関連画像

写真拡大

「コロナウイルスに感染した」。乗客がこんなウソをついたため、カナダの旅客機が離陸後、引き返しを余儀なくされる事態があったという。

報道によると、カナダのウェストジェット航空のトロント発ジャマイカ行きの旅客機で、男性が立ち上がって、「最近中国に行き、コロナウイルスに感染した」などと発言した。

そのため、旅客機はトロントの空港に引き返したという。男性は検査の結果、感染は確認されず、迷惑行為に及んだとして、現地の警察に逮捕されたという。

もし日本で、こうしたウソをついた場合、罪に問われるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。

●威力業務妨害などに問われる可能性

「威力業務妨害罪(刑法234条/3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

航空機の場合には『航空機の強取等の処罰に関する法律』(通称・ハイジャック防止法)が定められており、航空機運航阻害罪(同4条/懲役1年以上10年以下の懲役)に問われる可能性もあります。

民事的にも、航空会社が被った損害の賠償責任が生じます。それにとどまらず、旅客について生じた損害についても賠償責任が生じます」

――日常的な場面で、こうしたウソをついた場合はどうか?

「日常的な場面であっても、威力業務妨害罪や損害賠償責任を問われる可能性があることに変わりありません。気軽な冗談として通じ合える仲間内での出来事で問題にならなければよいですが、情勢が情勢だけに、気軽な冗談という言いわけは通用しないことを肝に銘じるべきでしょう」

【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp