PS1/スパイク(現スパイク・チュンソフト)

 1999年にPS1で発売された、知る人ぞ知るホラーアドベンチャーが『夕闇通り探検隊』。ヒューマンのホラーアドベンチャー『トワイライトシンドローム 探索編・究明編』(1996年)の一部スタッフが手掛けています。

 東京都日野市がモデルとなった舞台の陽見市は、商店街や公団、線路、工場……と懐かしくも変わりゆく風景がリアルに再現されています。また中学生特有の感情の揺れや心の闇も、生々しいセリフまわしで丁寧に表現され、そこが名作と呼ばれる所以となっています。

 発売当時はヒットとはいかず、その後も移植版やリメイクもなく、ソフト・攻略本ともに超プレミア化。Netflixあたりで映像作品として復活、なんてパターンもありだと思うのですが……。

◆●SILENT HILL
PS1/コナミ

 1999年にPS1で発売されたホラーアドベンチャー。舞台はアメリカの北東部にある湖畔の田舎町サイレントヒル。初代ではこの町に迷い込んだ主人公のハリーが、娘のシェリルを探して深い霧のなかを彷徨います。

バイオハザード』が映画に影響を受けた”動のホラー”なら、こちらはスティーヴン・キングへのオマージュが垣間見られる小説的な”静のホラー”。狂気と哀しみを帯びたシナリオが心を掴みます。赤錆びた異界「裏世界」の不気味さにも引き込まれました。

 10月8日には、シリーズ屈指の人気作『SILENT HILL 2』のフルリメイク版が発売予定。グラフィックは一新され、原作にはなかった場所、原作では入ることができなかった建物での探索も追加されています。

◆●SIREN
PS2/ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)

 2003年にPS2で発売された『SIREN』は、初代『SILENT HILL』のディレクター・外山圭一郎さんがSCEに移籍して手掛けたホラーアドベンチャー。「屍人」に侵食されていく山奥の寒村で、生き残るためにあがく複数の登場人物を切り替えながら、8月の3日間をループしていきます。

 屍人と化した少女が「おかーさん、あけて」と叫びながら窓ガラスを叩くCMが「怖すぎる」とクレームが入り、放送中止となったことでも知られるタイトル。単に怖いだけではなく、民俗学や神話をふんだんに取り込んだシナリオは考察しがいがありました。

 現在、クリエイターの外山圭一郎さんは、独立して立ち上げたゲームスタジオ「Bokeh Game Studio」で、猥雑な都市「九龍」を舞台にしたホラーバトルアクション『野狗子(やくし): Slitterhead』(PS5、PS4、Xbox Series X/S、Steam)を制作中。11月8日発売ということで楽しみです。

 以上7本を振り返りました。その他、『クロックタワー』や『本当にあった怖い話』、『エコーナイト』、『零』なども懐かしいですね。

文/卯月 鮎

―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―

【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン〜なつかしゲーム子ども実験室〜』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も