8日からの週は、円相場主導の展開。世界的な株高で円安が進行も、週後半の米消費者物価指数が予想を下回ったことをきっかけに一気に円高方向に巻き返された。前週末の米雇用統計後に市場には米9月利下げ観測が広がった。米国ではナスダック主導で株式市場が活況を呈した。また、今週に入ると日経平均が3営業日連続で史上最高値を更新した。株高にともなって為替市場では円安が進行。ドル円は161円台後半と37年半ぶりの高値水準に、ユーロ円は175円台乗せと過去最高値を更新、ポンド円208円台乗せなどとなった。しかし、木曜日に発表された注目指標、米消費者物価指数が流れを変えた。前年比+3.0%など前回値や市場予想を下回る水準となったことが、米早期利下げ観測を広げ、ドル売り反応を広げた。蓄積したポジションに調整を促す面も指摘され、ナスダック指数の急反落、円相場に急伸などの動きにつながった。ドル円は161円台半ばから一時157円台半ばまで急落。クロス円にも急激な円高の動きが広がった。市場では重要指標発表に乗じて政府・日銀が円買い介入を実施したとの観測が広がっている。また、一部報道ではユーロ円などでレートチェックを行ったとの観測もあった。介入の有無について神田財務官はノーコメントとしている。市場推計によると3.5兆円規模の介入の可能性が指摘された。ドル全般では、ドル安の流れが一段と強まった。ドル指数は約1カ月ぶりのドル安水準に低下した。


(8日)
 東京市場は、ユーロ売り・円買いの動き。週末の仏国民議会選・決選投票で予想外に左派連合が一位となり、与党連合、極右勢力に勢力図が変化した。いずれも勢力も過半数に届かないハングパーラメント状態となっている。仏政治の混迷が続くとの見方でユーロ売りとともにリスク警戒の円買いにつながった。ユーロドルは週明けオセアニア市場で1.0840付近から1.0810付近へとマドを開けてスタート、一時1.0802近辺に安値を広げた。その後は1.08台前半での神経質な取引に。ユーロ円も174円台割れから一時173.52近辺まで下落。その後は174円手前まで反発と振幅。ドル円は先週末金曜日の雇用統計後の安値を割り込み、160.26近辺まで下落。その後は160.70付近まで反発と振幅。

 ロンドン市場は、円安・ユーロ高の動き。先週末の仏国民議会・決戦投票では左派連合、与党、極右勢力の順に議席を獲得した。事前に優勢が伝えられていた極右勢力は第3党に後退した。いずれの勢力も過半数は獲得できず、ハングパーラメント状態となった。週明けのオセアニア市場ではユーロが下窓を開けて取引を開始した。ただ、売りが一巡すると買戻しが入る格好でロンドン市場を迎えた。当初は売りが先行した欧州株だが、次第に買いが優勢になり、プラス圏を回復している。フランス国債の売りも一服。リスク警戒感が後退した背景としては、過半数を獲得した勢力がなかったことが、むしろ左派・右派に偏った極端な政策運営を行いにくい点が評価されているとの指摘があった。ユーロドルは1.08手前水準から1.0840台まで買われて、週明けの下げを解消した。ユーロ円は173円台半ばから174円後半まで一時上昇し、本日の高値を更新。ドル円は東京午前の160.26近辺を安値に、ロンドン時間には161円台に乗せる場面があった。ポンド相場はユーロに連れ高となっており、対ドルは1.28台割れから1.28台を回復、対円は205円台前半から206円台半ばへと上昇している。

 NY市場では、再びドル円の上値が抑えられた。ドル円はロンドン時間に161円台乗せとなる場面があったが、NY時間に入ると再び160円台に下落している。一方、160円に接近すると押し目買いも観測され、根強い円安がドル円を下支えした。ただ、今週のイベントを控えて上値に慎重になっている雰囲気も出ている。市場は今週のパウエルFRB議長の議会証言や米消費者物価指数(CPI)の発表を待っている。先週の米雇用統計は労働市場がやや冷え込んでいることが示され、インフレ緩和と年後半の景気減速がFRBの利下げに繋がるとの見方も出る中で、ドルの上値を圧迫。ユーロドルは1.08台で小動き。仏国民議会選結果について、市場にはひとまず右派が政権を取らなかったことで安心感が広がり、ユーロは小幅に上昇したものの反応は限定的。ポンドドルは一時1.2840ドル付近まで上昇したものの、1.28ドルちょうど付近に伸び悩んだ。