満たされない思いは、映画が埋めてくれた。



――津田さんのタフでポジティブな精神力、どうやって身につけられたのか気になります…。学生時代を振り返っていただきたいのですが。

小学生の頃はジャカルタに住んでいて、日本に戻って来てから中高一貫校に入学しました。クラスの中心って言うほどド真ん中にはいたわけじゃないけど、わりと中心気味で、目立ったり目立たなかったり、みたいな(笑)。あ、高2の頃、生徒会長をやってました。

――きっと目立っていたんだと思いますよ(笑)。その頃、仲が良かった友だちというのは?

中1から高1まで同じクラスだった子がいて、音楽の話がキッカケで仲良くなったんですけど、そいつは落語を50席話せたりする、ちょっと変わり者でした。で、当時、邦楽のバンドブームだったんですよね。

――BOOWYとか、THE BLUE HEARTSとか。

そうそう。でも、そいつはピンク・フロイドやローリング・ストーンズとか洋楽ばかり聴いていたし、僕もボブ・ディランが好きで。周りの友だちが邦楽のコピーバンドをやっているなか、僕らだけバンドが組めずに取り残されちゃったんですけど、そいつがいてくれたおかげで、楽しい学生生活を送ることができました。

――彼と河原で殴り合いの喧嘩をした青春の1ページとか…。

全然ないです(笑)。穏やかな性格…というか、毒々しい部分は山ほどあるんですよ。でもそれは“表現”で出していこうかなと思っていて。そういう意味で、お芝居ほど懐の深いものってないですよね。

――さっき、今の子は健全だというお話をされていましたけど、当時の津田さんは毒々しい部分や鬱屈とした感情を抱えていたんですね。

どこか満たされない思いはありました。学校は楽しいんだけど、そこでは埋まらないもの、暗さみたいなもの…。生きることへの違和感だったり、社会との距離を感じたりすることも多かったですね。

――そういう気持ちをぶつけられるのが、お芝居だったと。

そうですね、だからハマった部分もあると思います。それに映画を観ている時間は、そういう不満や悩みを忘れられるというか。結局、アウトローが作っているものだと思うんです、映画って。だからかすごく居心地がよくて。映画にはずいぶん救われた気がします。あとは小説を読んだりとか。

――当時読んでいた小説って?

村上春樹はちょうどドストライクの世代ですね。あとは純文学系の……太宰治とか。あー、なんかベタすぎてこうやって話すのは恥ずかしいですね(笑)。



映画を作りたい。まっすぐに演劇の世界へ。



――高校卒業後、明治大学の演劇科に進学された津田さん。大学選びも相談せずに自分で決めて上京されたそうですが、当時、ご家族は心配されたんじゃないですか?

どうだろう…両親ともに放任主義なところがあったから。東京の大学に行くって言ったときも、母に「ふーん、そう。好きにしたらええやん」って言われたような記憶が…。大学3年のときに演劇の養成所に入って忙しくなって、勝手に休学しまして。事後報告になったんですけど、そのときも母は「しょうがないね」って(笑)。

――自由にさせたほうがこの子のためにいいと思ったのかも…?

何を言っても聞きそうにないし、勝手に決めてゴリゴリ進んでいっちゃうタイプだったから、放っておいても大丈夫って思ったのかな。半ばあきらめていたのかもしれない(笑)。

――津田さんを心配して、こっそり大阪から上京して来た、なんてことはなかったですか?

ないですね。来るときは必ず連絡がありました。「いついつ行くから、あんた空けときや」「空けられません」「なんでやねん」みたいな(笑)。大学に入って芝居を始めて、30歳くらいまで食えない時期が続いたんですけど、食べものとかを段ボールに詰めて送ってくれていましたね。だからやっぱり、心配かけたなぁとは思いますけど。…いや、どうなのかなぁ。

――…というと?

わりと楽しんでたような気がするんですよね。とくに心配してなかったんじゃないかなぁ…。うちの母親、ちょっと変わってるんですよ(笑)。

――どういうところが?

