9回、左前に適時打を放つ木浪(撮影・飯室逸平)

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 「JERA CSセ・ファーストS・第1戦、阪神1−3DeNA」(12日、甲子園球場)

 やられっぱなしで終わるわけにはいかなかった。零封負けまであとアウト1つ。阪神・木浪が意地の一打で屈辱を阻止した。

 3点を追う九回。大山、前川の安打で作った2死二、三塁で打席に立った。スタンドのボルテージが高まる中、森原が投じた151キロ直球にコンパクトなスイングで合わせた。鋭いゴロで三遊間を破る左前適時打。「やられたらやり返すだけなので」。後続が倒れて敗れたが、負けられない2戦目へ向けて重苦しい雰囲気を変えた。

 チームにとっても自身にとっても大きな一打だ。0−0の二回1死一、二塁は東にチェンジアップでタイミングを外されて空振り三振。先頭の五回も山崎に対して3球三振に倒れており、最後に執念で快音を響かせた。

 広島と対戦した昨年のCSファイナルSは、第2戦でサヨナラ打を放つなど、計3試合で10打数5安打1打点と大活躍。最優秀選手賞を受賞し、恐怖の8番打者として日本シリーズ進出に貢献した。13日に敗れると今季は終戦となるだけに“CS男”の奮起に期待がかかる。

 「もう、やるしかないと思う。明日やり返す気持ちで。自分もそうですけど、チームも。明日はやり返すことだけを考えて、勝つことだけを考えてやっていきたい」。下を向いている暇はない。一戦必勝で戦うだけだ。