NY市場では、ドル円の上値追いが続いている。一時161.80付近まで上昇する場面が見られた。本日もパウエルFRB議長が下院で議会証言を行っていたが、事前原稿は前日の上院での証言とほぼ同様の内容となっており、市場も特段の反応は見せなかった。市場はむしろ、明日の米消費者物価指数(CPI)と明後日の生産者物価指数(PPI)に注目が移っているようだ。それらは利下げ見通しおいて重要な試金石になると見られている。ユーロドルは1.08台前半で上下動。仏議会選挙で右派政権誕生が阻止されたことから、市場には安心感が広がっている。乱高下していた仏国債もいまのところ落ち着いている状況だが、ユーロは再び上値を追う展開にはなっていない。ポンドドルはNY時間に入って買いが強まり、1.28台半ばに上昇。この日は英中銀チーフエコノミストのピル委員と、タカ派の急先鋒となっているマン委員の発言が伝わっていたが、双方ともに利下げに慎重姿勢を示していた。これらの発言を受けて短期金融市場では8月の英中銀の利下げの確率が低下している。

(11日)
 東京市場で、ドル円は161円台後半で推移。午前に前日のドル高円安の反動や介入警戒感などから伸び悩み、一時161円台半ばまで押し戻された。しかし、その後は日経平均やアジア株の上昇から円売りが入り、午前の下げを帳消しにした。日本時間今夜9時30分に6月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて様子見ムードが広がっていることから、値幅は限定的。クロス円は、日経平均やアジア株の上昇からリスク選好の動きで円安方向に振れている。ユーロ円は175.31付近と史上最高値を更新した。豪ドル円は1991年以来33年ぶりの高値水準となる109.37付近まで上昇している。

 ロンドン市場は、ややドル安方向に傾いている。米消費者物価指数の発表を日本時間午後9時30分に控えて、米10年債利回りが4.27%まで小幅に低下しており、ドル相場も調整の動きが入る格好。ドル円はロンドン朝方に161.76近辺まで買われていたが、その後は161.50割れ水準まで反落した。欧州通貨が堅調。ユーロドルは1.08台前半から一時1.0850台まで上昇、ポンドドルは1.28台半ばから1.2880台まで高値を伸ばしている。欧州株は連日の堅調な動きとなっており、ユーロ円は175.30台、ポンド円は208.10付近まで買われている。ユーロ対ポンドではややポンド買いが優勢。市場の関心は米消費者物価指数に集まっており、この時間帯はポジション調整が主導した。

 NY市場は、米CPIを受けてドル円が急落した。6月の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、FRBの利下げ期待を正当化する内容となったことで、米国債利回りの急低下と伴にドル円も急落。発表前の161.50円付近から一時157.45付近まで一気に急落する場面が見られた。一部報道が政府関係者の話として、財務省が介入を実施したと伝えていた。それに関して神田財務官の発言が伝わり「介入の有無はコメントする立場ではない」と述べていた。このタイミングでの介入の有無は未知数だが、短時間に一気に400ポイント超急落しており、介入に伴う下落と見てもおかしくはない。ユーロドルは一時1.09付近まで上昇も、1.08台に伸び悩んだ。ポンドドルも一時1.29台半ばまで買われ、1年ぶりの高値水準となっている。この日発表の英米の経済指標にかい離が出たことがポンドドルをサポート。ロンドン時間に5月の英月次GDPが発表になり、前月比0.4%増と予想を上回った。一方、米CPIはFRBの利下げ期待を正当化していた。