パスポート保有率17% 「海外行きたいと思わない」Z世代が増加 若者の意識に変化

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日本を訪れる外国人観光客は過去最多ペースで増え続けていますが、一方で、日本の若者の海外旅行離れが進んでいます。
日本人のパスポートの保有率は、6人に一人、17%にまで落ち込んでいます。

【画像】バブル期 海外旅行は年3、4回 週末海外も 一方イマドキの旅行スタイルは?

■パスポート保有率 年々低下 “海外離れ”理由は?

訪日外国人は、コロナ前の2019年は3188万人でしたが、2024年は、1月〜6月で過去最多の1778万人。
年間では3500万人と試算されています。

一方で、出国する日本人は、2019年は約2008万人でしたが、2023年は約962万人。 4年で半減しました。

パスポートの保有者も減っています。
2019年のパスポート保有率は23.8%でしたが、2023年は17.0%。
パスポートを保有している人は、約6人に1人です。

海外のパスポートの保有率です。
アメリカは、50%以上。
韓国は、約40%。
台湾は、約60%です。

旅行業界からは懸念の声も上がっています。

日本旅行業協会の高橋広行会長は、
「若者が海外渡航する機会も極端に失われており、日本を背負って立つ国際感覚を持った人材を育てるうえで問題だ」
と指摘しています。

そこで、新成人へのパスポート無料配布を、政府に要請する方針です。

街で聞いた海外離れの理由です。

60代男性
「旅行は好きだが、円安なので行きづらい。ラーメン1杯3000円などと聞くと、『そこまでして行くか』という気持ちになる」20代女性
「フライトが長いのが苦痛だし、言葉が通じないのが不便なので行きたくない」別の20代女性
「免許がないので、身分証明証代わりにパスポートを取ったが、一度も海外に行ったことがない。高いお金を出してまで、海外での体験をしたいと思わない。できることと金額が見合ってないと思う」また別の20代女性
「高校1年生の時にコロナが始まり、修学旅行先が国内に変わった。修学旅行などでパスポートを取る機会があったら、せっかくだからと海外旅行に行ってたかもしれない」■海外旅行 今と昔 違いから見えるイマドキ価値観

今と昔の海外旅行の価値観の変化です。

日本人の海外旅行先です。
1990年は、1位がアメリカでしたが、2024年の夏休みの海外旅行先で予約者数が一番多かったのは、韓国・ソウルでした。

バブル時代の旅行スタイル『社員旅行』です。

保険代理店に勤務している60代の男性Aさん。
入社した年は、3泊4日でグアム旅行。
1人あたり約20万円の費用はすべて会社持ちでした。

別の年には、内定が出た卒業前の学生が社員旅行に参加したこともあったということです。

バブル時代の旅行スタイル『個人旅行』です。

年金生活をしている60代男性Bさん。
現役時代は広告会社に勤務していました。
30代前半は、仕事に遊びに全力投球。
海外旅行は年に3〜4回、行っていました。

夏休みには、ハワイやグアムでマリンスポーツ。
冬休みには、カナダの雪山でスキー。

仕事の調整がつけば、金曜午前は仕事をして、夕方のフライトで出国。
土日は旅行先の現地を満喫して、月曜午前に帰国。
そのまま職場に直行する “週末海外旅行”もしていたということです。

一方で、イマドキの旅行スタイルです。

建設会社に勤務する20代の女性Cさん。
社会人6年目。
この夏初めて海外旅行に行きました。

2月に計画し、女性2人での5泊6日の韓国旅行でした。
旅の目的は“推し活”です。
現地では、Cさんの推しである、韓国のボーイズグループ『セブンティーン』を追いかけます。

推しの空港入り前の仕事やライブの日程から、使う空港、乗る便を予想。
空港で出待ちします。
そこで、推しの空港ファッション(オフの姿)を見て、推しのライブを楽しみ、推しが過去に行ったレストランで食事。
観光地にはほぼ行きませんでした。

Cさんです。
観光地への興味がないわけではないが“推し活”のほうが大事。余裕ができたら行くかもしれない」■Z世代 「海外行きたいと思わない」増加

海外に行きたいと思わない若者が増えています。

19〜25歳の男女に「海外旅行に行きたいか」聞いた調査では、「行きたいと思わない」が57.3%、「行きたいが社会情勢が不安」が23.0%でした。

その理由です。

「海外は治安が悪いイメージがある。良いところよりも悪いところが目につく」「海外にある大体の食べ物は日本でも食べられるし、日本の方が日本人の好みに合わせられていそう」航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんです。
「コロナ禍を経て、海外に行くことが特別なことになっている。海外に行き見聞を広めることに対して、興味を示さない若者が多い」

留学です。
日本人留学生の数は、2019年度、10万7346人でしたが、2022年度はコロナの影響もあり、5万8162人。
コロナ禍前の半数程度にとどまっています。

海外への修学旅行です。
2013年度から1300校程度で推移していましたが、2021年度は、コロナの影響もあり、ゼロになりました。

群馬県の公立高校の場合です。
2017年〜2019年まで、台湾に修学旅行で行っていました。

目的は、
●海外ならではの経験
●英語でのコミュニケーション能力向上
●台湾の文化を学ぶ
などです。

しかし、2020年はコロナの影響で、北九州に変更になりました。
その後は、台湾を検討した年もありましたが、円安もあり結局、国内になっています。

この学校の教頭先生によると、
「修学旅行は、全員参加が原則。各家庭がお金を出さないといけないので、極端に高いものは認められない。海外は到底厳しい」
「希望者向けの語学研修も、6、7年前は春休みにアメリカのNASAやボストン近郊に2週間ホームステイするプログラムが35万円くらいだった。今は80万円なので提案できない」
ということです■いまリーズナブルに行ける海外旅行先は?

鳥海さんおすすめの海外旅行先です。

1つ目はタイのバンコクです。
コロナ前よりも航空券が安くなっています。
タイのインバウンド増加により、多くの航空会社が就航するようになったためで、LCCやリーズナブルな運賃を提供する航空会社が増えています。

航空・旅行アナリストの鳥海さんによると、
「今月2月に就航したANAの第3ブランド『Air Japan』だと、往復5万円台で航空券が購入できる。ホテルもそれほど高くない」
ということです。

おすすめの海外旅行先2つ目は、グアムです。

9月以降は航空券が安く、往復5万〜8万円程度で購入できます。
ハワイよりもホテル、食事、レンタカー代などが安いということです。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2024年9月26日放送分より)