「よく眠る」ことで仕事はうまくいく

(「はじめに」より)

『仕事が冴える「眠活法」』(中村真樹著、三笠書房)の著者は、15年間にわたって睡眠の悩みを抱えるビジネスパーソンと向き合ってきた結果、このような結論に達したのだそうです。なぜなら睡眠には、仕事の成果に直結する2つの重要な働きがあるから。

・溜まった疲れを「リセット」する

・脳を「活性化」し、思考をクリアにする

(「はじめに」より)

睡眠不足で頭がぼんやりとする感じのまま仕事をするのは、最初から大きなハンデを背負っているようなもの。しかし仕事ができる人は、忙しいなかでも最低限の時間を確保し、きちんと質の高い睡眠をとっているのだそうです。そうして、脳も体もリフレッシュした状態で働いているということ。だからこそ、ビジネスパーソンはまず、「十分な睡眠時間」と「質のよい睡眠」の確保に力を注ぐべきだと著者は主張するのです。

そして本書では、そんな考え方を軸として「よりよい睡眠をとるための活動=眠活法」を紹介しているわけです。それらはどれも、実際にクリニックでビジネスパーソンに提案しているものばかり。

きょうはその中から、生産性を高める方法に焦点を当てた第4章「『昼の眠活』--生産性を高める4つの方法」に注目してみたいと思います。

昼の眠活(1):「眠気のサイクル」を活用する

私たちの体には約24時間周期の「概日リズム(サーカディアンリズム)」による眠気と、12時間周期の「概半日リズム(サーカセメディアンリズム)」、1.5時間周期の「超日リズム(ウルトラディアンリズム)」という3つのリズムが備わっているのだそうです。これを眠気の日内変動というのだとか。

もっとも大きな眠気は夜に生じるものの、それ以外にも日中に小さな眠気がさざ波のように起こっているということ。そして、この小さな眠気を特に感じやすいのが、午後2〜4時ごろだというのです。なんとなく、納得できる話ではないでしょうか? いずれにしても、こうした小さな眠気が起こるタイミングを知っておけば、それに合わせて仕事のやり方を工夫することができるわけです。

もちろん、コーヒーを飲んだり、昼休みに仮眠をとったりして眠気と戦うのも効果的。しかしその一方、眠気が出やすいときには「集中力を必要とする仕事を避ける」という方法も。眠気の出やすい時間を考慮に入れて、仕事をスケジューリングすればいいわけです。

やり方は単純です。どうしても眠気が強い時間帯には、体を動かす仕事や集中力を必要としない単純作業を行ない、眠気が軽い時間帯に知的作業をするのです。

(123ページより)

たとえば午前中は1日のなかで眠気を感じにくい時間帯なので、高い集中力を発揮することが可能。その時間に企画書を作成したり、書類をまとめたり、知的作業に取り組むようにする。そして昼食後の午後2時くらいからは、資料の整理や外回りなど、多少眠気があってもさほど支障がない仕事をすればいいということです。(122ページより)

昼の眠活(2):「カフェイン」を摂取する

昼食後の午後1〜2時ごろはどうしても眠気が出やすい時間帯。普段から眠気が強い人は、それを抑えるためにも昼休みにコーヒーなどを飲み、カフェインを摂取するといいそうです。カフェインは、アデノシンという眠気を誘発する物質をブロックする働きがあり、眠気を抑制してくれるというのです。

コーヒーを飲んで、カフェインが胃腸で吸収されて脳に作用するまでは、およそ20分。さらに、カフェインの効果はそこから3〜4時間続くので、午後1時に飲めば、午後4〜5時くらいまで効果が期待できるということ。

ちなみに「夜眠れなくなるのではないか?」と心配する人もいるかもしれませんが、カフェインの作用はそれほど長く続かないのだそう。個人差はあるものの、昼にコーヒーを飲んだからといって夜の眠気が抑制されることはほとんどないというのです。ただし、カフェインのとりすぎは体に悪影響があるので注意が必要。(125ページより)

昼の眠活(3):「仮眠」をとる

昼すぎの眠気が我慢できないくらい強いときには、10分程度の昼寝をすると脳をリフレッシュさせることが可能。もちろん普通の昼寝をするだけでも効果はありますが、コーヒー、つまりカフェインを摂取してから眠ると、すっきり目覚められるのだといいます。なぜなら、昼寝から起きるころにちょうどカフェインが効きはじめ、目覚めがよくなるから。

仮眠の前にコーヒーを飲んだグループと、飲まなかったグループを比較したところ、前者のほうが目覚めたときにすっきり感があったという研究報告もあるのだそうです。仮眠だけでも眠気は取れるものの、仮眠の前にカフェインを摂取したほうが、相乗効果で仮眠後の眠気が軽減するというわけです。

なお、ひとつ注意すべきは昼寝の時間。寝ついたあと20分くらい経つと、深い睡眠に入ってしまし、目覚めにくいうえ、もっと眠りたいと体が欲するというのです。そのため、リフレッシュにならないということ。くれぐれも、眠りすぎないように気をつける必要があるわけです。(127ページより)

昼の眠活(4):「夜の睡眠」に向けて準備する

上手に飲めばパフォーマンスアップに役立つコーヒーも、夕方以降に飲むと夜の眠りを妨げることがあるので注意。最新の研究により、コーヒーに含まれるカフェインが体内時計に影響することがわかってきたそうなのです。

光を浴びたときと、コーヒーを飲んだときに、体内時計がどうずれていくかを調べたところ、もっとも悪影響があるのは夜に強い光を浴びることですが、コーヒーを飲むのも悪い影響があることが確認されたのです。報告では、夕方以降にカフェインを摂取すると、眠気覚ましの効果だけでなく、体内時計に悪さをして眠りのリズムを乱す影響もあるとまとめられています。(129ページより)

コーヒーの効果は、飲む時間帯で変わってくるということ。カフェインによる覚醒効果は人によって違うものの、午後4時以降のコーヒーは控えるべきだというのです。(129ページより)

帰りの電車でうたた寝はNG?

同じことは、うたた寝にもいえるようです。朝の通勤電車でのうたた寝は寝不足の解消に一役買いますが、逆に帰宅するとき電車で20分以上眠ってしまうと、夜になっても眠気を感じにくくなってしまうから。そこで、質のよい睡眠を得るためには、帰りの通勤電車では眠らないようにするべきだといいます。

疲れて帰るときに電車で座ると、ついうとうとしてしまうのもわかりますが、そこでうたた寝をすると、眠気が飛んでしまいます。

家に帰ってもなかなか眠気が起きずに夜更かししてしまい、翌日もまた寝不足の状態で起きることになり、睡眠時間が足りないから帰りの電車でまたうたた寝…などと、悪循環に陥ります。

「昼寝」はありますが「夕寝」という言葉はありません。それは、夕方のうたた寝が必要ないからでしょう。(131ページより)

まとまって連続して時間をとってほうが、ぐっすり眠れるもの。また、疲れの解消度合いも違うといいます。どうしても眠気が我慢できず、帰りの電車でうたた寝するときには、5〜10分以内にとどめ、夜にまとまった睡眠時間を確保するように著者は勧めています。(130ページより)

著者のいうとおり、睡眠は仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えるもの。本書に書かれている考え方やメソッドを取り入れ、仕事を快活に進めたいところです。