道を間違えて行き止まりに!バックで戻れない!

@Kazuyuki-a19/stock.adobe.com

運転中に見知らぬ土地や不慣れな住宅街の小道に入った時、行きつく先が行き止まりだったということがよくあるのではないでしょうか。

車両をバックで移動させ、交差点まで戻るが大変だなと思った時に、行き止まりの付近にある民家の駐車場にスペースがあって、ここなら転回(Uターン)できそうと、他人の家の駐車場に車を進め、転回したことがある人も多いと思います。

この時、多くのドライバーは「ごめんなさい、少しだけ車を入れさせてください」と心の中で思いながら転回すると思いますが、こうした行為は法的にOKなのでしょうか。

「他人の家の敷地で転回」は損害賠償を請求される?

©photobyphotoboy/stock.adobe.com

道路交通法や交通の方法に関する教則には、転回を禁止する場所や転回時の方法が記載されていますが、ここには「私有地に入り転回することを禁止する」という記述はありません。

それなら法的にOKと思いたいところですが、民法に則って考えると、他人の家の敷地内に入って転回する行為は、合法とは言い難いものになります。

民事上で問題があるかを考える際にベースとなるのは、相手への損害賠償請求が可能かどうかという点です。

私有地内への不法駐車や、転回によって私有財産を壊されたといった、長時間の迷惑行為や物損行為に対しては、駐車された時間に応じた損害相当額や壊れたモノの弁償費用を相手へ請求することができます。

しかしながら「ごくわずかな時間、車が私有地内に入り転回したという行為で、明確な損害が発生したかと言われると非常に難しい」と法律の専門家は回答しています。仮に損害が発生したと認定されても、その損害額はごくわずかなもの。相手方への請求の手間や費用を考えると、損害賠償請求は現実的ではないということです。

こうした点を加味すると、民事上では違法性を問うのは難しいという結論になります。ただ、家の敷地内に知らない車が入ってくるという事実は、居住している人からすると非常に迷惑なものです。

運転マナーの一つとして、私有地を介した転回は避けるべきと考えるのが良いでしょう。

他の家の駐車場で転回するのは不法侵入?

©️yako/stock.adobe.com

次に刑事の側面で、駐車場での転回行為を見ていきましょう。

刑法130条1項には住居侵入罪が定められており、転回行為が住居侵入罪に当てはまるのかが焦点となります。

住居侵入罪に当たるか否かは、居住している人の意思に反して住居に侵入するかどうかです。一般的に、見ず知らずの人の車が私有地内に入ってくることを大歓迎という人はいないはずです。こうした、居住者の意思に反して車を駐車場に入れる行為は、住居侵入罪に当たる可能性があるということになります。

「住居」には、家などの建物のほかにも、敷地内にある駐車場も含まれます。このため、「駐車場へ一時的であっても、居住者の同意なく車を入れる行為は住居侵入にあたる」と法律の専門家は話します。

実際に住居侵入で捕まるの?専門家に聞いてみた

©moonrise/stock.adobe.com

こうした事象で警察が動き、該当車両の所有者や運転者を逮捕するところまで動く可能性は低いと、専門家は話していました。仮に短期間に何度も、同じ人が故意的に侵入を繰り返すようなら、警察が動く可能性もあるようですが、1回だけの不可抗力的な転回では、警察による注意が行われる可能性がある程度だというのです。

しかし、居住者の心中を考えれば、自分の敷地を使っての転回行為はなはだ迷惑な行為であることに違いはありません。ドライバーとしては、いかなる場合であっても、同意なしに他人の家の駐車場へ車を入れる行為を行うべきではないと筆者は考えます。

また、行き止まりの近くに自宅があり、他者の転回行為に悩まされているという方は、自宅駐車場へ入られないようにゲートやポールを設置する、注意喚起の張り紙を行うなどの対策を取るのが有効な手段です。

不法侵入に問われる可能性は非常に低い、他人の家での転回行為ですが、ドライバー一人一人のマナーとして、こうした行為は行うべきではありません。スペースがあるからと容易に考えず、来た道をバックで注意しながら戻るか、公道の範囲内で転回するというのが、ドライバーとしての正しい選択です。