リーグ・アン第10節を終えた時点で2勝3敗5引き分けと14位に甘んじているパリ・サンジェルマン(PSG)。2連敗中で迎えた20日の第11節バランシエンヌ戦に、ル・グエン監督が選手起用で奇策を用いた。

 パウレタ(元ポルトガル代表)、リュインデュラ(元フランス代表)、メンディ、アルマン、フロといったレギュラークラスをベンチに置き、スタメンにママドゥ・サコ(DF、17歳)、ユヌース・サンカレ(MF、18歳)、ロリス・アルノー(MF、20歳)、グランディ・エンゴイ(MF、19歳)、ダビッド・エンゴグ(FW、18歳)といった若手を起用した。いずれもPSG育ちで、今季リーグ・アンにデビューしたばかりの選手たちだ。

 さらに驚きだったのが、これがリーグ・アン初試合・初先発となるサコがキャプテンに指名されたこと。ランドロー(フランス代表)、ジェペス(コロンビア代表)といった経験豊富な選手がいるにもかかわらずだ。サコは前週の12日に行なわれたグルノーブル(2部)との練習試合でもキャプテンマークを付けたが、まさかリーグ・アンの試合で同じ腕章を巻くとは思っていなかったようだ。PSGのホームページに「キャプテンを任されたことにとても感激した。でも試合が始まったら、もうそんなことは考えなかった」と語っている。ル・グエン監督も、「彼は下部のチームではつねにキャプテンだった。若い世代の象徴的選手だ」と若手中心のフォーメーションではリーダーにふさわしいことを強調した。

 監督は、17〜20歳の選手5人を一度に先発で起用したことについても、「外から見れば驚きだろうが、チーム内ではそうでもない。チームは多少の衝撃を必要としている。よく考えた末のことで、決して行き当たりばったりに決めたことではない」と説明した。

 試合結果は、スコアレスドロー。17歳のキャプテン、サコは左サイドバックとして冷静なプレーに徹した。アウェーだったことを考えれば、ル・グエン監督の賭けは成功したかに見える。しかし試合後、サッカー関係者の間では論議になった。「サッカーに年齢は関係ない。経験は少ないが勢いのある選手たちばかり」という見方がある一方で、「ショックを受けた。サコには荷が重すぎる」というU-18代表ブラカール監督の意見を筆頭に、ル・グエン監督の選択を疑問視する声が多い。