ZTEが一番のり!サムスンは乗り換え無料!中国で始まる5Gスマホ販売合戦(山根康宏)
ZTEは8月5日から5Gスマートフォン「AXON 10 Pro 5G」の販売を中国で開始しました。価格はRAM6GB+ROM128GB版が4999元(約7万5000円)。5Gスマートフォンとしては比較的リーズナブルな値段です。大手ECサイトであるJD.com(京東)では深夜0時に発売したところ、10分で初回入荷分が完売するほどの人気となりました。中国ではまだ正式に5Gサービスは始まっていないものの、いつ開始されてもいいように今から5Gスマートフォンを買っておきたいと考える消費者が多いようです。

ZTE以外ではファーウェイが「Mate 20 X(5G)」を8月上旬発売予定で、中国のキャリアなどで予約を受け付けています。7.2インチの大画面で5Gの高画質動画をストリーミングで楽しめるなど、5G利用に向いた製品です。中国聯通の店舗でも5Gのデモを行っていますが、Mate 20 X(5G)はどの店舗にも展示されていました。



中国メーカーのスマートフォンはすでにシャオミの「Mi MiX 3 5G」とOPPOの「Reno 5G」がヨーロッパなどで販売されています。中国でも販売すればよさそうですが、キャリアが5Gをまだ正式に開始していない状況で販売するのは早すぎると判断しているのでしょう。なおOPPOは上海や深センのフラッグシップストアで中国国内向けのReno 5Gを使った5Gデモをすでに開始しています。



6月に上海で開催されたMWC19上海でも中国メーカーの5Gスマートフォンが数多く展示されていました。Vivo、OnePlus、レノボからも5G端末が発売される予定です。各社はまだ発売スケジュールに関してのアナウンスはありませんが、展示会では5Gの電波をつかんだ状態でデモを行っていたので、早い時期に製品化されることは間違いないでしょう。



ところで世界の5G開始キャリアの多くがサムスンの「Galaxy S10 5G」を販売しています。サムスンはスマートフォン販売台数で世界シェア1位ですが、中国ではここ数年急激に存在感を失っています。しかしGalaxy S10シリーズやラインナップを一新したGalaxy Aシリーズが中国で話題になっており、復活の兆しを見せています。Galaxy S10 5Gも中国キャリアは販売する予定です。



サムスン中国はいま、4G版の「Galaxy S10+」「Galaxy S10」「Galaxy S10e」そして「Galaxy A80」の購入者に、5Gスマートフォン、すなわちGalaxy S10 5Gが発売されたときに無料アップグレードできるキャンペーンを開始しています。



無料といっても完全無料の意味ではなく、下取り費用などが不要で販売価格の差額で端末を交換できるというもの。まず99元(約1500円)のサムスン5G倶楽部に加入し、あとはGalaxy S10 5Gの発売を待つだけ。発売時にはGalaxy S10 5Gと上記4機種の定価との差額を払い、さらに指定された通信キャリアの指定プランに加入が必要となります。「5Gを使いたいけど、いま発売中のサムスンの4G新機種も気になる」という人をターゲットにしており、サムスンのシェアアップを図ろうとしているのです。



iPhoneも2019年9月の新機種には5Gは乗らず、2020年の新製品で5G対応と噂されています。そうなると「今年のiPhoneはパスしよう」と考える人も多いかもしれません。5Gの本格的なサービスインを前に、メーカー側が消費者に対して新機種への買い替えがしやすいプログラムを提供する必要があるかもしれませんね。