名バイプレイヤーとして活躍する女優の市川由衣が、15歳から在籍した大手芸能事務所・研音を5月に退所、6月29日からアミューズクリエイティブスタジオに所属したと発表した。

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 約25年間も所属した事務所を離れるという大きな決断をし、新たな事務所に所属した市川のこれまでは、決して順風満帆とはいえない道のりだった。


長らく所属していた事務所の退所を5月に発表した市川由衣 ©時事通信社

グラビアアイドル→女優へと徐々にシフト

 1986年2月10日生まれ、東京都出身の市川は、14歳の時にスカウトされグラビアアイドルとして活動を開始。すぐに人気となり、漫画誌などで水着姿を披露しブレイクを果たす。

 さらに、2001年にはドラマ『渋谷系女子プロレス』(テレビ朝日系)でドラマデビューした。研音に所属したことで、グラビア活動と並行し、ドラマや映画などさまざまな作品に出演しながら「女優」として売り出されていく。

 2003年には『呪怨』で映画初出演を果たすと、反町隆史が主演を務めた『ホットマン』(TBS系)にて重要なポジションの降矢ひなた役で出演。ドラマが高視聴率だったこともあり、若手女優としてさらに注目を集めた。

 勢いに乗った市川は、ドラマ『H2〜君といた日々』『クロサギ』(ともにTBS系)など話題作に出演し、2006年公開の映画『サイレン FORBIDDEN SIREN』では主演に抜擢される。さらに、同年に公開された映画『NANA2』では、人気キャラの小松奈々を演じた。こうした活躍について、テレビ関係者は事務所のバックアップも大きかったと明かす。

「市川さんは、グラビアでブレイクした経緯もあるので、演技をはじめた当初は正当な評価を受けていませんでした。そこで、事務所の先輩たちが出演する話題作に参加させる方針に。経験を積ませつつ女優としての知名度を上げていき、結果として知名度も演技力も向上し、さまざまな作品に出演することになりました。当時の研音は現在より人気俳優が多く勢いがあったので、プッシュされた市川さんはトントン拍子で人気を獲得した格好です」

スキャンダル発覚後、衝撃の「濡れ場ヌード」を披露

 順調に女優としてステップアップした市川だが、2010年に思わぬスキャンダルを報じられる。当時、ジャニーズ事務所の人気俳優だった生田斗真との熱愛を、スポーツ報知がスクープしたのだ。両事務所は熱愛を否定し、後追い報道もなかったことで噂はすぐに沈静化したが、市川は人気急上昇中だったこともあり影響は大きかった。

 実際に熱愛報道以降は主演作が少なくなったように見受けられ、目に見えて人気が低迷している。当時を知る別のテレビ関係者はこう解説する。

「その頃のジャニーズは、いまよりテレビ局には絶対的な存在で、市川さんを起用しづらくなったのは事実でしょう。同年代には人気女優が多くいたので、市川さんに無理に主演を頼むプロデューサーも少なかった。これからという時に、熱愛報道のせいで勢いがなくなりましたね」

 グラドルからスタートし、本人の目標だった女優としてブレイクした矢先に、熱愛報道で人気を落とした市川。そんな中、2014年に起死回生の一手として、衝撃的な映画に出演し世間を驚かせる。その作品が、8年ぶりの単独主演を務めた映画『海を感じる時』だ。市川は同作で、「自身初」の濡れ場ヌードに挑戦した。

『海を感じる時』は、1978年に発表された中沢けい氏による小説が原作の映画だ。本当の愛を知らない少女が1人の男と出会い、女へと目覚めていく姿を描いた作品で、市川は共演した池松壮亮と激しい濡れ場を何度も披露した。

 映画では、冒頭から薄暗い部屋で騎乗位にて行為に及ぶシーンが登場するなど、市川が演じる恵美子は、全編にわたってすぐに体を許す“都合のいい女”として描かれた。例えば、恵美子の部屋を訪れた池松演じる洋が無言でベッドに直行し、性処理のためだけに体を求めるシーンが登場。洋は愛撫もせず正常位で挿入し、欲望のまま果てると甘い言葉もかけずどこかへ行ってしまう。

 また、高校時代を回想するシーンでは、下着をはぎ取られ「大切にしてやれねえんだよ」と洋から胸を激しく吸われる描写も。そんな扱いを受ける恵美子だが、「欲求を満たすだけの役割でもいいんです」と、自ら都合のいい女であることを望む。

行きずりのサラリーマンとSMのような“プレイ”を……

 後半になると恵美子は暴走し始め、洋に振り向いてもらうために、行きずりの男と一夜を共にするシーンも登場する。出会ったばかりのサラリーマンの家を訪れた恵美子は、ガムテープで手首を縛られ目隠しされ、SMのような形で荒々しく犯されてしまう。

 その様子を洋に話すなど、クライマックスに向けて恵美子の異常性が露呈していき、そのシーンでは激昂した洋から暴行を受け、最後はバックから無理やり犯されるという展開につながる。こうした体当たりの演技をみせた作品となり、『海を感じる時』は高い評価を受けて市川の代表作として現在も語り継がれている。

 ただ、濡れ場を演じた市川が、女優として一皮むけて大躍進したかといえば、他の女優と比べるとさびしいものはある。

 大胆な濡れ場を経験し演技派として認められ、話題のドラマや映画で主演を務めるようになった女優は数多くいるが、現在まで市川は出演作が多いものの主演はほとんどなく、大活躍しているとまでは言えない。名バイプレイヤーと呼ばれ印象に残る演技を見せているが、ゲスト出演だけのドラマも多くなった。今回の退所→新たな事務所への所属も、そうした状況を打開したい思いがあるのかもしれない。

2015年に結婚、現在は2人の子どもを育てる母

 このたび大きな転機を迎えた市川だが、プライベートでは生田との熱愛報道後はスキャンダルもなく平穏な日々を過ごしている。

 2015年には、2014年のドラマ『おわこんTV』(NHK BSプレミアム)で共演した俳優の戸次重幸と、1年2カ月の交際を経て結婚。2016年9月に長男、2020年9月に次男を出産し、幸せな毎日を過ごしている。

 12歳の年の差がある市川と戸次だが、2026年3月にはラッパー・ちゃんみなのライブに2人で参加し、夫婦で仲良く推し活していることをインスタグラムで明かした。プライベートが順調なイメージが強いからか、最近の市川は母親役を演じることが多くなり、新境地を切り開いているところだ。年齢とともに演じる役をうまく変化させた印象で、同年代の女優たちと差別化できている。

 市川は、研音からの退所を伝えるメッセージで、「まだまだ叶えたい夢がたくさんあります」と明かしていた。その夢がこれからどのような形で叶うのかはわからないが、40代に突入したことで新しい魅力を見せてくれることだろう。

(ゆるま 小林)