元「成宮寛貴」が俳優復帰へ…!フィナーレの近そうな『相棒』、”歴代相棒が全員集合”なるか

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2016年、薬物疑惑で引退していたが…

元「成宮寛貴」が本名で俳優業再開――このニュースで一気に現実味が増したこと。

それは、『相棒』のグランドフィナーレで“歴代相棒の全員集合”ではないでしょうか。

2016年12月、違法薬物使用疑惑が報道され、本人は否定したものの、その一連のスキャンダルをきっかけに芸能界を引退していた元・成宮寛貴さん。

そんな彼が、今年9月中旬、本名の「平宮博重」として約8年ぶりに俳優業を再開させていると報じられました。現在撮影中の作品があり、その後も何作品かの出演が予定されているとのことです。

薬物疑惑をうやむやにしたまま引退し、ほとぼりが冷めたからシレッと復帰したという見方もあるため、賛否両論あるでしょうが、ご長寿刑事ドラマ『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)のファンにとっては、吉報だったことでしょう。

今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、元・成宮さんの俳優復帰が『相棒』シリーズにどう影響を与えるのか、考察していきます。

原点回帰は“終活のはじまり”だった?

2000年にスペシャルドラマとして放送されて以来、およそ四半世紀も続いている『相棒』は言わずと知れた大ヒット作品。しかし、そう遠くない未来、おそらく数年のうちにシリーズが完結すると見られています。

今なお高視聴率を叩き出しているので人気低迷が原因ではありません。主演の水谷豊さんが現在72歳になっていることが最大の理由。刑事が定年退職する年齢をとっくに過ぎているため、さすがにリアリティがなくなってきてしまっているからです。シリーズ開始当初は40代だった主演俳優が70代になってしまっているので、致し方ないことかもしれません。

さて、ここで歴代相棒について簡単に振り返っておきましょう。

水谷豊さん演じる杉下右京の相棒として、これまで4人の刑事が登場してきました。

シーズン1からシーズン7の途中まで相棒を務めたのが、寺脇康文さん演じる初代・亀山薫。

シーズン7の最終話からシーズン10の最終話まで相棒を務めたのが、及川光博さん演じる二代目・神戸尊。

シーズン11からシーズン13の最終話まで相棒を務めたのが、元・成宮寛貴さん演じる三代目・甲斐享。

シーズン14からシーズン20の最終話まで相棒を務めたのが、反町隆史さん演じる四代目・冠城亘。

そしてシーズン21からは初代・亀山が相棒に電撃復帰し、10月16日(水)放送開始の最新シリーズであるシーズン23でも亀山が務めています。

ちなみに昨年3月の『相棒』400回記念インタビューにて、水谷さんが「『相棒』が始まったときには、亀山くんで始まって亀山くんで終わると思ってました」と明言していました。ですから、亀山との再タッグがあと何シーズン続くかは不明ながら、やはりそう遠くないうちに“終わり”は来るのでしょう。

見方を変えると、原点回帰で亀山が復活したことは、『相棒』という偉大なる作品を、きれいな形で幕を下ろすための“終活のはじまり”だったと言えるのかもしれません。

二代目・神戸、四代目・冠城は可能性大

こうなると気になってくるのは、どのようなグランドフィナーレを迎えるか、ということ。

ドラマで終わるのか映画で終わるのかはわかりませんが、どのようなストーリーになれば、最高の“有終の美”を飾れるでしょうか。

多くのファンが期待するのは“歴代相棒の全員集合”でしょう。

右京(水谷さん)と亀山(寺脇さん)に加え、二代目・神戸(及川さん)、三代目・甲斐(元・成宮さん)、四代目・冠城(反町さん)の5人が横並びで闊歩するなんてシーンは、想像しただけでワクワクが止まりません。

このうち3人が集合するエピソードは、これまでにもありました。

二代目・神戸は相棒卒業後もたびたびゲスト出演しているため、三代目・甲斐とも四代目・冠城とも対面しており、残る1人だった初代・亀山とも彼が復帰したシーズン21の終盤で対面。そのシーズン21の第20話で、右京を先頭に、その左後ろに亀山、右後ろに神戸が続いて颯爽と事件解決に出動するシーンは、なんとも鳥肌ものでした。

