2020年4月24日に発売された第2世代iPhone SEは4万円台という低価格モデルでありながら、記事作成時点で最新世代のSoCであるA13 Bionicチップセットと3GBのRAMを搭載しています。見た目がよく似たiPhone 8や、同じA13 Bionicチップセットを搭載するiPhone 11とどれだけ性能が違うのかを確かめるため、ベンチマークアプリであるAnTuTu BenchmarkとBenchmark 5を使って比較してみました。

第2世代iPhone SE - Apple(日本)

https://www.apple.com/jp/iphone-se/

◆AnTuTu Benchmarkで計測・比較してみた

まずはスマートフォン向けベンチマークアプリとしてAnTuTu Benchmark Ver.8.1.0を使ってみました。

AnTuTu Benchmark on the App Store

https://apps.apple.com/jp/app/antutu-benchmark/id803837129

左からiPhone 8、第2世代iPhone SE、iPhone 11で、いずれもOSをiOS 13.4.1にアップデート済み。気温21度、湿度45%の環境下で、AnTuTu Benchmarkを同時に起動します。



なお、iPhone 8、第2世代iPhone SE、iPhone 11のスペックは以下の通り。

 ディスプレイSoCRAM価格(税別)iPhone 84.7インチ Retina HD ディスプレイA11 Bionic+Neural Engine2GB5万2800円〜第2世代iPhone SE4.7インチ Retina HD ディスプレイA13 Bionic+第3世代Neural Engine3GB4万4800円〜iPhone 116.1インチ Liquid Retina HD ディスプレイA13 Bionic+第3世代Neural Engine4GB7万4800円〜

序盤の3DCGレンダリングパートを以下のムービーで見ることができます。A13 Bionicチップセットを搭載した第2世代iPhone SEとiPhone 11はほぼ同じ速度で処理されますが、A11 Bionicチップセットを搭載するiPhone 8は第2世代iPhone SEとiPhone 11にやや遅れており、ムービーもわずかにかくついているのがわかります。

iPhone 8、第2世代iPhone SE、iPhone 11でAntutu Benchmark Ver8.1.0のムービーレンダリングを比較したところ - YouTube

結果は以下の通り。総合スコアは2世代前のiPhone 8(左)が28万4661点ですが、第2世代iPhone SE(中央)は48万1262点、iPhone 11(右)は49万3241点。GPU性能では、第2世代iPhone SEがiPhone 8のほぼ4倍近いスコアをたたき出しています。iPhone 8と第2世代iPhone SEは、見た目はほぼ同じではあるものの、中身は大きく異なる模様。それに対して、第2世代iPhone SEとiPhone 11は性能にほぼ差がありません。



なお、2016年に発売された第1世代iPhone SEでAnTuTu Benchmarkを走らせた結果が以下。



◆Benchmark 5でスコアを計測してみた

さらに、Benchmark 5でもiPhone 8、第2世代iPhone SE、iPhone 11でベンチマークテストしてみました。。バージョンは記事作成時点で最新のVer.5.1.1です。



「Geekbench 5」をApp Storeで

https://apps.apple.com/jp/app/geekbench-5/id1435082259

なお、Benchmark 5では第2世代iPhone SEがなぜか「iPhone 12,8」と表記されました。A13 BionicチップセットのCPUのクロック周波数は2.65GHz。Appleは第2世代iPhone SEのRAMサイズを発表していませんが、RAMは2.88GBとなっており、発売前の予想通り3GBである様子。



BenchmarkではCPUとComputing(演算)の2つでベンチマークを行うことができ、CPUではシングルコアとマルチコアの2つで評価可能。A11 Bionicチップセット搭載のiPhone 8だとこんな感じ。



そして、A13 Bionicチップセットを搭載する第2世代iPhone SEだとこんな感じ。シングルコア・マルチコアともに明らかにiPhone 8よりも高いパフォーマンスを発揮していることがわかります。



iPhone 11の結果が以下。シングルコアでのパフォーマンスはわずかに第2世代iPhone SEが上回っていますが、マルチコアでのパフォーマンスはiPhone 11の方が上。特に暗号化アルゴリズム処理パフォーマンスのスコアであるCrypto Scoreは、マルチコアだとiPhone 11が第2世代iPhone SEをかなり上回っています。



また、コンピューティングの結果を比較したところが以下。一番上に書かれている「Metal Score」が大きいほど総合的な性能が高いことを意味します。第2世代iPhone SEは、2世代前のSoCを積むiPhone 8のほぼ倍近いMetal Scoreをたたき出しており、iPhone 11と差がありません。



Antutu BenchmarkとBenchmark 5のスコア結果はあくまでも参考値ですが、それでも第2世代iPhone SEと、外見がほぼ同じiPhone 8との間で大きな性能差があることがはっきりと示されました。第2世代iPhone SEは、処理性能がiPhone 11とほぼ同じでありながら価格は抑えられており、コストパフォーマンスはかなり高いといえます。特に「そろそろiPhone 8から乗り換えたい……」と考えている人にとっては、「使い勝手はほぼ変わらず性能はiPhone 11とほぼ同等」という点から、第2世代iPhone SEへの買い換えは十分おすすめできます。

また、第2世代iPhone SEはiPhone 8と異なり、第3世代Neural Engineも搭載することで、画像処理能力も格段と向上しており、リアカメラとフロントカメラの両方でポートレートモードが使用可能。第2世代iPhone SEは、見た目はiPhone 8の後継機でありつつも、中身は大きく進化しているといえます。ただし、iPhone 11と違ってナイトモードや120fpsスローモーションムービー撮影などができないので注意が必要です。