優勝を目指すチームとして「休むべきときにしっかり休む」をやり切った日本、自らの強い意志でベスト32の相手にブラジルを指名の巻。
日本は、次戦の相手に、ブラジルを指名する!

熱戦つづくワールドカップ2026北中米大会、日本はグループステージ第3戦スウェーデン戦に臨み、見事な引き分け勝点1で、グループ2位での決勝トーナメント進出を決めました。仮に負けてもほぼ決勝トーナメント進出は間違いなく、逆に大勝してもグループ1位は難しいという悩ましい状況のなか、この先を見据えたステップを踏みつつ、チームの勢いも途切れさせることのない、したたかな強豪国の勝ち抜けぶりでした。イメージ通りでした。

↓日本はこの先で絶対に必要になる冨安さんと、ここまでフル稼働の佐野さんを使わない決断!



第1戦オランダ戦の舞台でもあったダラス・スタジアム。空調完備の過ごしやすい環境は、十分な暑熱対策を取っている日本勢にとってもやはりありがたい環境です。勝っても負けても先があるということを思うと、なるべく消耗を避けてうまくやり過ごせたらいいな、そんなことを思って見守ります。入場してくる日本勢は落ち着いた雰囲気。入場時のエスコートキッズを優しく気遣う姿など、公園のお父さんのようです。気負い、焦り、まるでなし。3戦目をここまでの余裕を持って迎える日本代表、頼もしい限りです。

国歌斉唱を経て迎えたキックオフ。試合としては非常に固い、膠着状態がずっとつづくような展開です。日本はおなじみの3-4-2-1の布陣で、スウェーデンも3-4-3と基本的には同じ形の布陣です。それにより、互いの対面に常に相手がいるという、いわゆるミラーゲームになりました。どこにも隙がなく、常にぶつかり合う我慢比べのような展開。「まぁウチは引き分けでもいいけどね」という2試合の貯金が大きな後ろ盾になります。

そんななか、打開策を持っていたのはスウェーデンのほう。身長190センチに及ぶ大型フォワードへ向けて中盤を飛ばして長いボールを当ててきます。これなら互いにプレッシャーが掛かるミラーゲームであろうが関係ありません。もしも相手方にズラタン・イブラヒモビッチさんでもいたら、さらに震え上がるところですが、ここは日本もしっかり身体を当ててよく対応しています。ただ、中盤での佐野さんの不在、ここまで豊富な運動量と献身で守備面に大きな貢献をしてきた堂安さんを1列あげたことなどもあってか、やや押し込まれるところが目立ちます。踏ん張りどころです。

すると、両チームとも目立ったチャンスもピンチもないなか、アクシデントが。前半35分、スウェーデンはセンターバックに入っていたヒエンさんがピッチに倒れ込みます。腿裏あたりを抑えている動きもありましたので肉離れ的なものでしょうか。すると日本も時を同じくしてベンチで谷口彰悟さんがアップを始めます。どうもスタメンに入っていた板倉滉さんに何かあったよう。普通に歩いて下がりましたし、ハーフタイムの監督コメントでは「筋肉の異常」「本人は大丈夫と言っている」という話でしたので、大事を取ったというところのようですが、前半で両チームのセンターバックが代わるという珍しい展開となりました。

↓5人交代できる時代でよかった!


結局前半は大きな動きなく0-0で折り返します。同時刻に行なわれていたオランダVSチュニジア戦が早々の2得点でオランダがリードしているということもあり、本田解説からも「これはもうブラジルっすね」という現実を見据えた予知も飛び出しました。「なるべく消耗せず」「負けない」がテーマとなりそうな後半です。

両チームともハーフタイムでの交代はナシということで、睨み合いの構図は変わらないなかで始まった後半戦。そんななか、日本は同じ構図のなかでも少しやり方を変えるような現場のアレンジで状況の打開を図ります。堂安さんをあげたことで右サイドからの打開が狙えそうだった前半から、今度は中村敬斗さんから前田大然さんを裏に走らせる格好で左サイドからの打開を狙っていきます。

そして迎えた後半11分、日本は菅原由勢さんが右サイド遠目で構えると、中央から右に動きながら堂安さんが受け、一度上田綺世さんに落としてまた堂安さんが受け直すというバスケみたいな動きで相手守備を翻弄し、最後は堂安さんから裏に抜けた前田さんに通してフィニッシュ!スウェーデンの守備がしっかり構えるなか、それを鮮やかな連携で切り裂く日本の美しい先制点!これには本田解説者が横に置いている携帯もお祝いメッセージが鳴りやみません!

↓動いて、連動して、相手が完全に守備を構えていてもなお切り裂いた!鮮やか!



