[Photo:Ina Fassbender / Reuters]

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「ホームで勝って優勝を決められたら最高ですね」
 4月14日、アウェイでのシャルケ戦を終えた香川真司は本当に晴れ晴れとした表情で答えた。90分間を戦い、「もういっぱい、いっぱいですね」と言いながらもその声は明るい。2位バイエルン、3位シャルケとの上位対決は中2日での過密スケジュール。それを連勝で終えたのだから、彼がホッとするのもわかる。
 15時半キックオフのシャルケ対ドルトムント戦が終わったころに始まったバイエルン対マインツは、その後0−0で終了したため、残り3試合を残し、ドルトムントとバイエルンとの勝ち点差は8と広がった。4月21日のブンデスリーガ、ドルトムント対ボルシアMG戦の試合は17時半キックオフ。15時半に始まる試合でバイエルンが引き分けるか敗れれば、その時点でドルトムントの優勝が決まる。バイエルンが勝利したとしても、ドルトムントは勝利すれば、マイスターシャーレを掲げることができるのだ。
 リーグ2連覇に王手をかけたドルトムント。しかし、昨季は負傷のため、チームが優勝街道を走るのを外から見守るしかなかった香川にとっては、初めての優勝争いとなる。
「すごい、タフな戦いだなぁとは思います。そういう中で結果を残すのは難しいとも感じる。でもここで戦えているのは選手としては、すごく幸せなこと」と、4月11日のバイエルン戦後に語っている。

 3月30日、ホームにシュトゥットガルトを迎えた一戦で、ドルトムントは33分、49分とゴールを決めた。しかし、71分、77分、79分立て続けに失点。ボランチから後ろが混乱し、相手の勢いにおし込まれたミスも目立った。しかし、81分、87分に追加点を決め、4−3にしたものの終了間際に失点してしまい、4−4で激闘を終えた。引き分けたとはいえ、後味の悪い試合だったに違いない。

 4月7日、ヴォルフスブルクでの一戦でも2点を先制したが、後半に1点を返されてしまう。相手が一人退場者を出したというのに、とどめの3点目が決まったのは90分。ロングボールで攻め込むヴォルフスブルクに手こずる場面もあった。

「後半になるとチーム全体として、ペースが落ちている。だから、ボールを受けても余裕がないというか、みんなが疲れているのは感じます。僕らは前半から飛ばしているので、後半の戦い方は落ち着いてサッカーをすべき。特に今日は相手のDFラインが高く、その裏のスペースへ向かって攻め急ぎすぎた。 バイエルン戦は同じことをくりかえさないようにしないと。チームとしてなかなか抑えが利かないというのはあるけれど、それが俺らのスタイルだから。問題なのは3点目が取れないということだと思う」
 勝ち点を奪えたものの香川は納得がいかないという顔だった。自身も81分に交代している。

 4月12日、バイエルンを迎えたシグナル・イドナ・パークは試合前から、興奮と熱気に包まれていた。最高の試合を期待するサポーターの思いがスタジアムに充満していた。
 しかし、お互いがリスクを嫌うような形でゲームはスタートする。ピッチ状態が悪いのか、滑ってミスをする選手も多い。香川も何度かクサビのパスを受けて、ちらそうとするが、チームメイトの動きだしが悪いのか、ボールをポンと落とした場所には味方はおらず、相手ボールになってしまう場面も何度かあった。0−0のまま、後半に入ると守備への意識が強くなったのか、前線には香川とレヴァンドフスキだけが孤立するシーンも多くみられた。
「負けられない」という両チームの思いが、ゲームを堅いものにしていたのだろう。
 そんな均衡が破れたのは77分。レヴァンドフスキのゴールが決まる。74分に交代していた香川はベンチで立ち上がり、歓喜を爆発させていた。