(※画像はイメージです/PIXTA)

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国際通貨基金(IMF)の2024年の調査結果による1人あたりGDPをみると、デンマークが6万8,898ドル、日本は3万3,138ドルと、両国間には2倍以上の開きがあります。デンマークでは16時には仕事を終え、自宅に帰る人が多い一方で、日本では、働き改革は推進されつつもいまだ長時間労働が根強く残っています。この差はどこにあるのでしょうか? 本記事では、デンマーク文化研究家である針貝有佳氏の書籍『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集し、デンマーク人の働き方について解説します。

デンマーク人にとって「無意味なタスクの代表」

海外の企業が日本とのやりとり、とくに確認作業の多さに辟易してしまうケースは少なくない。なかでも、デンマーク人にとって、無意味なタスクの代表は「ダブルチェック」である。

基本的に、デンマークではマイクロマネジメント(細かい管理)を一切しない。上司が部下の仕事の進捗を細かくチェックすることは、デンマークではする必要がないどころか、「タブー」の領域である。

ミスが発生しないように、念のために複数人が目を通してチェックするというのは、日本ではよくある作業で、決してめずらしいことではない。おかげでミスを防げているというメリットも大いにあると思う。だからこそ、JAPANブランドは信頼されている。

だが、複数の人が同じ作業をするために時間を使えば、一人ひとりの社員と組織全体にとっての時間コストという面では、やはりコストが高くなる。

デンマークでは、部下や同僚の仕事の「ダブルチェック」はしない。そこに時間を使うよりも、一人ひとりの社員が責任を持ってベストを尽くして仕事をした方が、効率がいいと思っているからだ。

無駄なダブルチェックをなくすことによる効果

もちろん、仕事によってはひとつのミスが致命的になるのでダブルチェックした方がいだろう。だが、成果よりも時間コストの方が大きい「無駄なダブルチェック」はしていないだろうか。

無駄なダブルチェックをなくすだけで、使える時間は圧倒的に増える。それに、担当者は自分だけだと思えば、より責任感を持って仕事に取り組むようになるし、自分の仕事に誇りが持てるようになる。そうなれば、俄然やる気が湧いて、むしろミスが減る可能性も高い。

針貝 有佳

デンマーク文化研究家

デンマーク在住。1982年生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科にてデンマークの労働市場政策「フレキシキュリティ・モデル」を研究して修士号取得。2009年末にデンマーク移住後、13年以上にわたってテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ウェブ等からデンマークの現地情報を発信。社会学的アプローチで社会を観察し、デンマーク語で現地の第一次情報にアクセスし、情報・世論・市民の声を届ける。執筆記事は400本以上、企業向けのレポート制作は300事例を超える。