実は先月末から今月初めまでの3日間、筆者宅に導入しているマンションのインターネット回線のひとつがダウンした。9月30日の朝7時過ぎにネット接続ができなくなり、しばらく様子を見たが一向に回復しないので午後にサポート部門にネット経由で連絡した。

 ご多分に漏れず、最初の関門はなんちゃって人みたいにチャットに対応するボットを超えて”ヒト”に辿り着くことだ。面倒な分かり切った質問に何度も応えてやっとヒトに繋がり、けっきょく筆者の知らない2日後にテストに来て原因が判明。トラブルから3日後にインターネットは回復した。

 調子に乗ってIoT機器だらけにした我が家は、インターネット回線がダウンすると、玄関へ入るにも苦労する、洗面所の電気は点かない、スマートスピーカーは全滅、それと連携している寝室の天井灯も点かない、Amazonプライムビデオも見られない……などなど不都合が一気に噴出。昨年末に衝動買いしたNTTドコモのホームルーター「home 5G」がなかったら大変なことになっていた。まずはAmazonプライムビデオとAmazon Echoを1台だけを繋ぎ変えた。

 そして、インターネットが3日ほど停止すると再起動した時に幾つかの機器の再設定が必要になるなど、一部の機器に不具合が起こるのは、何十年も昔のオンライン創成期と何ら変わらない。多くのIoT系機器は何とかなったが、洗面所天井に取り付けていたセンサー付きLED電球の1個が何度やってもIoT的に動作しない。やむなく買い替えようと同じモデルを探したが既に生産終了で手に入らない。

 我が家の洗面所の天井灯をIoT化したのは今から4年半前の2020年の初頭。今は生産終了した一番安いAmazonのEcho Flexに、オプションの人感センサーで洗面所に来た人を感知し、天井に取り付けたLED電球を光らせるという仕組みだった。実際の人の行動から目指すべき結果までのプロセスや、間に存在する機器が増えれば、節目でいろいろ調整したり設定したりする機会は増えるが、トラブル要素も多くなるのは今も昔も同じだ。

 そうこう言ってる間に翌年(2022年)の春には、同じ会社から、従来のLED電球に人感センサーを内蔵した新しいモデルが発売された。これを利用すれば、従来洗面所のコンセント1個を占有していた、コンパクトだがコンセントにはデカすぎるAmazon Echo Flexは不要となる。経路短縮で、理論的にはトラブる可能性も低下するはずなので速攻で導入。LED電球の先っちょが微妙に膨らんでるデザインはなかなかコケティッシュだった。

 我が家に沢山あるIoT系の天井灯やLED電球、監視カメラ、ドアセンサー、エアコンなどの良い点は、宅内ネットワークに繋げることで、スマホアプリの導入や設定作業の面倒さをいとわなければ宅内でも出先からでもスマホを使ってコントロールできることだ。留守宅の天井灯を勤務先や旅先から好きな時にオン・オフしたり、タイマー設定をしたりすることで、防犯の役に立つかもしれない。しかし今回のように後々トラブる要素もあるだろう。

 3日前まで使っていたのと同じセンサー付きLED電球が、生産終了で手に入らなくなったので、何か代わりを探さなければ我が家の洗面所は真っ暗なままだ。ショッピングサイトを徘徊して、同様のモノはいくつか見つけたが、当然その為だけにまた別のスマホアプリを導入して設定する必要があった。

 いろいろ探している内に、”人感・明暗センサー付き”で2個セットでなんと1601円の商品を見つけたので速攻で買った。商品名も、中国系のネット通販でよくある、どこまでが製品名かどこからスペックなのかよく分からない「ORALUCE LED電球 E26口金 人感センサー 電球 60W形相当 昼白色 5000K 9W 900lm 自動点灯・消灯 明暗センサー付 消し忘れ防止 階段 玄関 廊下 トイレ 調光不可 2個入 LDA9N-G-E26」だ。

 驚きは、最初に我が家にスマートLED電球を導入してたった4年で、IoT系の制御無しとは言え、人感・明暗センサー付きLED電球が1個800円で買えてしまうことだ。当然ながら、従来のIoT系のスマートLED電球のようなアプリのダウンロードも設定もゼロ。その代わりOK Google! やAlexa! などの発話での点灯・消灯や、タイマーコントロールや、出先からの点灯・消灯はできない。このことがマイナス要素になる場合もあるが、これらは洗面所の天井にすえ付ける電球にはオーバースペックだとも言える。

 もちろん利点も多い。スマホへのアプリのダウンロードや、アプリによるスマートLED電球とのペアリングなどの面倒も皆無だ。最近は昔に比べるとWi-FiやBluetoothの普及で明らかに接続トラブルは減ったが、皆無とは言えないのも事実だ。1個800円の人感・明暗センサー付きLED電球は、普通の電球と同じく、元電源を落として安全確保をしてソケットにねじ込むだけで設定終了だ。もちろん取扱説明書はなし。パッケージ上に記載してあるものが全てだ。

 筆者宅の廊下に面した洗面所に2個取り付けた人感・明暗センサー付きLED電球は、周囲が規定値より明るく(15ルクス以上)ない場合に人が近づくと、即座に自動点灯する。一度点灯すると点灯持続時間は120秒(2分間)。点灯中に再度人が検知されないと自動消灯する仕組みだ。

 IoT系スマートLED電球なら、点灯時間や消灯までの時間、センサーの届く範囲などを細かく設定可能だが、正直言って筆者は一旦設定した値を変更して遊んだことはあっても、一度設定するとそれほど変更することはなかった。予期せず起こった3日間のインターネットの不通だったが、運よく、壊れたスマートLED電球のお陰でコスパ最高の人感・明暗センサー付きLED電球に出会えた。

 またしても「できる」と「便利」の違いを認識してしまった。現代の、ネットとその恩恵を受けているアプリの過剰な普及は、そのバックアップ体制を確保しておかないと自宅でも社会でも大変なことになるかもしれない。衝動買いしたドコモのホームルーターも当分手放せない。

商品 購入 価格 人感・明暗センサー付きLED電球 Amazon 1601円(2個)