ピッティ・ウォモ 、米ブランドの欧州進出ハブに 「本物の米国ブランド」に応える成長戦略

記事のポイント
ピッティ・イマージネ・ウォモは国際化が進み、海外バイヤーの来場が増加している。
米ブランド各社はピッティを足がかりに、欧州市場への進出と卸販売拡大を図っている。
ヨーロッパでは「本物の米国ブランド」への需要が高まり、プレミアム市場での成長が見られる。
ピッティ・イマージネ・ウォモは国際化が進み、海外バイヤーの来場が増加している。
米ブランド各社はピッティを足がかりに、欧州市場への進出と卸販売拡大を図っている。
ヨーロッパでは「本物の米国ブランド」への需要が高まり、プレミアム市場での成長が見られる。
年2回フィレンツェで開催されるメンズウェアの見本市「ピッティ・イマージネ・ウォモ(Pitti Immagine Uomo)」が6月中旬に開幕した。2024年から続くトレンド、つまりピッティがより国際的になるという流れは、今年も続いている。
インターナショナルブランドにとって、ピッティは新しいオーディエンスにリーチし、イタリア国内に限らず世界中の卸売業者のバイヤーとつながりを持ち、競合他社の動向を肌で感じることができる場である。
「新型コロナ以降、コレクションを大きく変えてきた」と語るのは、ドイツのラグジュアリーメンズウェアブランド、ドレスラー(Dressler)のクリエイティブディレクターであるクリスチャン・フェンスキー氏だ。「より現代的なスタイルになり、カジュアルなスーツやニットを増やした。パンデミック中にアウターやニットの製造をやめていたが、いま再び展開し始めている。ピッティは、それを披露するのに最適な場だ」。
ピッティを足がかりに、米ブランドが描く欧州進出戦略
ドレスラーは、世界中で350店舗以上で取り扱われており、その多くは中欧に集中している。しかし、フェンスキー氏によれば、ブランドの認知度向上とマーケティングは今後の最優先事項であり、ピッティへの出展はそのための第一歩であるという。
米国のブランドにとっても、ピッティはヨーロッパ市場への足がかりである。米国発のラグジュアリービーチウェアブランド、ファリティ(Faherty)は、今年初めにスペインの百貨店エル・コルテ・イングレス(El Corte Inglés)でのショップ・イン・ショップ展開でヨーロッパに参入したばかりだ。共同創業者兼クリエイティブディレクターのマイク・ファリティ氏は、まもなくエル・コルテ・イングレス内に8店舗のショップインショップを展開する予定であり、米国のブランドにとってヨーロッパ市場で大きなチャンスがあるという確信を得たと語る。
現在ファリティは、ヨーロッパ市場へのさらなる拡大をめざして、初めてのピッティ出展を行っている。
「これが我々の未来の一部だ」とマイク・ファリティ氏は語る。「ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)といった既存の卸先ともここで会えるし、ヨーロッパの卸業者とも新たに商談できる。ほかのブランドの動向を見て回るのも楽しみにしている」。
ファリティ氏は、今後10年でビジネス全体の20%をヨーロッパ市場で構成することをめざしており、そのビジネス構築のアプローチとして、共同創業者アレックス・ファリティ氏とともに米国で築いたやり方を踏襲する予定だ。まずは卸販売を中心にブランド認知を広げ、需要が十分に形成されてから直販チャネルの展開へと進めていく。フェアティの年間売上は9桁後半(数億ドル)に達している。
「本物の米国ブランド」への需要
もうひとつの米国ブランドであるフィルソン(Filson)は、5年前にピッティを通じてヨーロッパ進出を果たした。フィルソンは、米国のワークウェアを起源とする、頑丈でプレミアムなアウトドアブランドである。
「我々にとっては、ある意味で直感に反する判断だった」と語るのは、フィルソンのクリエイティブディレクターであるアレックス・カールトン氏だ。「しかし、ヨーロッパのある代理店が、ヨーロッパ市場でのブランド需要の可能性を強く主張したのだ。いまではミラノに旗艦店を構えるまでになった。実際、EU圏内には、我々が想定していた以上の需要があることが明らかになった」。
フィルソンは具体的な売上高を公表していないが、過去5年間で年間売上は40%増加しており、世界中に300以上の卸売パートナーを抱えている。なお、イタリアの小売企業WPラボーリ(WP Lavori)は、フィルソンの株式の10%を保有している。
カールトン氏によれば、特にラグジュアリーとメンズウェアの分野において、ヨーロッパ市場は「ヨーロッパ風に寄せようとしていない、本物の米国ブランド」に対する需要が高いという。ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、その代表例であり、米国的なブランドルーツを守りながらも世界的に成功を収めている。2024年5月に発表されたラルフ・ローレンの最新決算では、ヨーロッパ市場が売上成長を牽引しており、売上は前年同期比で16%増となった(北米は6%増)。
今回取材を受けた3つのブランドが共通して指摘しているのは、メンズウェア業界がほかのファッション分野と同様に「二極化」しているという点だ。プレミアムおよびラグジュアリーブランドは価格をさらに引き上げ、富裕層をターゲットにしている一方で、マスマーケットブランドはファストファッションの影響で価格競争にさらされている。フィルソンやファリティのように、価格帯が数百ドル台からのブランドにとって、ピッティ・ウォモのようなトレードショーは、ヨーロッパの一流小売業者と出会い、より高級寄りのポジショニングを図るための有効な手段となっている。
[原文:Luxury Briefing: How luxury brands are using Pitti Uomo to enter the European market]
Danny Parisi(翻訳・編集:坂本凪沙)
