねまね氏の『占い師ぶっちゃけ話』(清談社Publico)の一部を抜粋。占いを利用した悪徳商法の事例について紹介する。
【画像】有名占い師によるお清めの塩。ちなみにお値段は80g×2個で税込3620円

写真はイメージ ©Turgay_Koca/イメージマート
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闇堕ち占い師が売る三大定番アイテム
闇堕ちした占い師は、占いと抱き合わせでさまざまなものを売ります。中でも注意しなければならない典型的な三大定番アイテムがあります。
一つ目が水です。
人間が生きていくうえで欠かせない水は、古くから「お水取り」や「御神水」といった日本文化と結びついており、特別な力が宿るものとして受け入れられがちです。
ある有名なお寺の近くにあるスピリチュアル系のお店では、店内に流れる「ご霊水」を持ち帰るためのペットボトルが500円で販売されています。同じ水は隣のお寺でも無料で汲めるにもかかわらず、特別な水を入れる容器という意味づけで、実質ペットボトルそのものを売っているのです。
水を巡る商売は、過去に「がんに効く水」として販売していた業者が摘発された事例もありました。が、最近ではこのような効果・効能を断言してしまうと法律に触れるため、多くの業者は「治る」とは言わず、「波動が整う」「本来の力を引き出す」といった巧みに法に触れない表現を使っています。
二つ目が塩です。
「お清めの塩」「浄化の塩」なんていう名前で売られていますが、これも日本には盛り塩やお清めの塩の文化が根づいていることによる、心理的な抵抗が低いことを利用した商法です。
テレビや雑誌に出ている有名な占い師が「お清め用」として塩を販売している例もあります。塩は安価で日常的に使われており、特別な説明がなくても受け入れられるという点で、非常に扱いやすい商品です。当然ですが、プラセボ効果が関の山で、ただの塩化ナトリウムです。
三つ目が石です。
水晶やパワーストーンと呼ばれるものは、三つの中で最も単価が高く、占い師の収益源になりやすいです。石の価値など素人には判断できないので、占い師の言い値で売りつけることができますし、「私が力を込めた」と言えば、いくらでも値段を釣り上げられます。
石は塩や水と違って消費されるものではありませんが、継続的に買い替えてもらうために「半年経つとエネルギーが切れる」などと言って定期的に店に来させたり、「私以外の人がパワーを入れ直すと危険」と脅すなど、イカサマ理論を平気で語ってきます。
10年くらい前に流行ったものだと、女性器に石を入れることを勧めるスピリチュアルもありました。医学的にも明らかに危険であり、もはや占いの範疇を超えていますが、こんなやり方でも「効果があるかもしれない」と期待を持つと、多くの人が購入してしまいます。大金をかすめ取るのみならず、相談者の健康すら脅かす。こんな占い師が相談者の幸せを考えているはずがありません。
そもそも、パワーストーンそのものに特別な力が宿っているという根拠はありません。
あるお笑いタレントはラジオで「パワーストーン屋さんの閉店セールなんてよくあるだろ。本当に石に力があるなら、店は潰れないはずじゃないのか」と笑っていましたが、全くその通りだと思います。結局のところ、パワーストーンはただの石に過ぎないのです。
失ったお金は戻ってこない可能性が高い
ところで「たかが水、たかが塩になぜ大金を注ぎ込むんだろう」と思った方もいるのではないでしょうか。もしかしたら騙された人が悪いと思う人もいるかもしれませんが、当事者にとっては極めて切実で、真剣に信じ込んでいるのが実情です。
実際、子どもの進学のために貯めていた数百万円を、夫に内緒でつぎ込んでしまったという相談を受けたこともあります。
私は一応弁護士へ相談するよう伝えていますが、お金が戻ってくる可能性は低いです。
過去に知人の弁護士へ相談したこともありますが、占い師との交渉は話が嚙み合わず、労力に見合わないとして、この種の案件を敬遠する弁護士も多いと聞きました。
失ったお金がそのまま戻ってこないことから泣き寝入りしてしまう人や、騙されたことが恥ずかしく、誰にも打ち明けずに隠す人も少なくありません。こうした傾向こそが、占いや霊感商法の被害特有の特徴です。
そう考えると私が見聞きしてきた被害は、氷山の一角に過ぎないのでしょう。
占いを入り口とした詐欺被害が急増
開運を謳って物を売る霊感商法にとどまらず、占いから株や投資、宝くじなどに誘導し、金銭を騙し取るなどの詐欺行為へと発展するケースもあります。
「私の占いによるとこの株が上がる」「今は投資にいい運気」
こんな甘い言葉でお金を預けさせるところから詐欺は始まります。
最初は少額の配当を実際に何度か払い戻し、安心させたところで「もっと儲かる」と高額な出資を促す。そして最終的には、1000万円単位の資金を集め、連絡を断つという流れです。
