SNSなどの更新をあまりしない、地方のお店あるあるだというえどぽよ氏。リスクヘッジで来店前に電話もしたというのだが……。

「あるお店には事前に営業しているか電話してみたんです。『やっている』という返事だったので安心して向かうも、到着すると閉まっていました。再度電話をかけてみると、『あれ?さっきのお兄さん?まだ来てなかったの!? おばあちゃんが銀行に行きたいっていうからも今日はもう閉めちゃったよ』って(笑)」

◆行くのが大変だった「房総半島の真ん中あたりにある店」

グルメバーガーには個人経営の店も多く、営業時間も蜃気楼のように不確定。都心にあるのになかなかタイミングが合わず、食べるまでに何度も通った店もあるという。そんなえどぽよ氏に、物理的にハードルの高かった店を聞いてみた。

「千葉にある『Vestelia (ウェスタリア)』というお店ですね。房総半島の真ん中あたりにあるんですが、お店に着くまで舗装されていない山道を、車をガッコンガッコンいわせながら進まないといけなくて、本当に大変でした!」

遠出して危険を感じてまでも、地方に出てハンバーガーを食べたいと思うのには、東京と地方との違いがあるようだ。

「東京だと、バーガーショップにバンズを提供している有名なパン屋さんが『峰屋』というお店を筆頭に4〜5店舗あるんです。これらの店舗で、東京(関東の配達圏内)のグルメバーガーの多くのお店のバンズをまかなっていますね。でも、地方だとそういったパン屋さんがあまりないそうで、自家製だったり、近所のパン屋さんにお願いして作ってもらっています。なので、個性が強いものが多いのも、地方ならではでして」

いい意味でのインディーズ感を味わうには、地方のバーガー巡りも一興のようだ。

◆とにかく「かぶりつく」のが正解

ラーメンで例えるならスープから、日本蕎麦ならツユにつけずにーーといったように料理ごとに通の食べ方があるものだが、グルメバーガーではどうだろう。

「しのごの言わずに、かぶりつくことです。お店もそれを想定してビルドしてますからね。手を汚しながら口を汚しながらでも、かぶりつくのが一番うまいです」

かぶりつくことを前提に作られたものだから、王道の食べ方が一番美味しくなる。さらに、えどぽよ氏ほどの領域に達すると、かぶりつくことでお店からのメッセージまで感じるという。

「上下にバンズがありますが、下のパンの次に何が来るかで、お店が食べる人に何を味わってほしいかがわかります。いわば、舌に当たる最初の具材ですからね。パティが来ていれば肉々しさを味わってほしい、レタスが来ているなら全体のバランスを重視しているお店が多いです。だから、ハンバーガーを逆さまにして食べると、味が変わるんですよ」

ネット上で話題になっていないお店を見つけた時にこそ、喜びを感じるというえどぽよ氏。想像以上に広くて深いグルメバーガーのさらなる可能性を、今後もまだまだ掘り出してくれることを期待したい。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。