金田喜稔氏が北朝鮮戦の16選手を査定【写真:ロイター】

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【専門家の目|金田喜稔】無失点に貢献のGK鈴木は「自信につなげてほしい」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング18位)は、3月21日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で北朝鮮代表(同114位)と国立競技場で対戦し、MF田中碧のゴールで1-0と勝利した。

 「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。

   ◇   ◇   ◇   

<GK>

■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★★☆
 鋭い反応を見せ、クロス対応もこの試合では安定していた。1本のキックからチャンスを作る場面もあり、最後尾で存在感を放った。全面的にパフォーマンスが良く、今回の無失点を自信につなげてほしい。

<DF>
■菅原由勢(AZアルクマール)=★★★★☆
→後半29分OUT
 前後半で出来に差が見られたが、久しぶりに菅原らしさを発揮できた試合。とりわけ攻撃参加では思い切りの良さも見せていた。本来のキック精度の高さがクロス面でも見られると存在感は一層高まるだろう。

■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★★☆
 押し込まれる時間帯もあり危ないシーンも作られたが、身体を張った守備に加え、空中戦でも強さを見せるなど無失点に大きく貢献。攻撃面でも個人の好判断でボールを持ち出して上がり、厚みを加えていた。

■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)=★★★★☆
 的確なカバーリングで大きな穴は作らず、板倉との連係も上々。高さでも強さがあり、最後まで強度を保ち続けた。相手に押し込まれながらも無失点で切り抜けた点は評価に値する。

■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★★☆☆
 広範囲をカバーしていたものの、相手に突破を許す場面も見られた。攻撃面では時折チャンスを演出していた一方、ビルドアップ時の工夫という点ではやや物足りなさが残った。組み立てる際に変化を加える臨機応変さがほしいところ。

■橋岡大樹(ルートン・タウン)=★★★★☆
←後半29分IN
 プレーした時間は長くなかったが、強度、スピードを見せてくれた。チームが苦しい時にこうしたプレーをしてくれるはありがたい限り。ボールを運び、キープし、相手からも奪い返す。途中出場としては役割を十分全うした。

■谷口彰悟(アル・ラーヤン)=★★★★☆
←後半29分IN
 積極的なラインコントロールを披露。投入と同時に3バックとなり、相手の攻撃を跳ね返し続けた。最終ラインの安定感と無失点で切り抜けた点は評価したい。

堂安だからできるプレーが秀逸、田中は背負いすぎている感も

<MF/FW>

■守田英正(スポルティング)=★★★☆☆
→後半13分OUT
 上手くタメを作っていたという言い方も出来るが、守田のところでやや流れが止まったという見方もできる。本来の攻撃性能を考えると、もっと効果的なパスの配球と攻撃参加ができるはず。田中のカバーを強く意識したのか、状態は今ひとつだったのかは分からないが、もっとできるというのが正直な印象。

■田中碧(デュッセルドルフ)=★★★★☆
 貴重な決勝ゴールを叩き込んだ点は評価ポイント。攻撃面でも積極的に顔を出し、サイドを上げる役割を担っていた。ただ攻守ともに1人で役割を背負いすぎている感もあり、中盤の機能性は物足りない。周囲との連係、意思疎通の部分が整理されていれば、もっと良かった。

■前田大然(セルティック)=★★★★☆
 あの走力は圧倒的であり、前田の守備から始まったチャンスも多い。決勝ゴールも身体を張った守備から始まっていた。スピードを生かした縦への突破も効果的だったが、決定的な局面での怖さは欠いた。

■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆
→後半29分OUT
 前半はボールに触る回数があまり多くなく、ペナルティーエリア内で勝負できるシーンも限られた。本人としても、思うように絡めなかったという感触だろう。守備ではプレスバックを懸命に行い、切り替えも早かった。

■遠藤 航(リバプール)==★★★☆☆
←後半13分IN
 相手に押し込まれる時間が続くなかでの投入となり、難しい舵取りを強いられた。チームを落ち着かせる効果は確かにあった一方、展開的に最終ラインがボールを跳ね返すなかで、遠藤のボール奪取力が生かされる場面は限定的だった。

■堂安 律(フライブルク)=★★★★☆
→後半29分OUT
「これを決めていれば」という決定的なチャンスを逃した点は減点材料だが、攻撃陣のなかで危険な雰囲気を漂わせ続けた。堂安がいい形でボールを持って周りが絡むと相手も無力になる。特に左足インフロントで出す縦パスが秀逸。股関節の柔らかさ、足首の強さなどフィジカル的も光り、堂安だからできるプレー。

上田の身体を張ったキープはさすがだったものの…

<MF/FW>

■上田綺世(フェイエノールト)=★★★☆☆
→後半36分OUT
 身体を張ったキープはさすがだったものの、ストライカーとして決めてほしい決定機があったが生かせなかった。数少ないチャンスで決め切るようになれば真のエース。

■浅野拓磨(ボーフム)=★★★☆☆
←後半29分IN
 巧みな抜け出しからチャンスを作ったが好守に阻まれた。機転を利かせた動きで攻撃に変化を加えていたものの、チームとしての戦術的機能度が低く、能力を十分に発揮し切れなかった。

■小川航基(NECナイメヘン)=※時間短く採点なし
←後半36分IN
 短い時間のなかで絡む回数は少なかったが、ヘディングをはじめ、1回でも怖さを与える場面を作りたかった。(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)