3月20日から4日間にわたり、世界フィギュアスケート選手権がさいたまスーパーアリーナで開催され、男子シングルスはネイサン・チェン(アメリカ)、女子シングルスはアリーナ・ザギトワ(ロシア)の優勝で幕を閉じた。

 平昌五輪後の2018−2019シーズンの女子は、日本勢では紀平梨花の躍進が目立ったが、海外勢も不調から脱却する選手や、大きく躍進する選手が出てくるなど激動の1年になった。来シーズン、さらに2022年の北京五輪でも日本勢のライバルになりそうな、世界選手権出場の女子トップスケーターたちに注目した。



アリーナ・ザギトワ(ロシア/16歳)

完全復活の平昌金メダリスト

【世界選手権】SP 82.08/FS 155.42/総合237.50(1位)

 2017年のジュニア世界選手権をジュニア歴代最高得点で優勝。同年9月にシニアデビューを果たすと、グランプリ(GP)ファイナルや欧州選手権など主要大会で無敗を誇り、2018年の平昌五輪で金メダルを獲得した。今シーズンは昨年12月のロシア選手権で5位になるなど苦戦が続いたものの、世界選手権で初優勝。フリーの演技終了後には両手で顔を覆い歓喜の涙を流した。



エリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン/19歳)

4回転ジャンプの衝撃

【世界選手権】SP 75.96/FS 148.80/総合224.76(2位)

 平昌五輪は12位に終わったが、コーチを変更して臨んだ今シーズンに急成長を遂げた。148センチと小柄ながら4回転サルコウに挑戦するなど積極的な滑りで、今年2月の四大陸選手権で2位と躍進。続く世界選手権のフリーでは、シニア女子初となる4回転サルコウを成功させ、カザフスタンの女子として初めて世界選手権の表彰台(2位)に立った。



エフゲニア・メドベデワ(ロシア/19歳)

苦境を乗り越えた元世界女王

【世界選手権】SP 74.23/FS 149.57/総合223.80(3位)

 シニア参戦2年目の2016−2017シーズン、SP、フリー、総合の歴代最高得点を何度も更新し”絶対女王”として君臨。しかし、平昌五輪では同じロシアのザギトワに敗北(2位)し、今シーズンはGPファイナル進出を逃すなど低迷した。世界選手権への出場も危ぶまれたが、迎えた本番ではSP4位からフリーで3位に順位を上げて表彰台を獲得し、復活の兆しを見せた。



ブレイディ・テネル(アメリカ/21歳)


成長する高身長スケーター

【世界選手権】SP 69.50/FS 143.97/総合213.47(7位)

 167センチの長身を生かしたダイナミックな滑りで、2017−2018シーズンのGPシリーズ・スケートアメリカで3位、全米選手権で優勝を果たした。今シーズンは安定して総合200点を超える得点を記録し、チャレンジシリーズの大会で2勝。世界選手権でも自己ベストの総合213.47点で7位に食い込むなど、今後はさらなる上位進出が期待される。



ソフィア・サモドゥロワ(ロシア/16歳)

フィギュア大国の新星

【世界選手権】SP 70.42/FS 138.16/総合208.58(8位)

 ジュニア時代は、2017年のジュニアグランプリファイナル6位など、表彰台に届かないこともあったが、シニアデビューの今シーズンに頭角を現した。GPシリーズのスケートアメリカで3位、ロシア大会(ロステレコム杯)で2位に入り、GPファイナルでは5位と健闘。競争が激しいロシア勢の中で世界選手権代表の座を射止めるなど、存在感を増してきている。



マライア・ベル(アメリカ/22歳)

輝きを取り戻したアメリカの妖精

【世界選手権】SP 71.26/FS 136.81/総合208.07(9位)

 2016−2017シーズンのスケートアメリカで3位に入り、自身初のGPシリーズ表彰台を獲得。さらなる飛躍が期待された翌シーズンは苦しい滑りとなったが、今シーズンは総合得点を190点台に戻し、今年1月の全米選手権で3位に。3度目の出場となる世界選手権は200点超えでトップ10入りを果たすなど、再びトップスケーターへの階段を登り始めており、期待が膨らむ。



イム・ウンス(韓国/16歳)

韓国フィギュア界希望の星

【世界選手権】SP 72.91/FS 132.66/総合205.57(10位)

 2017年の世界ジュニア選手権で4位に入り、韓国期待の若手スケーターとして注目された。シニアデビューの今シーズンは、GPシリーズのNHK杯で、順位こそ6位だったものの自身初の総合190点台を記録。続くロシア大会では3位表彰台を獲得し、世界選手権で自己ベストを更新する205.57点を記録した。長い手足を生かした演技に磨きをかけ、来シーズンの飛躍をめざす。



ガブリエル・デールマン(カナダ/21歳)

リンクに戻ってきたカナダの実力者

【世界選手権】SP 69.19/FS 123.48/総合192.67(11位)

 2016−2017シーズンの四大陸選手権で2位、世界選手権で3位に入るなど飛躍を遂げ、2度目の五輪出場となる平昌五輪では団体戦でカナダの金メダル獲得に貢献した。今シーズンは摂食障害など健康上の不安で休養を余儀なくされたが、今年1月のカナダ選手権で復帰(5位)。世界選手権でも持ち前のダイナミックな演技を披露した。



ロエナ・ヘンドリックス(ベルギー/19歳)

兄も代表選手のベルギーの女王

【世界選手権】SP 62.60/FS 123.69/総合186.29(12位)

 同じくフィギュアスケーターである7歳上の兄は、2014年のソチ五輪から2大会連続で五輪に出場。平昌五輪には兄と共に出場し16位だった。2016−2017シーズンからベルギー選手権を3連覇しており、昨年9月のネーベルホルン杯(ドイツ)では自己ベストの総合204.16点で3位を獲得。来季は主要大会での上位進出を狙う。