仏アビニョンの裁判所を後にするジゼルさん(左、2024年9月17日撮影)。(c)Christophe SIMON / AFP

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【AFP=時事】鎮静剤で妻の意識を失わせ、インターネットで募った男72人にレイプさせたとして起訴されたフランス人ドミニク・ペリコ(Dominique Pelicot)被告(71)の裁判で18日、被害者で先月離婚が成立した元妻のジゼル(Gisele)さん(71)が証言し、一部の弁護人から共犯扱いされたことに屈辱を感じたと述べた。

 元夫と約50人の男が被告となっている裁判で、ジゼルさんは「この法廷に足を踏み入れて以来、ずっと屈辱を感じている」と発言。「私はアルコール依存症だとか、泥酔してペリコ氏に加担したなどと言われている」と訴えた。

 ペリコ被告はジゼルさんに対し、約10年間にわたって鎮静剤を投与しては意識を失わせ、インターネットで募った男らにレイプさせたり、自らレイプしたりしたことを認めている。

 ペリコ被告は主に自宅のジゼルさんのベッドで性的虐待を行い、詳細に記録していた。

 ジゼルさんは「私は昏睡(こんすい)状態にあった。これから提示される映像がそれを証明するだろう」と述べ、「私は一瞬たりともペリコ氏や他の男性たちに同意したことはない」と断言。さらにペリコ被告の弁護人らが、「私が犯人で、あの50人の男性たちが被害者」であるかのような印象を与えていると非難した。

 ジゼルさんは、性的虐待を目的とした薬物使用に対する意識を高めたいとして公開裁判を求めたことで、象徴的な存在となっている。また代理人弁護士を通じて、恥じるべきは被害者ではなく、加害者だと訴えている。

 ジゼルさんは18日の証言で、被告の弁護人ギヨーム・デパルマ(Guillaume De Palma)氏の発言に憤慨していると明かした。

 デパルマ氏は先週の公判で「レイプにはさまざまな種類がある」と発言。一部の被告による、性的に奔放な夫婦のプレイに加わったつもりだったとの主張を擁護しようとした可能性がある。

 この発言に対し、ジゼルさんは「レイプに種類などない」「レイプはレイプだ」と強く反論した。

 デパルマ氏は18日、ジゼルさんに謝罪し、レイプの法的な定義と「メディア」による定義を区別したかったと釈明した。

【翻訳編集】AFPBB News

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