40代からは、口臭・黄ばみ・歯周病など、お口の悩みが増える傾向にあります。自分の歯で一生過ごすための「オーラルケア」を知って、今から口腔内を健康にしましょう。教えてくれたのは、歯科医の照山裕子先生です。

口腔内のトラブルで老化が加速する

40代以降、更年期に差しかかると歯や口の悩みが増えてくるのはなぜでしょう。

口腔トラブルが全身の不調につながる様子

「更年期になると唾液の量が減り、口の中が乾きやすくなります。唾液には殺菌効果や歯を修復するなど多くの働きがあるのですが、分泌量が減るとそれらの作用が低下。それにより歯や歯茎のトラブル、口臭などが起こりやすくなるのです。また舌筋(ぜっきん)の衰えなどで口の動きが悪くなると汚れがたまりやすくなり、これも口腔内の環境を悪化させます」と照山裕子先生。

口腔内にトラブルがあると、段階的に全身の不調を招くことも…。

「歯や歯茎のトラブルは静かに進行しているもの。人生100年時代になった今こそ、これからの健康を維持するうえでも、毎日のオーラルケアが不可欠です。定期的に歯科医院で歯や歯茎の健康をチェックすると同時に、正しいセルフケアを両輪で行っていくことが大切です」(照山先生)

「いー・あー・べー」ストレッチでお口の体操

ここからは、起床後から寝るまで、簡単にできる口腔ケアを紹介します。

「いー・あー・べー」ストレッチは、鏡の前で口腔内をチェックすると同時に、口まわりと舌の筋肉をトレーニング。口と舌をよく動かすと歯の汚れがたまりにくくなり、食べ物を飲み込む力も上がります。

●Step1:「いー」で前歯の汚れを確認

「いー」と言いながら口角をしっかり上げ、上下の歯を鏡に映します。口の筋肉をストレッチしながら前歯の汚れや歯茎の腫れもチェック。

●Step2:「あー」で奥歯や歯茎を見る

「あー」と言いながら大きく口を上下に開き、奥歯や歯茎、口腔内の粘膜の状態をチェック。顎関節症の人は注意してあけましょう。

●Step3:「ベー」で舌の汚れをチェック

舌を「ベー」と出して、舌にこびりついた汚れ(舌苔/ぜったい)をチェック。舌をしっかり動かすことで、滑舌や飲み込む力を上げる効果も。

「毒出しうがい」で、寝起きのお口をラクラク掃除

寝ている間に口腔内にたまったバイ菌をうがいで排出。少量の水により強い水流が起きて汚れがすっきり。また、口まわりの筋トレにもなります。

●Step1:背筋をピンと伸ばす

下を向かず、正面を見て行います。水は口の中でよく回せるよう、ひと口当たり約30mLの少量を用意。

●Step2:上の歯で“ぶくぶく” 

水を口に含み、その水を上の歯に向かって強く速くぶつけます。10回繰り返したら水を吐き出します。

●Step3:下の歯で“ぶくぶく”

水を口に含み、今度は下の歯に向かって強く速くぶつけます。10回繰り返したら水を吐き出します。

●Step4:左右で“ぶくぶく”

水を含み、右の歯に向かって強く速くぶつけます。10回繰り返したら水を吐き出し、左側も同様に。