3人揃うだけでもファン垂涎のシーンとなっていたので、それが5人全員集合となれば、絵面のグリップ力は間違いなく『相棒』史上最強です。

……問題は、5人集合の実現度はどれぐらいあるのか、ということ。

言うまでもなく現在バディを組んでいる右京と亀山の出演は確定として、グランドフィナーレとなれば要所要所で再登場してくれる神戸も、及川さんにオファーを出せばほぼ確定。

メタ的視点で考えても、水谷さんが及川さんのコンサートを観に行った話をしていたことや、及川さんが水谷さん主演の往年の名作『熱中時代』(日本テレビ系)のファンだったことが明かされており、現在も関係はとても良好なので問題はないはず。

そして四代目・冠城もグランドフィナーレとなるエピソードには参戦してくれる可能性は大。冠城は公安調査庁にいる設定なので事件の内容次第でいくらでも再登場させられるでしょう。

冠城を演じる反町さんが出演していたのは約7年間で、連続での相棒歴で言うと最長となっているため、二人の間に阿吽の呼吸があるのは想像に難くありません。また、水谷さんが親しみを込めて「ソリ」と呼ぶほど公私ともに親交を深めていたのは有名な話で、反町さんの人間性を絶賛していたこともあったので、出演オファーがあれば気風のよい反町さんは「NO」とは言わないでしょう。

水谷も元・成宮との再会を望んでいる

このように4人の出演のハードルはさほど高くないのですが、もっともハードルが高いと思われていたのが元・成宮さん演じる甲斐でした。劇中のキャラとしての問題点と、メタ視点の役者の問題点と、ダブルで懸念材料があったからです。

まず、甲斐はシーズン13のラストで、警察の追及を逃れた犯罪者に制裁を下す「ダークナイト事件」の犯人として逮捕され、懲戒免職となっていました。そのうえ、演じていた元・成宮さんが芸能界を引退してしまっていたというわけです。

けれど結論を言うと、甲斐が復活する可能性は非常に高まっていると分析しています。

甲斐は逮捕されてしまっているわけですが、決して彼の存在を黒歴史的な“なかったこと”にしているなんてことはなく、むしろ意図的に甲斐を想起させるシーンが何度もあったのです。

逮捕後の甲斐が新規撮影で登場したことはありませんが、これまでに回想シーンでは何度か登場しています。元・成宮さんが芸能界引退後の放送回でも、甲斐は回想でその姿を見せており、今年の元日に放送されたスペシャル回でも甲斐の当時の姿が映し出されていました。また、石坂浩二さん演じる警察庁長官官房付・警視監である甲斐の父親が、罪を犯した息子の再起を願う気持ちを語るシーンが描かれたこともあったのです。

これらの演出を甲斐復活の伏線であると考えているファンは多く、ドラマ制作陣も元・成宮さんの帰還を願っていると推察できます。

昨年3月の『相棒』400回記念インタビューでは、水谷さんが元・成宮に対してもコメントしていました。水谷さんは、元・成宮さんが自分の若い頃に似ていると感じていたことや、自身の魅力的な世界を作ってほしいといったエールを送ったうえで、「もちろん何かで会いたいなと思いますよ」と意味深長な発言も……。

“歴代相棒の全員集合”実現度、高まる

『相棒』の劇中でもメタでも、そういったさまざまな“甲斐=元・成宮復活”への布石があったなかで、9月中旬に元・成宮さんが俳優業を再開させたというニュースが飛び込んできたというわけです。

制作陣がグランドフィナーレで“歴代相棒の全員集合”の実現に向けて動いていくとすれば、役者として完全復活の足掛かりにしたい元・成宮さんの思惑とも合致して、甲斐復活はWin-Winになるのではないでしょうか。

さすがに甲斐が刑事として再登場することはないでしょうが、たとえば罪を償った後に私立探偵やジャーナリストに転身したという設定にすれば、右京と亀山が挑む最後の事件の解決に協力してくれるなんて展開に持っていきやすいはず。

――右京、亀山、神戸、甲斐、冠城がひとつの画面におさまるという歴代相棒全員集合は、かなり実現度が高くなっていると感じます。そんな夢のシーンを妄想しながら、最新シリーズ・シーズン23を楽しみましょう。

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