スポニチ

写真拡大

 第108回全国高校野球選手権大会(8月5日から18日間、甲子園)の出場49校を決める地方大会が各地で幕を開けており、近畿地区でも6月28日に兵庫大会が開会式を迎えた。今春選抜から導入された指名打者(DH)制が採用される、初めての夏。投打分業制の時代に入っても、高校野球の花形であり続けた「エース兼主砲」として活躍する球児はいる。そこで「大谷ルール」を活用するなど、投打二刀流として甲子園出場を目指すプロ注目の逸材に会いに行った。 (取材=河合 洋介)

 今年の高校生を代表する二刀流が甲子園未経験組にいる。最速148キロ右腕として今秋ドラフト候補に挙がる中京(岐阜)の鈴木悠悟(3年)だ。「投打両方で活躍できることが僕の強みです」。チームでは3番打者を担う強打者で、4月の高校日本代表候補合宿にも二刀流として参加した。本職といえる投手でのアピールに加え、木製バットに難なく対応したセンスの高さで首脳陣を驚かせた。

 ドジャース・大谷翔平のスイーパーのごとく、「岐阜の二刀流」も強烈なスライダーを投じる。「プロで通用する変化球にするため、大きい変化ではなくベース板上で勝負できる球に改良しました」。そうして磨いた得意球が、夏本番を前に「魔球」に変貌する。6月上旬、関西の強豪校との練習試合で12者連続三振の離れ業を成し遂げたのだ。その一戦に集結したNPBスカウトの度肝を抜き、評価が一段と高まった。

 滋賀出身で、少年野球時代から投手兼遊撃手の二刀流だった。高校の進学先は「自分が甲子園に連れて行く。だから高校の強さや噂は関係ない」と「高卒プロ」に向けて力をつけられる環境を探した。そして、19年夏を最後に聖地から遠ざかる岐阜の私学を進んだ。

 「僕が甲子園に連れて行きます」。今秋ドラフトでは投手として指名を受けることを目指している。つまり打者としての出場は、今夏が最後。二刀流の集大成を聖地で締めくくるつもりだ。

 ◇鈴木 悠悟(すずき・ゆうご)2008年(平20)7月16日生まれ、滋賀県彦根市出身の17歳。小1から城西スポーツ少年団で野球を始めて投手と遊撃手を務める。中学では大津瀬田ボーイズに所属。中京では1年夏に背番号6でベンチ入りし、2年春から背番号1。50メートル走6秒3、遠投100メートル。1メートル77、74キロ。右投げ右打ち。

 ▽大谷ルール 「投手兼DH」で先発出場した場合、投手として降板後もDHとして出場が可能になるルール。エンゼルス・大谷翔平(現ドジャース)の投打二刀流での活躍をきっかけに、22年からメジャーで採用。同年、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する国際大会でも採用されている。NPBでも23年の野球規則改正(5・11(b))以降可能になった。今春からDH制が導入された高校野球でも採用されている。