フワちゃん

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フワちゃん未曽有の大炎上

 インフルエンサーのフワちゃんが、2024年8月4日、Xでタレントのやす子に暴言を吐き、未曽有の炎上騒ぎに陥っている。

 事の発端は、8月2日に芸人のやす子が「やす子オリンピック 生きてるだけで偉いので皆 優勝でーす」とポストしたことだった。フワちゃんはこれを引用するかたちで、8月4日14時過ぎに「おまえは偉くないので、死んでくださーい 予選敗退でーす」と書き込んでしまったのである。

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 このポストはすぐに削除されたものの、Xではスクショが出回り、ネット上で広く知られる事態となった。やす子は8月4日、「とっても悲しい」とポストしたが、これはおそらくフワちゃんのポストを受けてのものであろう。

フワちゃん

 フワちゃんは「本当にすみません 今ここで皆さんに報告することではないのですが、言っちゃいけないこと言って、傷つけてしまいました ご本人に直接謝ります」と謝罪の言葉をXに投稿したが、炎上は収まる気配がなく、現在も燃え続けている状況だ。

裏アカウントからの投稿?

 お笑いタレントでもある人気インフルエンサーと、人気女性芸人との間で起こった前代未聞の騒動であるが、フワちゃんはなぜこんな不用意なポストをしてしまったのか。

 現時点では、フワちゃんが裏垢(裏アカウント)から投稿しようとした文面を、誤って本垢(本アカウント)から投稿してしまった、すなわち“誤爆”だったのではないかという見方が有力だ。

 所属事務所は、既に凍結されていたアカウントを除き、投稿時点でXの別のアカウントは存在しないと裏垢疑惑を否定した。しかし、裏垢がないのであれば、なぜ本垢からこのような文章を投稿してしまったのかといった疑問も生じる。

 昨今、著名人がこうした裏垢から悪口を誤爆してしまい、謝罪に追い込まれるケースが相次いでいる。裏垢に掲載していた写真から、不倫が発覚した著名人もいた。あるアイドルが裏垢で常習的にライバルの悪口を言っていることが発覚してしまい、事務所間で示談となったケースもあると聞く。

 ほかにも、今年には声優アイドルグループの公式アカウントから、おそらくXを担当している関係者が誤って自身の個人のアカウントに書くべき話題を誤爆してしまい、謝罪したケースもある。誤爆は芸能人自身や、時には企業の信用を揺るがしかねない、まさに爆弾そのものと言っていい。

 騒動を受け、「フワちゃんは日常的に裏垢を使い、誹謗中傷しているのではないか」という疑惑も持たれている。本人から一刻も早い説明がまたれるが、フワちゃんはたびたび裏垢の存在を明言しているため、予想はおおむね当たっているのではないかと思われる。

裏垢は誰でも持っている

 とはいえ、一般人であってもXやInstagramなどのSNSをやっていれば、裏垢を何件も持っている人はたくさんいるし、別に珍しいことではない。10代の中学生や高校生は、学校の友人向けの本垢のほか、趣味用のアカウント、そして誰にも言えないようなことを話す闇アカウントなど、複数持ちが普通である。

 なぜ、アカウントの複数持ちが普通になっているのか。それは、SNS文化が普及し、アカウントがいわば個人のプロフィールや名刺代わりに使われるようになったことが影響しているだろう。

 芸能人は特に、Xがその人のイメージに直結すると考えられがちだ。そして、ひとたび失言でもしようものなら、社会的にも抹殺されかねない。その一方で、今のご時世、SNSの拡散力は無視できない。そこで、近年の芸能事務所では、所属する芸能人にSNSの活用を促しつつも、その投稿の内容に関しては厳しい制約を設けるようになった。

 こうなると、芸能人は本垢では無難なことしか書けなくなるし、実際そうなりつつある。そのため、公での発言が制限されがちな人気アイドルや著名人ほど、こっそりと裏垢を作っては、本垢でつぶやけない過激な投稿をしているケースが見られるそうだ。

芸能人ほど裏垢を持っている?

 本垢には一般的で当たり障りのないことを書き、言いにくい政治的発言や他人の悪口などは裏垢で発言するといった具合に使い分ける――。本音と建前の象徴のようでもあるし、人間の闇の部分が具現化されているともいえよう。とある大手芸能事務所のマネージャーが、芸能人の裏垢事情を打ち明ける。

「芸能人、特にアイドルは、ほぼ高確率でXやInstagramの裏垢を持っていると思います。裏垢で趣味の話をするぶんには構わないと思うし、政治的な発言をしている程度ならマシなのです。問題は、ライバルグループや番組で共演した芸能人の悪口を言っているケース。完全にアウトなのですが、困ったことにこれをやるために裏垢を使っているケースが多いと思われます」

 じつは、このマネージャーが担当していたアイドルも、本垢でライバルの悪口を誤爆し、間一髪だった出来事があるという。「幸い、Xを見ている人が少ない時間帯だったし、当時はフォロワーも少なかったので難を逃れましたが……」とのことだが、それ以降、担当する芸能人の投稿はピリピリしながら監視しているそうである。

「裏垢がバレるリスクは高いのですが、芸能人ってストレスが溜まる仕事だし、炎上トラブルがクローズアップされがちな昨今では、言いたいことが言えない雰囲気が醸成されているじゃないですか。だから裏垢に逃げるのだと思います。以前、担当していたアイドルに、裏垢は絶対に作らないようにと指導したこともあるんですが、結局、こっそり作っているようでした」

ストレスの捌け口を見つけるのが大事

 フワちゃんは今年5月にも、飛行機内で迷惑行為を行ったとして炎上騒動を起こしている。日頃から言動や行動がネットニュースを騒がすことが多いが、今回の騒動は「フワちゃん終わった」「もう表に出てくるな」と、Xでは否定的な意見が数多くポストされる事態になっている。

 今回の誤爆は、フワちゃんに大きなダメージを与えてしまったように思う。しかし、こうした誤爆はSNSを使っている誰しもがやりかねないことだ。どう対策すればいいのだろうか。先のマネージャーがこう指摘する。

「今の時代、XやSNSをやることが、炎上と隣り合わせでリスキーなんですよ。芸能人でも一般人でもリスクは同じことだと思うし、決して対岸の火事ではないと思います。どうしても裏垢を作りたいのであれば、スマホを使い分けたり、裏垢はパソコンでしかログインできないよう制限したりするなどの対策を講じるべきだと思います」

 現代の日本では、人々に清廉潔白なイメージを求める傾向が強い。こうした窮屈な社会が続く限り、ストレスはたまる一方だろうし、それゆえ裏垢からの悪口の投稿や誹謗中傷はなくならないはずだ。一番の理想は、ストレス発散のはけ口をSNS以外に見出すこと、これに尽きるのではないだろうか。

ライター・宮原多可志

デイリー新潮編集部