他会場ではチュニジアが1点を返したという情報も流れ、あるいは1位も?と一瞬可能性が見えてくる展開でしたが、さすがにそこまで都合よくはいかないようで、後半17分にはスウェーデンが1点を返します。スタートでは中央に入っていたエランガさんが、この時間帯は右に大きく開いていた流れからの、カットインして決めたナイスゴールでした。日本は中央での競り合いにやや怖さもあるため、少し外が手薄になっているかもしれません。

↓これはもう決めたエランガさんがお見事でした!


時を同じくしてオランダも追加点をあげ、3-1と再び2点差に。日本がここから1位になるには、あと3点が必要ということで、これはもう意図して目指す感じではありません。後半20分には、自陣から持ち上がろうとしてもたついたところを奪われ、あわやスウェーデンに逆転弾という危ない場面がありました。この大会で初めてと言ってもいいようなミスらしいミスでした。勝ちを狙っていくのか、引き分け以上死守を最優先とするのか、ハッキリしたい時間帯です。

しかし、間もなくハイドレーションブレイクもあるというなかで、ここですかさず交代のカードを切った日本の動きは素早かった。上田綺世さんに代えて小川航基さん、堂安律さんに代えて伊東純也さんというのは、得点を取る意志は失わないけれど、しっかり先を見据えていこうというメッセージでしょう。あえては言わないけれど、大量得点とかを狙う試合ではもうないよね、という。

日本はハイドレーションブレイクでの円陣意思統一を経て、後半30分には瀬古歩夢さん⇒渡辺剛さん、中村敬斗さん⇒長友佑都さんという「最後の」交代カードを切ってきました。まだ試合時間は15分以上残っていますが、前半に一度交代をしていたこともあり、日本の交代はこれが最後です。不測の事態には備えないぞ、不測の事態が起きないようここから残り時間をしっかりと締めていこう、この交代にもメッセージを感じられるよう。

その点で長友さんの投入というのは、いい選択だったなと思います。試合を締めていくというのは、ともすれば消極的なマインドになりがちな動きですが、長友さんのあふれるエナジーが熱いハートとクールなマインドを両立してくれるかのよう。クマと対峙したときにはクマを睨みつけて威嚇しながら後ずさりするのがいいんだそうですが、まさにそんな戦いで日本は最後の時間帯を凌いでいきます。

勝てばグループ2位に浮上できるスウェーデンは、交代のカードを切りながら最後まで懸命に攻めてきます。7分を計時したアディショナルタイムには二度危ない場面がありましたが、いずれも鈴木彩艶さんのナイスセーブで難を逃れました。ラクな戦いではありませんでしたが、ゴールキーパーが凌ぐ苦しい展開まで含めてイメージ通りに守り切っての1-1引き分け。「ここでこれぐらいやれないで、この先をどうする」という強い意志を感じる、強豪国らしい見事な引き分けでした!

↓先制して、追いつかれたけど、しっかり勝点1を取りました!


この1戦だけを見れば、選手もベンチもサポーターも満点大満足の試合ではないでしょう。ただ、これはあくまでも優勝を目指す長い大会のなかの一部分です。試合に入る前の時点で、ある程度「2位抜け、次戦はブラジル」というのを現実として見据えたなかで、いかにこの試合を上手にやり過ごすかがテーマとなる一戦だと思っていたところです。

連続出場の選手にはできるだけ休養を与え、特に次戦でヴィニシウスさんと対峙することになるであろう冨安さんには万に一つの怪我などもないように温存する。そのなかで、チームの勢いを削ぐような試合はせず、間違っても3位抜けにはならないようにする。ある程度苦しい試合を覚悟したうえで、そこを乗り越えてこそ優勝への道が開けるのだという、勝負師のような戦いぶりでした。「明らかにチカラを抜いてるんだけど、そういう姿勢は決して認めないし、必要な結果はキッチリ取る」という、したたかな強豪国のような振る舞いをやり切りました。

優勝するならこういう戦いができるようでなくてはならない、そう思います。負けることが怖くて休むべきときに休めない、抜くべきときにチカラを抜けないようでは、7試合とか8試合を駆け抜けられるはずもないのです。リスクがあることは承知しつつも、取るべきリスクをキッチリ取りにいけたという頼もしさで、さらに次戦以降への期待が高まりました。ブラジルとやる、そんな覚悟を持って自ら選んだブラジル戦。日本が本当に強くなったと日本自身が自認するためにも、これ以上の相手はいないでしょう。

憧れの相手から、倒すべきライバルへ。

きっと、このブラジル戦は、日本サッカーの歴史が変わる試合になります!

↓長友さんは試合中も試合後も熱いスライディングをぶちかましてくれました!

次戦はそのヘアバンドに血で必勝とか書くのもいいかもですね!

よくわかんないけど熱くなりました!



決勝トーナメントでの悔しさを溜めてきたぶん、今回は爆発できる気がします!