物流強化?軍事利用? 小松島港で大規模工事【徳島】
小松島港で今、国際物流ターミナルの岸壁を延ばす大規模な工事が行われています。
物流拠点としての機能強化を期待する声がある中、2026年に徳島小松島港が「特定利用港湾」に指定されたことから、軍事利用を警戒する声もあります。
工事の様子を取材しました。
7月17日、早朝の徳島市沖洲港。
もの珍しげに集まる人々の視線の先にあるものは…。
(見に来た子ども)
「大きい、すごい」
ケーソンと呼ばれる、巨大なコンクリートの箱。
(記者)
「5階建ての建物に相当する巨大なコンクリート箱、ケーソン」
「このケーソンを海に沈めようという、大掛かりな 工事が始まろうとしています」
ケーソンは高さ約16メートル。
これからこのケーソンを海に沈め、岸壁の基礎とする工事が行われます。
小松島港区は本港、金磯、赤石の3つの地区に分かれています。
このうち赤石地区では、2024年度から国際物流ターミナルの岸壁を延ばす工事が始まりました。
背景にあるのは、船の寄港需要の高まりです。
貿易船など、さまざまな船が利用しますが、岸壁の長さが足りず、大型クルーズ船などが入港すると、ほかの船が接岸できなくなることがありました。
貿易船などが沖に停滞すれば、タイムロスによる損失は、一日数百万円にも上ると言います。
このため、岸壁を80メートル延ばすというわけです。
(国交省小松島港湾 空港整備事務所・火口 誠 所長)
「世界的なEV自動車の需要、あるいはリチウムイオンの需要を受けまして、企業の方、生産体制の強化をしています」
「それで海上物流の強化ということで、事業を実施している」
岸壁の基礎となるのが、巨大なケーソンです。
まず、沖洲港で造られたケーソンを赤石岸壁まで運びます。
運ぶのは、国内最大級の大型クレーン船「駿河」。
(見に来た子ども)
「頑張れー!」
ゆっくりと重さ1640トン余りの、巨大なケーソンが持ち上っていきます。
(記者)
「いま、ケーソンが持ち上がりました。ここから海を渡って小松島港まで運んでいきます」
ケーソンをつり上げたまま、クレーン船が動き始めます。
2隻のタグボートが巨大なクレーン船を押したり引いたりして、出港をコントロールします。
ようやく、沖洲港を出ることができました。
これから船は、一路、小松島港を目指します。
(記者)
「今オーシャン東九フェリーが構内に入ってきました。大きな船同士、お互い譲り合って移動しています」
海上は、私たちの想像以上に、実に様々な船が行き来しています。
こうした中を、四国横断自動車道や連なる山々を横目に、時速8キロでゆっくりと進んでいきます。
船が小松島港に着きました。
今度は空洞になっているケーソンの内部に海水を取り込み、ケーソン自体の重さを利用してゆっくりと海に沈めていきます。
熟練の作業員たちが、悪戦苦闘すること約2時間。
ようやく隣り合う岸壁と、同じ高さまで沈めることができました。
細かな位置を調整して、この日の工事は完了です。
(国交省小松島港湾 空港整備事務所・火口 誠 所長)
「無事、朝早くから据え付けが終えられたこと、一つ安心している」
「背後企業の産業活動・経済活動の競争力強化のために、着実に事業を進めていきたい」
岸壁の延伸によって物流拠点としての機能強化に期待が高まる一方、2026年、徳島小松島港が防衛力強化に向けて「特定利用港湾」に指定されれたことから、港湾の整備拡充は軍事利用につながるのではないかと、心配する声もあります。
(改憲・戦争阻止! 大行進徳島県実行委員会・仙田哲也 事務局長)
「特定利用港湾として指定されているということは、自衛隊が優先されるということで整備もされるし、利用もされるということで危惧しているし、反対しています」
「世界的な戦争の状況から見ても、陸上自衛隊や海上自衛隊の基地が直近にあるということで、軍事利用拡大が言われると思う」
港の風景は今後、どう変わるのか。
小松島港赤石岸壁の延伸工事は、2030年度の完成を目指して進められています。
