「180センチを超える体格。鋭い眼光で声も大きい。面と向かうといかにも“ケンカ”が強そうな迫力がある。ひと言でいえば“戦国武将”みたいな人物。彼に比べれば、シャープの経営陣は“お公家さん”に見えてしまいます」

テリー・ゴウこと鴻海(ホンハイ)・郭台銘(カクタイメイ)会長(65歳)の人となりを語るのは、郭氏に20時間以上インタビューしているTMR台北科技の大槻智洋氏だ。

倒産寸前といわれたシャープは鴻海の6600億円の支援によりなんとか命脈を保った。しかも「シャープ」のブランドは残し、現経営陣も存続させ、基本的に雇用は守るという好条件。だが、はたしてそれを額面どおりに受け取れるのか。ジャーナリストの須田慎一郎氏は、こう危惧する。

「いったん経営権を取得してしまえば、後はやりたい放題です。鴻海は郭会長が裸一貫から叩き上げで作った会社。経営手法も徹底してドライです。シャープから新たに受け取った文書を精査するまで、契約を見合わせると発表するなど早くも暗雲が立ちこめています。シャープのブランド価値が思ったほど高くないと判断すれば大胆に切り捨てられる可能性もある」

役員会の議決も無視。典型的ワンマン経営者として知られ、軍隊式とも呼ばれる経営スタイルで鴻海を巨大企業に育てた郭氏。郭氏の総資産は61億ドル(約6900億円)。金はいくらでもある。“英雄色を好む”の言葉どおり郭氏は色を好んだ。彼の華麗なる女性遍歴がそれを裏づける。

「24歳のときに結婚した最初の妻は二人三脚で事業を支えてきたんですが、妻が2005年に乳ガンで死亡するとさまざまな浮名を流すようになりました」(産経新聞中国総局特派員・矢板明夫氏・以下同)

そのお相手がVIP級の大物だった。一人は香港を代表する女優・劉嘉玲(ラウガーリン・現在50歳)。もう一人が“台湾一有名なモデル”といわれる林志玲(リンチーリン・現在41歳)だ。

「この2人とは、一緒にパーティに出かけるなど半ば公然と行動していました。2007年の鴻海の忘年会で、郭氏は数千人の社員を前に林と脚を深く絡ませるタンゴも披露しています。2008年に23歳年下のダンス・インストラクター、曾馨瑩(ズンシンイン)と再婚したときは、2人と比べてあまりに地味な女性で驚かれましたが、60歳を過ぎてから子供を3人つくって絶倫ぶりを発揮しています」

ほかにも郭氏は女性投資家との不倫をネタに恐喝されたとして、2007年に自ら裁判を起こしている。

「女性の側が2人のベッドインの写真とビデオを暴露すると脅迫したのです。事実ならたいへんなスキャンダルですが、郭氏は記者会見までして全面否定しています。警察に被害届も出しました。当時、鴻海が上場して郭氏は大金持ちになったので、これはいわば“有名税”でしょう」

(FLASH 2016年3月15日号)