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敢えて乗るなら最高のエンジンを

この先10年ほどで急速にEV(電気自動車)が普及するなどとはまったく思っていない。

【画像】最高の純エンジン車【5モデルを詳しく見る】 全180枚

しかし、グローバル視点で考えると欧州発のヒステリックなまでのカーボンニュートラルにより、クルマに対する燃費の締め付けはますます厳しいものとなるだろう。


日産スカイライン400R    田村翔

するとどうなるか。たとえEVやFCV(燃料電池車)のようにエンジンを排除して完全にモーター化する車種が爆発的に増えなかったとしても、エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドが必須となるのは間違いない。

いわゆる電動化だ。

もちろん、モーターを組み込んだ電動化を否定するつもりはない。

燃費への貢献という正義はあるし、ハイブリッドシステムの程度にもよるが簡易的なマイルドハイブリッドであれば軽自動車のように大きな価格アップなく搭載することもできる。

しかし、本当にそれでいいだろうか。

世の中の流れは止められないし電動化は「正義」なのだか、ここで声を大にしてクルマ好きに問いたいのは「黙ってそれを見ているだけでいいのか?」ということだ。

ストレートにいってしまえば「電動車なんてこれからいつでも乗れる。だからこそ、モーターを組み込まないピュアエンジン車に今こそ乗っておくべきではないのだろうか?」である。

この記事は、そんな意見に共感してくれる人だけを対象としたものだ。

「オレはハイブリッドでいいもんね」というのであれば、見なかったことにしてこのページを閉じることをオススメする。

というわけで、今だからこそピュアエンジン車に乗っておこうという考えに共感してもらえる人に伝えたいのは「あえて乗るなら、最高に気持ちいいエンジンを!」ということ。

いくらピュアガソリンエンジンとはいっても、エンジン自体がエネルギッシュでそのフィーリングに刺激や快楽がなければあえて乗る意味なんてない。

つまらないエンジンに興味はない。どうせならそのエンジンの酔いしれ、気持ちよさに昇天するか溺れさせてくれるくらいのエンジンを選ぶべきである。

日産スカイライン400R

そんな麻薬のようなエンジンの筆頭といえるのは、日産「スカイライン400R」に積むVR30DDTT型3.0LのV6ツインターボだ。

このエンジンは最高出力も405psとかなりのパンチ力だが、体感すべきはそこではない。


日産スカイライン400R

このエンジンはターボエンジンながら、低回転で力が強い代わりに高回転が苦手という今どきの実用ターボとは真逆の特性。

回転を上げれば上げるほど、湧き出すかのようにパワーがさく裂するのだ。フィーリングもサウンドも官能的で、いま味わっておくべきエンジンの代表格といえる。

日産フェアレディZ

日産には、味わい深いエンジンを搭載するクルマがもう1台ある。「フェアレディZ」だ。

Z34と呼ばれる現行型フェアレディZのデビューは2008年12月ともう13年も前のことで、来年早々には別のエンジン(何を隠そうスカイライン400Rと同じユニット)を積む新型がスタンバイ。


日産フェアレディZ    日産

しかし、あえて今買う理由はしっかりある。

それがVQ37VHR型の自然吸気V6エンジンの色気。エンジン型式からもわかるように排気量は3.7Lだ。

このエンジンの素晴らしいところは、中間域のフィーリングの艶っぽさ。

具体的にいえば3500-4500rpm付近でジワリとアクセルを踏んだときに感じられる、脈を打つような鼓動と息づかい。

まるで恋人同士がキスをするかのように、ドライバーの心とエンジンがシンクロする一体感が得られる。

次期型のZに搭載されるVR30DDTT型エンジンも相当にエモーショナルだが、ピュアな自然吸気エンジンを積むZはもうこれで最後だろうし、それはそれで価値がある。

レクサスIS350

そしていま、日産と並んで乗っておくべきエンジンの宝庫といえるのがレクサスである。

たとえば「IS350」だ。


レクサスIS350    前田恵介

注目すべきは、そのボンネットに収まるのが318psと高出力&高回転型の自然吸気6気筒エンジンだということ。

いま、プレミアムセダンにおいても時代が求めるのは効率と燃費。

だからターボ化と小排気量&省気筒化が着実に進んでいる。

ISと同じクラスであるBMW「3シリーズ」は6気筒エンジンこそ用意するものの自然吸気ではなくターボ。

メルセデス・ベンツ「Cクラス」は新型になり、全車ターボ化(先代からそうだった)どころかスポーツモデルのAMGも含めて6気筒エンジン搭載車がなくなってしまった。

そんななか、われらがIS350はこだわりの6気筒エンジン、しかも自然吸気で回せば回すほど情熱的になる高回転型を用意してくれているのだから、感謝しかない。

周りを見まわしても、このクラスで6気筒自然吸気エンジンを積むのはIS350くらいだ(1クラス上だと日産「フーガ」もある)。

搭載する2GRエンジンは、とにもかくにも官能的。

レスポンスも、高回転で炸裂するパワー感も、そしてサウンドも、すべてがすべて色気の塊である。

回せば回すほどフェロモンを放出するから、ドライバーは快楽に溺れることになるだろう。なんとも罪なエンジンである。

レクサスRC F&LC500

もしかすると「その上の世界」を知りたくなる人もいるかもしれない。

レクサスならそのニーズにもしっかり応えてくれるのだからさすがだ。


レクサスLC500

レクサス「RC F」や「LC500」といった超パフォーマンスモデルに搭載するのは、いまや世界でも希少となった大排気量V8自然吸気エンジン。

レクサスのライバルに相当するプレミアムブランドの中でも、V8自然吸気を搭載するモデルはすでに消えてしまった。

なぜなら、トヨタと違ってメーカー内の平均燃費に余裕がないからである(欧州では平均燃費が基準を満たさないとメーカーに高額の罰金が科せられる)。

ハイブリッド戦略が当たり平均燃費の基準に余裕があるトヨタだからこそ、V8自然吸気のような燃費が悪いエンジンもラインナップに残せるのだ。

話は脱線したが、この2UR-GSEエンジンは色気と刺激の両刀使いである。

排気量は5.0Lで最高出力はRC Fが481psでLC500が477ps。

そんなハイパワーがもたらす加速も刺激的だが、アクセルを踏み込んだ瞬間に顔を出す、猛獣が野に放たれるような感覚とさく裂するような高回転のパンチ力は気絶しそうなほどの豪快さ。

これを味わわずにEVへと進むのは、クルマ好きとしてはもったいなさすぎる。

おそらくこの先、モーターを組み合わせない純粋な内燃機関車はどんどん牙を抜かれ、速さでもエモーショナル面でもEVとの立場が逆転することになるだろう(すでにポルシェ「タイカン」などはガソリン車以上に速くて官能的だ)。

しかし、だからこそ、今のうちに最高のガソリン車を楽しんでおくべきではないだろうか。残された時間は、そう多くない。