(※写真はイメージです/PIXTA)

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イラン情勢を背景としたエネルギー価格の高騰により、日本国内でも物価上昇への警戒感が強まっています。こうしたなか、政府・与党では「食料消費税の2年間ゼロ」や「給付付き税額控除」の導入が議論されています。一方で、財務省の政策評価懇談会では、消費税減税に慎重な意見や、エネルギー価格対策を優先すべきとの指摘も示されました。過去の給付政策の評価とあわせ、政策評価制度の観点から現状を整理します。

過去の給付政策はどのように評価されているのか

イラン情勢による物価上昇を受け、実施までに時間を要する「食料消費税の2年間ゼロ」や「給付付き税額控除」の導入に先立ち、まずは給付を実施すべきだという意見があります。

政府はこれまで、リーマン・ショック、新型コロナ対策、景気対策を名目として、3度にわたり給付を実施してきました。しかし、これらの政策については、「単なるバラマキ政策」との批判もあり、今後給付を行っても預貯金に回るだけではないかとの指摘もあります。

これまでの給付について、政府は国会議員からの質問に対する答弁書のなかで、「経済動向には様々な要因が影響するため、『減税効果』のみを切り出して評価することは困難である」と説明しています。政策効果を定量的に測定する難しさが、現在も課題となっています。

政策評価制度はどのように始まったのか

1996(平成8)年12月に公表された行政改革委員会官民活動分担小委員会報告では、行政活動に関する説明責任を行政側に求めた点が注目されました。

その後、2001年1月には中央省庁等改革の柱の1つとして政策評価制度がスタートしました。同年6月には、政策評価制度の実効性を高め、国民の信頼を向上させることを目的として、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)が制定され、2002年4月から施行されています。

現在では、財務省、環境省、農林水産省、国土交通省などが、個別の政策評価結果を公表しています。

財務省政策評価懇談会で示された「消費税ゼロ」への慎重論

財務省では、政策評価法に基づき、毎年度「政策評価実施計画」を策定するとともに、目標や測定指標をまとめた「事前分析表」を作成しています。

また、財務省内だけで議論を完結させるのではなく、客観性を確保し、評価の質を高めるため、「財務省政策評価懇談会」の意見を取り入れる仕組みとなっています。

2026年3月に開催された同懇談会では、食料消費税ゼロと給付付き税額控除について、次のような意見が示されました。

◆「5兆円を使うならエネルギー対策を優先すべき」との指摘

食料品の消費税を2年間ゼロにする案については、中東情勢によるエネルギー価格高騰の影響が、日用品を含む様々な製品に波及すると指摘されました。

そのうえで、年間5兆円規模の財源があるのであれば、消費税減税よりも、エネルギー価格を抑制する対策に充てた方が、国民生活や経済活動に対して即効性があり、より有効ではないかとの意見が示されています。

◆給付付き税額控除は「完全でなくても始めるべき」との意見も

一方、給付付き税額控除については、所得把握の問題や制度設計の難しさから導入が進まなかった経緯があるとされました。

しかし、国民会議も設置されたことから、完全な制度設計を待つのではなく、まずは可能な範囲で制度をスタートさせるべきではないかとの意見も出されています。

今後の焦点は「国民会議」での議論の行方

特に、消費税ゼロに慎重な意見は、総理の公約とは異なる方向性を示している点で注目されます。

一般に、財務省は消費税減税に慎重な姿勢を取っていると指摘されることもあります。今後は、国民会議などを通じて、給付、減税、エネルギー対策をどのように組み合わせ、政策として具体化していくのかが焦点となりそうです。

矢内一好

国際課税研究所

首席研究員