鈴木亮平

写真拡大

怒涛の展開か

 TBS系日曜劇場「リブート」が1月期ドラマでぶっちぎりの大ヒットとなっている。初回の世帯平均視聴率は13.3%(ビデオリサーチ、関東地区)と「VIVANT」の同11.5%を上回る好発進。その後、1桁台に後退する週もあったが、22日に放送された第9話は11.3%だった。クライマックスとなる3月29日放送予定の最終話(第10話)は、視聴者の予想を凌駕する怒涛の展開となりそうだ。

 ***

【写真を見る】役に応じて体重を加減する鈴木亮平の変貌

 妻殺しという無実の罪をかけられたパティシエが真犯人を捜すために自分の顔と決別し整形手術で悪徳刑事に成り代わって真実を追うサスペンス。ストーリーの奇抜さもあるが、好調の理由は何といってもキャスト陣の豪華さだ。

鈴木亮平

 主演の鈴木亮平、ヒロイン役の戸田恵梨香、さらには若者の間で人気絶頂の永瀬廉(King & Prince)、藤澤涼架(Mrs. GREEN APPLE)に加え、松山ケンイチ、塚地武雅(ドランクドラゴン)、津田篤宏(ダイアン)、吹石一恵、伊藤英明、そして市川團十郎ら有名どころが続々と出演しており見ごたえ十分だ。

 豪華絢爛なキャスト陣にあってひと際、凄みを放っているのがやはり鈴木亮平だろう。

「鈴木は無実の罪をかけられた心優しいパティシエと、暴力的な悪徳刑事という真逆の役どころを1人で巧みに演じ分けています。昨今の芸能界でこれほど対極な役どころを務められる役者はなかなかいません。映画『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)で凶悪なやくざを演じたかと思えば、日曜劇場『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(同)では誠実な熱血医師を演じています。幅広い演技力や体重を自在に増減させるストイックな役作りで定評があり、今回のドラマでさらに評価が高まりました」(放送ライター)

 鈴木は「リブート」の初回冒頭でいきなりほぼ全裸の下着姿で筋肉美と割れた腹筋を披露しているが、2013年4月公開の映画「HK 変態仮面」でも見事な肉体と“変態”級の演技力を見せており、鈴木の名を天下に知らしめたこの怪作を知る者なら驚きはないだろう。

「そもそも『変態仮面』は小栗旬が主演を希望していましたが、変態のイメージが固定化すると俳優人生の汚点になるという理由から事務所が大反対したともっぱら。しかし、鈴木はそれをものともせずに果敢に挑み、大スターへの切符を手にしたというワケです。昨今の芸能界はCMを獲得するためにドラマを踏み台にする芸能人が多いのですが、鈴木は真逆のチャレンジ精神によって日本を代表する俳優になったと言えます」(前出の放送ライター)

潤沢な予算

 とはいえ、「リブート」の成功は鈴木ひとりの力ではないのも確か。同ドラマのプロデューサーも言っているように、顔を他人に変えるサスペンスというのは1997年に制作されたジョン・ウー監督の米映画「フェイス/オフ」など前例があり、主人公が自分を陥れた敵の顔に整形して本人になりすますという「リブート」の設定は同作と似ている。

 また、2021年放送の同じく日曜劇場「天国と地獄 〜サイコな2人〜」は刑事(綾瀬はるか)と殺人鬼(高橋一生)が入れ替わるという類似の構成だった。一昨年4月期の日曜劇場「アンチヒーロー」で描かれた殺人と冤罪のどんでん返しも踏襲されており、善人と悪人の反転、嘘が嘘を呼ぶ展開は日曜劇場の定番ストーリーとなった観がある。

 つまり、今回の「リブート」自体、過去の日曜劇場のエッセンスを取り入れて仕上げた“リブート(再起動)”ドラマというわけだ。そのクオリティーを支えているのが当然ながら潤沢な予算である。

 TBS関係者はこう証言している。

「鈴木が同じ顔を持つパティシエと悪徳刑事の2役を同時に演じるシーンは、日本に1台しかないモーションコントロールカメラ『SISU』を使用しています。また、照明の光量の強さ、費用のかかる夜の撮影や路上ロケ、さらにはカーチェイスまで取り入れており、莫大な予算を使って撮影されていることが分かります。一目で低予算と分かる民放連続ドラマが氾濫するなか、他局の優に2倍のコストを投入している日曜劇場の独走ぶりは当然といえば当然なのです」

 このようにレベルの高い「リブート」を見て歯痒い思いをしているのはフジテレビだろう。「リブート」の脚本を担当した黒岩勉氏はもともと2008年のフジテレビヤングシナリオ大賞で佳作を受賞して2009年「世にも奇妙な物語」で脚本家デビューした経歴の持ち主だからだ。

「黒岩氏は『絶対零度〜特殊犯罪潜入捜査〜」(2011年)や『謎解きはディナーのあとで』(同)シリーズなど主にフジテレビのドラマで活躍してきましたが、『グランメゾン東京』(19年、TBSテレビ)あたりからTBSに軸足を移し『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(20年)、『ラストマン−全盲の捜査官−』(23年)などを経て今回の『リブート』をヒットさせています。今年、フジが映画化する『全領域異常解決室』も脚本は黒岩氏です。『リブート』の主要キャストは鈴木亮平と松山ケンイチ、『全領域』は藤原竜也で、全員ホリプロ所属です。ホリプロからの信頼が厚いのも黒岩氏の強みでしょうね」

 鈴木亮平が怪物級の俳優になった背景としては、ヒットメーカーの脚本家に加え、予算面でバックアップするTBS、さらには変態でもやくざでも役者が望めば何にでも挑戦させるホリプロの太っ腹ぶりもある。

 奇しくも3月29日放送予定の「リブート」最終話は、鈴木の43歳の誕生日。興奮が最高潮に達する圧巻の最終回となるか。

デイリー新潮編集部