© 2024 Disney and its related entities

写真拡大

真田広之が主演・製作を務める、日本の“武士道”が初めて本気でハリウッドとぶつかったドラマ第8話『奈落の底』が、“神回”として視聴者の間で話題だ。

このエピソードで見られるのは、吉井虎永を演じる真田広之と、その腹心である戸田広松役の西岡紱馬による、まさに魂を震わす演技合戦。静かながら、武士の真髄を全世界に見せつける、畏怖すべき場面となった。

実はこのシーン、広松役の西岡紱馬の進言によって、当初の予定とはかなり大きく異なる変更が加えられ、結果として名場面誕生に繋がったという。西岡が米のインタビューに、通訳を通じて明かしている。

この記事には、「SHOGUN 将軍」第8話『奈落の底』の極めて重大なネタバレが含まれておりまする。まだ観ておらぬ者は、絶対に読んではなりませぬぞ!

この記事には、「SHOGUN 将軍」第8話『奈落の底』の極めて重大なネタバレが含まれておりまする。まだ観ておらぬ者は、絶対に読んではなりませぬぞ!

© 2024 Disney and its related entities 「SHOGUN 将軍」第8話、広松の切腹は西岡紱馬のアイデアだった?

50年以上の俳優歴を持つベテラン俳優、西岡紱馬。「SHOGUN 将軍」以前にも、過去の作品で切腹のシーンを二度演じたことがあるという西岡は、今回のシーンはこれまでと大きく異なるものだったと、米に話している。「なぜなら、虎永と私のキャラクターの間には、特別な関係性があるからです」。

西岡はオーディションを経て広松役を獲得しているが、「虎永と互いの目を見合うだけで、お互いを全て理解できるような関係性を演出できる必要がある」と、選考の時から製作陣より伝えられていたという。「例えば、『明日に向って撃て!』(1969)でポール・ニューマンとロバート・レッドフォードがやっていたようなことです」。

第8話『奈落の底』のクライマックスで、虎永は石堂への降伏を認める書簡への署名を求めるために家臣たちを集める。家臣たちはこれを拒否するが、虎永は日の本の存続のためであると譲らない。

これを聞いていた虎永最大の腹心、戸田広松は、気を変えぬのならここで切腹すると申し出る。広松は、異を唱える家臣に「黙らぬか!」と声を荒げ、ここからは自分と虎永の、二人の間の話であるとする。

二人は、「家臣が犬死に」「逆らう決断」との言葉を使って、声を張り上げて言い合う。その二人の間には、視線のみの無言の会話がある。察した広松は、虎永に全てを託すことを決め、「今生のお別れにございまする」と首を垂れる。息子の文太朗を呼びつけ、「決して殿を見捨てるでないぞ。たとえ殿が、御自ら命をお捨てになったように見えてもじゃ」と言い残して、その場で切腹する広松。長年の親友の命が自らのために果てる様を、虎永は震えながら見つめるのだった……。

このシーン、当初は広松は切腹せず、虎永の眼前で5人の家臣たちが腹を切るという脚本になっていたという。しかし、これではインパクトに欠けると考え、最終的に広松ひとりが切腹する展開に変えられた。

「実は、自分だけ切腹するというのは、僕のアイデアだったんです」と、西岡は明かしている。その方が、静けさや潔さが生まれるし、主君のために自分を犠牲にする武士道がより見せられると、西岡は考えたそうだ。

劇中での広松の切腹は、虎永と、その親友である彼の間で行われた、味方をも騙すための芝居である。「石堂のスパイの一人がそこにいるかもしれないという前提で、あの芝居を打ち、納得させるんです」「スパイに向けてちょうど良い真実味をもたらさなくてはいけない。そういう意味で、非常に慎重にやる必要がありました」。

撮影は丸一日かけて行った。当時の朝、真田広之にも「広松、今日がその日ですね」と声をかけられたそうだ。このシーンをもって広松は「SHOGUN 将軍」の舞台を去る。「彼はきっと、スクリーンの中での虎永と広松の関係を終わらせたくなかったんだろうなと、余韻のようなものを感じていました」と西岡は話している。

カットがかかった時、周囲は静かに拍手をしていたという。目の前の真田広之を含め、目に涙が溢れている役者たちもいたということだ。「あのシーンを撮影している時、僕は完全にゾーンに入っていました」という西岡によれば、カメラアングルの関係で何度か撮った部分はあるものの、基本的にはファーストテイクで済んだという。まさに西岡はこのシーンで、神がかった領域に入り込んでいたと言えるだろう。

©︎ THE RIVER

「SHOGUN 将軍」屈指の名シーンといえる広松の切腹には世界中の観客が驚愕。海外のYouTuberたちも「Oh My God」とし、圧倒された様子を見せている。

広松の孫娘である藤役で共演した穂志もえかはXで、「駄目だ無理すぎる
「#将軍」8話ご覧になりましたか?????私本当に、魂震えるほどかっこいい人たちとお仕事したんだなー!!!」と。桐の方役の洞口依子も「まさに、言葉をなくす名場面。西岡徳馬と真田広之だからこそ深く感じる場面かもしれません。今の今までここまで描き切れた名場面があったでしょうか」としている。「広松殿と虎永殿。まさに西岡徳馬と真田広之、彼らだから成立した場面。そして切腹の回収が見事で震撼。この場面にかかわった俳優、監督、美術、全てが素晴らしい。藤役の穂志さん、最初に腹切りをした夫宇佐美忠義役の高雄悠希に至るまでに、深く響き渡る。見事な脚本に唸る。」

真田広之は「まさに(広松役の)西岡さんは、あのシーンのためにこの役を引き受けたと言っても過言ではない」と。

「SHOGUN 将軍」はで配信中。

Source:

The post first appeared on .