東電と政府の合同会見。男は不規則発言を繰り返し、「出入り禁止」になっていた

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   「ネイビー通信」を名乗って東京電力の会見にたびたび出席していた男が、路上の車からICカード乗車券を盗んだとして窃盗の現行犯で、警視庁築地署に逮捕されていたことが明らかになった。男は、会見現場では、ちょっとした「有名人」で不規則発言を繰り返していた。東京電力の担当者も「質問の趣旨が分からない」と述べる事もしばしばで、「出入り禁止」になったほどだ。

   新聞などが伝えたところによると、逮捕された男は、6月21日、中央区銀座の路上に停めてあった車から、ICカード乗車券「Suica(スイカ)」1枚を盗んだ疑いが持たれている。

5月初旬に事実上の合同会見「出入り禁止」

   「ネイビー通信」が開設しているブログによると、男は、自らのことを

「本業は水玉白玉という会社経営者です。ネイビー通信は今年の3月初旬に作りました。すると3月11日に大震災が起こりました」

と紹介しているが、「水玉白玉」が何を指すのかは不明だ。さらにブログには、発生時に滞在していた船橋市から都内に移動するまでがつづられ、

「そして私はその後何故か東電に取材に来たのでした。それは3月14日です」

と、唐突に東電の会見に出席することになった様子だ。男に、これまでに記者経験があるかどうかも不明だ。

   男は会見で不規則発言を繰り返し、4月下旬に始まった政府と東電の合同会見でも、同様の行動をとったことから、会見の進行に支障が出るとして、5月初旬には事実上の「出入り禁止」となった。5月4日のブログでは、

「共同会見、私が出入り禁止になりました。なぜなら民主党政権の悪行の事実を私が追及したからです。ついに民主党政権のやった悪行・都合の悪い事実を隠蔽する動きがはじまりました」

と、出入り禁止処分に反発した。ただし、男は、東電が単独で開催する会見への出席は認められ、不規則発言を繰り返した。

   例えば、5月20日の決算会見では、被災者への賠償金の原資について質問する中で、男は突然

「それと、KDDI株は、まだ売ってないんですか」

と質問。

「影でうごめいている三井住友銀行の指示で流したのでは」

   東電はKDDIの大株主で、出資比率は7.97%。京セラ、トヨタに続いて3番目に大きい。東電の担当者が困惑しながら

「KDDIの話は唐突に頂戴しましたけど、これはマーケットに対する影響というものがございますので、個別銘柄について申し上げるのはどうかな、と」

と話すと、男は、

「賠償の原資じゃないですか?」
「マーケット、マーケットって、何で売ってないんですか?」
「株っていうのは、すぐ売れるんですよ!」

と怒鳴った。東電側は

「最大価格で売却しないと、誰のためにもならない」

と説明したが、話がかみ合わない状態が続いた。さらに、記者が会見の場で個別銘柄を売却するように要求すること自体、異例だと言える。

   司会者が

「他の記者の方もいらっしゃるので…」

と、発言をさえぎろうとするが、男はさらに質問することを要求。その質問が

「本日、読売新聞社で、築舘さん(築舘勝利常任監査役)が社長になるという大誤報、大っぴらなウソをですね、書きましたよね。これは、要するに、そちらがね、影でうごめいている三井住友銀行の指示で流したのではないか」

という荒唐無稽なものだったため、記者会見場は大爆笑に包まれ、東電の担当者も

「その点はわたくしどもからお答えする立場にありません」

と切り捨てた。

   このようなやり取りが会見ごとに繰り返されていたため、記者の間からは「会見が滞る」「時間の無駄」といった声が相次いでいた。

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