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朝起きてすぐにウンチがでます!という人もいれば、なかなか毎日は出ない…という人もいます。排便事情は人それぞれです。

家のトイレでならできるのに、職場など外のトイレでは落ち着かない、不安だという人だっているでしょう。

職場でウンチしていいんだよ

オーストラリアのクイーンズランド州では、保健局が「職場でウンチしたっていいんだよ」キャンペーンを展開。専門家から高く評価されています。

家以外のトイレの中でも、利用する頻度が高くなるのが職場のトイレ。職場のトイレでウンチしたくない、できないというストレスを抱えている人が増えているそう。

このキャンペーンは、大きな声では話しづらいトピックをユーモラスに扱ったことで、インスタグラムやフェイスブックなどの投稿は大きな注目を集めています。カラフルなインスタグラムの投稿には、痔やその他の胃腸障害など、我慢することによる健康リスクを警告するキャプションが添えられています。またキャプションには、「人前で排便するのが非常に難しい場合は、パルコプレシス(排便困難症)の可能性があります」とも書かれている。

トイレ恐怖症とは?

オーストラリアのスウィンバーン工科大学准教授で臨床心理士のSimon Robert Knowles氏が、家以外のトイレで不安を感じる「トイレ恐怖症」について解説しています。

トイレ恐怖症、排尿・排便恐怖症は、公衆トイレなどで排尿・排便できないこと、またはできるけどとても難しくストレスを感じる症状のこと。トイレ恐怖症の人は、駅や公園の公衆トイレはもちろん、ショッピングモールやレストラン、学校や職場のトイレ、あるいはお客さんが来ているときの自分の家のトイレですら使いづらいと感じてしまいます。ストレスの理由は、他人の目(感覚)が気になるから。排便時の臭いや音、使用時間などで、他人にどう思われるかが気になるのです。

胃腸に不調を抱える人の中には、頻繁にトイレを使用しなければいけないという不安からトイレ恐怖症にもなってしまう人もいます。また、過去にトイレ関連で嫌な思いをした、安心して使えるトイレがないことが、トイレ恐怖症を引き起こす一因になることも。

トイレ恐怖症の人は、その不安感から心拍数の上昇や過度な呼吸、多汗、筋肉の緊張、赤面、吐き気、震えなどさまざまな症状が起きることがあります。そのすべてのもとは、家以外の場所でトイレに行きたくなったらどうしようという心配からきています。結果、旅行や外出などの娯楽から就職まで、社会生活に支障をきたす場合もあります。

トイレ恐怖症の人は多い?

トイレ恐怖症に悩む人がどれくらいいるのか、その調査が難しいことから表だったデータがありません。ただ、それでもより理解を深めるために、筆者が実施したアンケートでは(回答者は大学生714人)、状況シナリオに答えてもらいました。

シナリオはこんな感じ。

回答者はショッピングモールを訪れており、トイレに行きたくなりました。モールのトイレはきれいで、個室が2つまたは3つあります。

全体でトイレを使わないと答えたのは14%。ただし、トイレ使用度は、空いている個室の数によって変動しました。使用中の個室が他にある場合、トイレを使用しない人が増える傾向にありました。細かくみると、すべての個室が空いていても使用しないと答えたのは10%。3つの個室のうち真ん中だけが空いていた場合は使わないと答えたのは25%。男女で比較すると、女性の方が圧倒的に使用を避ける傾向にありました。

また、使用しないと答えた人は、「一度家に帰る」「空いているバリアフリートイレを使う」「誰もいないときを狙って使う」などとも回答。

職場での不安

トイレ恐怖症における職場での不安感は、その他の場所よりも強まる可能性があります。理由は、音や臭いを気にする対象が、まったく知らない他人ではなく同僚や上司など知っている人になるからです。

特に、胃腸に不調がある人は、トイレを頻繁に使う・長く使うことに対する、職場の人間への恐怖、羞恥心、罪悪感を感じやすいようです。

不安を軽減させるには

公衆トイレを使う居心地の悪さは、誰でも想像することができます。が、一部の人にとって、それは想像を超える不安、ストレスになっています。職場でトイレを使うのが不安だという人は、以下のことを試してみましょう。

・公衆トイレを使う不安を認めた上で、トイレ使用は当たり前のことであり、ほとんどの人は他人のトイレのことなんて気にしていないと、マイナス思考を打ち砕くチャレンジをする。

・深呼吸などで気持ちを落ち着かせ、ストレスをコントロールする。

・場所や時間を変えていろいろなトイレを試しながら、少しずつ慣らし自信をつけていく。

・音楽を聴く、動画を見るなど、他のことに意識をむけながらトイレに行く。