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ハリウッド映画のさまざまなシーンを、その道の専門家が検証・評価する米Insiderの人気企画『How Real Is It?』に、日本の関 展秀(セキ・ノブヒデ)が登場。エミー賞最多受賞で話題のをはじめ、『ラスト サムライ』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』『キル・ビル』など、ハリウッド映画における日本刀の描写の数々を評価した。中でも、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で真田広之が披露した日本刀での戦いには、短いシーンながらも光るものが感じられたようだ。

関 展秀は、淺山一傳流兵法:第二十二世宗家、併伝無比流居合術:十五代師範。夢想神伝居合林崎重信流詰合:師範。全日本剣道連盟:居合道教士八段、杖道錬士七段、剣道五段といった数々の武道資格を持っており、“セキ・センセイ”として英語圏向けのでも活躍している。

はじめに取り上げられた『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は10点満点中7点の評価。真田広之が演じたシマヅが居合いや抜刀術の使い手である点が注目されている。劇中でシマヅは相手役のケイン(ドニー・イェン)を蹴り込んで遠ざける瞬間があるが、不利な間合いになったときに相手を蹴り押して距離を稼ぐことは「一つの方法だと思います」と、実際にあり得ることだと説明した。

「SHOGUN 将軍」からは第9話、鞠子(アンナ・サワイ)が大坂城を脱しようとする場面の門前でのやり合いが登場。鞠子側の武士が城側の武士を切り捨てるシーンがクローズアップ。武士は相手を斬った刀を“血振るい”(刀に付着した血液を振り落とすこと)するが、刀の向きが「相手の方を向いている」描写が正しいと関氏は評価。

ただし、「血振るいした後に納刀する際は、一歩、二歩、間合いを取るのが本当なんです」と加えた。「相手の反撃を貰わない位置に退くのが本来です」。また、“血振るい”の必要性については、「血がついたまま(刀を鞘に)納めてしまうと、血が凝固して抜けなくなっちゃたり、錆の原因になったりということがあります」と説明している。点数は8点と高評価で、「リアリティという意味では、非常にオーソドックスで良いと思います」と評した。

ほか、『キル・ビル』で日本刀を使うザ・ブライド(ユマ・サーマン)とゴーゴー夕張(栗山千明)の戦いでは、棘付の鉄球と日本刀の戦い方を解説。『ラスト サムライ』では、侍と忍者との戦闘は基本的には起こらなかったと説明しつつ、渡辺謙が披露した狭い室内での戦いにおける身のこなし方を「合理的で良い戦い方」と評価した。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』で配信中 © 2024 Marvel

『アベンジャーズ/エンドゲーム』でローニン状態のクリント・バートンと戦ったヤクザ役の真田広之の剣裁きについては、「おそらく、あんな上手いヤクザはいないと思いますね」と笑いつつ、「非常に安定した素晴らしい技術」と絶賛。「受ける角度とか、胴を抜いた瞬間も、角度も非常に良いですし、剣術らしく見える」と評価し、真田広之の剣術を絶賛した。7点の高評価を与え、「外連がないですね。普通に剣術的なものを活かせていて、オーソドックスでありながら、見応えがあって、非常に良いと思います」と讃えている。

ちなみに、最後に関氏は「好きな侍映画」として山田洋次監督作『隠し剣 鬼の爪』 (2004)を挙げている。「辛い立場の武士が心ならずとも役目を果たしつつ、さらにその仇を取って行く」という物語が気に入っているそうだ。