たとえば服装。ある日、突然「もう私は黒と赤しか着ない」って言って、本当に黒と赤しか着ないんです。オシャレっちゃオシャレなんですけど。お芝居を見に来てくれたときも、客席を映すモニターを見ていたら、赤い帽子が動いてて「あ、おかんや」ってわかるという(笑)。

――自分と似ているなと思うところはありますか?

似てるというか、影響はどうしても受けてますよね。たとえば、映画好きなのは母親の影響だし。小学生の頃から母に連れられて映画館に行ってましたから。



セクシーな男に欠かせない、大事なもの。



――これまでの人生を振り返っていただきましたが、45年間生きてきたなかで思い出に残っている誕生日はありますか?

うーん、子どもの頃、誕生日プレゼントに親父がプラモデルを買ってくれてうれしかった!みたいな話はあるけど(笑)。誕生日に対する思い入れが薄いのか、あまりよく覚えてないんですよ。そんななかでも40歳になった年は、自分でも大きな節目だったなって思います。

――それはどうして?

人生の折り返し地点というか、残された宿題をこれからすべて片づけないといけないと思ったんです。ここからもっと倍速で、もっと深く、手加減なしで生きていかなくちゃいけないぞって。

――では、45歳を迎えた今、やりたいことは何でしょうか?

映画を撮りたいですね! 舞台を作ったり本を作ったり、いろいろやらせていただいてきたけど、なぜかいちばんやりたい映画だけ、手が届かなくて。

――映画を撮りたいっていう気持ちが強いからこそ、撮れないのかもしれないですね。神聖なるものというか、簡単には手が出せないという。

そうなのかも。…うん、きっと、そうですね。ほかのことは思いついたらすぐ行動できるのに、映画だけはできない。でも、いつか絶対に撮りたいです。

――楽しみにしています。プライベートの目標はありますか?

海外に行きたいな。ポーランドやチェコとか。観光客でにぎわっているけど、悲しい歴史を背負った国じゃないですか。その土地の風景を見ながら、当時の人々の気持ちに寄り添い、思いを馳せてみたいです。

――実現できたらいいですね…。しかしこうやってお話させていただいて思うのは、津田さんの丁寧で柔らかな物腰だったり、落ち着いたトーンだったり、低く響く声からして色気がハンパないな、という…。

いやぁ……ありがとうございます(照)。

――津田さんが色気を感じる男性っていますか?

俳優の原田芳雄さん。昔、キリンのCMだったと思うんですけど、原田さんが野球選手の役を演じたシリーズがあって。ホテルのベッドの上にひとり正座して、女性からの電話に「うん、うん」って頷いてる姿を見たときに、ぐっと惹きこまれましたね。

――その姿が愛おしい感じだったんでしょうか…?

そうですね、可愛くてしょうがないんです。あと、『浪人街』(1990年)っていう映画がたまらんですよ。石橋蓮司さん、樋口可南子さん、勝 新太郎さんとか、そうそうたる濃いメンツのなかでも、原田さんが群を抜いて色気があって。オレが女だったら、そりゃもう…ってなる感じですね(笑)。

――セクシーな男性はチャーミングさも兼ね備えている。

そう思います。可愛さは絶対大事。

――じゃあやっぱり津田さんも。

僕なんてまだまだ子どもです。大人になりきれてないだけですよ(笑)。



【プロフィール】
津田健次郎(つだ・けんじろう)/1971年6月11日、大阪府生まれ。O型。1995年放送のアニメ『H2』(野田敦役)で声優デビュー。声優業のほか、舞台やドラマ、映画、ナレーションなど幅広く活動している。代表作はアニメ『遊戯王デュエルモンスターズ』(海馬瀬人役)、『テニスの王子様』(乾 貞治役)、吹替えでは『スターウォーズ/フォースの覚醒』(カイロ・レン役/アダム・ドライバー)など。現在は、アニメ『少年アシベGO!GO!ゴマちゃん』(アシベの父ちゃん/イエティ役)、『ジョーカー・ゲーム』(蒲生次郎役)、『薄桜鬼〜御伽草子〜』(風間千景役)ほか多数出演中。
【Twitter】@tsuda_ken


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