芝浦自転車研究所の所長である疋田智氏が自身のYouTubeチャンネルで「危険な五叉路大交差点、ラウンドアバウトの採用はどうだろう?」を公開した。動画では、今年6月に東京都北区の王子三丁目交差点で発生した電動キックボードの死亡事故を取り上げ、その根本原因と解決のための具体策について持論を展開している。

疋田氏は冒頭、事故の概要について触れ、「電動キックボードだから起きた事故ではなく、交差点の作りが悪いから起きた事故だ」と問題提起を行った。現場となった王子三丁目交差点は複雑な五叉路であり、設置されている歩道橋は階段のみで、自転車や電動キックボード、車椅子などが通行できない構造になっているという。そのため、これらは対面通行の自転車横断帯を通行せざるを得ず、右折してくる自動車にとって死角に入りやすい極めて危険な状況が常態化していると、俯瞰図や現場の写真を用いて詳細に解説した。

この構造的な欠陥を解消するための処方箋として、疋田氏は「ここはラウンドアバウトだ!」と強く提言する。ラウンドアバウト(環状交差点)とは、中央の島を時計回りに周回して目的の方向へ抜ける信号機を持たない交差点のことだ。疋田氏は、交通量が一定の閾値を超えると大渋滞を引き起こすデメリットを中国の事例を交えて説明しつつも、それを補って余りあるメリットを提示した。信号機がないため維持費が削減できるだけでなく、災害時の停電に強い自立性、さらには交差点に進入する際に減速が求められるため重大な死亡事故を防ぐ安全性が高いと指摘する。

動画の終盤では、日本国内での導入事例として福岡県うきは市の六叉路交差点や、愛知県名古屋市の事例を紹介。導入後には重大事故が目に見えて減少しているというデータを示し、複雑で危険な交差点の解消に向けたラウンドアバウトの有効性を訴えた。疋田氏の多角的な視点による解説は、交通安全のあり方に新たな気付きを与える内容となっている。

チャンネル情報

自転車ハカセ・自転車ツーキニストの疋田智です。デビュー作『自転車通勤で行こう』(WAVE出版・1999年)からはや四半世紀、ずーっと自転車のことばかりを考え続けて生きてきました。自転車関連の著書は約30冊、自ら発行するメールマガジンは1000号を超え「CYCLE SPORTS」誌をはじめ雑誌連載も色々と複数継続中です。