さらに悪質なものだと、預かった出資金を配当金に充て、出資者をどんどん増やしお金を騙し取るケースもあります。この場合、新たな出資者から出資金を得ても配当で消えていくため、占い師側からすると大した儲けにならないのに、被害総額は雪だるま式に膨れ上がります。福岡県で同じ手口で女性占い師が逮捕されており、その被害総額は約20億円にものぼるといわれています。
占いを利用した投資詐欺の厄介な点は、「占いの結果」を「配当金」という形で簡単に演出できてしまうことです。預かった資金の一部を配当金として返せば、実際に出資なんて行わなくても、占いが当たったように見せることができます。出資者は配当金を受け取ることで、「占い通りに投資したら利益が出た」と実感してしまうのです。
演出は配当金にとどまりません。「星の動きで株価変動を予測できる」とし、株価チャートに星の動きを重ねたグラフを示す詐欺師もいます。もちろん、それらは後づけで作られた図に過ぎませんが、もっともらしい言葉や実際に支払われる配当金を組み合わせることで、十分な説得力を帯びてしまうのです。
投資や株価、宝くじに「必ず儲かる」と言い切って資金を集め、利益を得れば、それは明確な詐欺行為です。しかしたとえ捕まっても、投資詐欺などは犯人の手元に現存資産がなければ、被害金の回収は極めて困難です。
福岡県の女性占い師のケースでも、20億円もの被害額があったにもかかわらず、多数の出資者への配当に消え、占い師の手元にはほとんど残っていなかったといいます。
福岡県のケースに限らず、多くの被害者が資金を取り戻せないまま、泣き寝入りを余儀なくされているのです。
電話占いにAI占い……多様化する占いの手法
ここまで見てきた占いでは、どんな形であれ占い師という人間が介在していました。が、占いの世界にはそもそも占い師がいないこともあります。
わかりやすい例の一つが電話占いです。電話占いとは、相談者が専用の番号に電話をかけ、通話しながら占いを受けるサービスです。
多くの場合、事前に会員登録をし、通話料とは別に「1分あたり〇円」という形で料金が発生します。対面鑑定のように「一枠何分で〇円」と決まっていないので、相談者が自分で通話を切らない限り、料金が積み上がっていきます。
そのため、電話占いは、無駄に通話時間を引き延ばそうとする傾向があります。
核心に触れそうで触れない言い回しを使い、時には占い師が一方的に喋り続けることで、不必要に会話を引き延ばすよう、上から指示が出ているケースもあるそうです。
この電話占いのシステムと大変似通ったコンテンツが昔ありました。「テレクラ(テレフォンクラブ)」です。
当時を知る人に話を聞きましたが、電話占いの多くは、元々テレクラや出会い系サイトを運営していた業者(多くは反社会的勢力)が母体だったそうです。
1990年代後半から2000年代前半にかけて、テレクラや出会い系サイトの取り締まりが強化され、市場は急速に縮小。通話課金のしくみやオペレーター、待機システムといった設備が行き場を失いました。
困った業者は、当時ブームだった「占い」という看板に目を付けます。看板さえ付け替えれば、既存のシステムや人材をそのまま流用できることに気づいたのです。
業者はテレクラで雇われていたバイトたちに占いの本と簡単なマニュアルを渡し、急ごしらえで電話占いサービスを始めました。
つまり、電話の向こうにいる多くは元テレクラのサクラで、もちろん占い師ではありません。鑑定対応にはマニュアルがあり、鑑定はあらかじめ用意されたテンプレートに沿って進められます。電話越しで顔が見えないのをいいことに、全くの素人が占いの本やマニュアルを片手に対応しているのです。
当時、電話占いのアルバイトをしていた方と話したことがありますが、「細木数子の本をめくりながら電話していた」と言っていました。それでも相談者からは「当たっている」と喜ばれて不思議な気持ちになったそうです。
さらに進んだ例として、占い業界に増えているのが、AIを使った文面鑑定です。
生年月日を入力し、有名占い師の名前を入れて「〜っぽく占って」と指示するだけで、それらしい鑑定文をAIが一瞬で自動生成してくれます。
こうして作られた文章を「メール鑑定」や「LINE鑑定」と称して、1通あたり1000円〜5000円で販売するという手口です。
価格も安すぎず高すぎず、「一度くらいなら試してもいいかも」と思わせる絶妙な設定です。元手はほぼゼロのため、ノーリスクで始められる副業として近年人気があります。
さらに、そのやり方を、稼げる占い副業として情報商材化し、別の人に売ることもできます。
低額で占いを消費する人たちにとって、誰が占っているのかは重要ではないことを逆手にとった量産型占い。
今や占い師としての表現も、AIで簡単にできるのです。
〈「無料占い」に申し込んでLINE登録した途端、「あなたは呪われている」と豹変…悪質占い師が狙う“情弱リスト”を使った“営業手法”〉へ続く
(まねまね/Webオリジナル(外部転載))
