Photo: 小原啓樹

名門ブランド品にしか出せない風格に触れてしまった!

ワイヤレスイヤホン。それは、いつでもどこでも手軽に音楽を聴くための定番ガジェット。それゆえに選択肢は星の数ほどに多く、誰もが理想のイヤホンを求める旅の途中にあると言っても、けっして過言ではありません。

そして僕もまた、至高のワイヤレスイヤホンを求めてさまよう旅人のひとり。今回は「とびきりの高級ワイヤレスイヤホンが体験できる秘密の取引」があると聞きつけ、都内某所にある豪勢なマンションの一室に潜入しました。

はたして、ガジェットにはゴージャスすぎるこの場所で取引される高級イヤホンとは…?

ただものではない高級ワイヤレスイヤホンとご対面!

Photo: 小原啓樹

── お約束のお客様でございますね? どうぞこちらへ。

そう呼ばれ、案内された先にあったのは、ジュエリーケースに並べられた4色のイヤホンケース。

ゆるやかな曲線でまとめられたデザインは、工業製品でありながら真珠などの自然物を思わせる滑らかさ。こりゃ只者じゃない品格を感じるぞ。

── こちらが、お客様に今回お試しいただくワイヤレスイヤホンとなります。その名も…。

Bowers&Wilkins Pi6の全カラーバリエーション。手前がクラウド・グレー、奥左よりグレイシャー・ブルー、ストーム・グレー、フォレスト・グリーン。
Photo: 小原啓樹

── Bowers&Wilkins(バウワース&ウィルキンズ)の最新モデル、「Pi6」でございます。

伝説的な音楽スタジオにもモニタースピーカーとして常設される名門音響ブランド

Bowers & Wilkinsのフラッグシップシリーズ「800 Series Diamond」が設置されている、ロンドンのアビー・ロード・スタジオ。
Image: Bowers&Wilkins

Bowers&Wilkinsといえば、ジョン・バウワースとロイ・ウィルキンズによって創設されたオーディオブランド。

1966年に設立、ロンドンの「アビー・ロード・スタジオ」をはじめとする世界中のレコーディングスタジオや、映像制作会社のルーカスフィルムにおける音響部門「スカイウォーカー・サウンド」にBowers&Wilkinsのスピーカーがモニタースピーカーとして採用され、著名アーティストや音楽制作のプロフェッショナルから信頼され続けてきたと聞けば、その名門ぶりがわかろうというもの。

現行のフラッグシップスピーカー「801 D4 Signature」。一ペアおよそ847万円。
Image: Bowers&Wilkins

Bowers&Wilkinsの「高忠実度再生」に対する情熱は並々ならぬものがあり、スピーカーをはじめ同社製品はそのこだわりの音質とデザインで知られています。

日本での一般知名度はそれほど高くないものの、本当に良い音、良いモノを知っている人であれば「お、Bowers&Wilkinsですか。良いですね」とニヤリとしてくれる。そんな名門ブランドなのです。

そんなBowers&Wilkinsが、同社初となる完全ワイヤレス・イヤホンを発売したのは、2021年のこと。そして今回のPi6は外観も中身も一新され、さらにブラッシュアップが進んだ意欲作。これはもう、期待するなというほうが無理というものでしょう。

名門が手掛けるワイヤレスイヤホンの上質な仕上がり

※写真はイメージです。
Photo: 小原啓樹

まず、デザイン。Pi6のツヤ感あるハウジングは、まるでジュエリーのように優美な曲線で構成されています。

ワイヤレスイヤホンをファッションやアクセサリー感覚で選んだとしても、この上質な佇まい、そしてトレンド感ある「くすみカラー」の豊富なカラバリには食指が動くのではないでしょうか。

Photo: 小原啓樹

外周をぐるっと取り囲むスリット状のくぼみ部分にはマイクが設置されており、実は同社のハイエンド・ワイヤレスヘッドホン「Px8」や「Px7 S2e」と同様のデザインアプローチ。

ヘッドホンとイヤホンで見た目のデザインが統一されているだけでなく、随所にヘッドホンで培われたノウハウがイヤホンにも反映されているというわけです。

Photo: 小原啓樹

Pi6の「モノとしての上質感」はケースの仕上がりにも。特に、フタを閉じるときの「パチンッ」という音や感触がとても心地良いんです。

人間の指というのは繊細なもので、すこしでもフタの動きや質感に違和感を抱くと「なんか安っぽいな」と察知してしまうのですが、丁寧に仕上げられたモノであれば、逆にその心地よさが触れるだけでわかるものです。

きちんと音が分離した、バランス感の良いサウンド

それでは、Pi6が奏でる肝心のサウンドを聴いてみるとしましょう。そろりと耳に装着して、音楽を再生してみると……?

Photo: 小原啓樹

あぁ、これは。名門オーディオブランドが作ったイヤホンだというのがはっきりわかるぞ。

繊細さ、臨場感、高音の伸びやかさ、リッチな低音などなど。いろんな感想が思い浮かびましたが、それらの音質的要素が一体となって、原音再生を意識しつつバランスの取れた音作りとして感じられました。

これまで数多くのワイヤレスイヤホンを試してきた僕ですが、それぞれの音がきちんと分離して聴こえるPi6のバランス感の良さには、いままでにない新境地を感じたかも。

たとえるなら、下ごしらえから、味付け、盛り付けにいたるまで、すべてに手間暇がかけられた高級料理をいただいたときのような印象です。

このPi6は、先述のフラッグシップスピーカーを担当しているチームがサウンドチューニングを担当しているのだといいます。そして音質面では、Bowers&Wilkinsが新開発した12mmのバイオセルロース製ドライバーが搭載されています。前モデル 「Pi5 S2」、「Pi7 S2」 のドライバー径が9.2mmだったので、かなり大型化していますね。コーデックはaptX Adaptive(96kHz / 24bit)にも対応し、ハイレゾ音質の音源も再生可能。

もちろん、アクティブノイズキャンセリング機能も搭載。最初にイヤホンを装着したとき、すでにONになっていたのですが、あまりに自然に消音されていたためにノイキャンがかかっていることに気づかなかったほど。これだけ自然なノイキャンなら、常時ONで使いたい。

絶妙なフィット感や防塵防滴など、細部まで作り込まれた機能性

Photo: 小原啓樹

フィット感も良好で、Pi6ではイヤホン内側のわずかに隆起した三日月状の出っ張り部分が、耳の中でイヤホンをしっかり固定してくれます。イヤホンは装着位置がズレると聴こえ方が変わってしまうので、良いフィット感は良い音質に直結する重要な要素です。

バッテリー駆動時間はイヤホン本体で8時間、それに加えケースで16時間。IP54の防塵防滴性能を備え、最大2台までのマルチポイント接続に対応。専用アプリ「Music | Bowers & Wilkins」を使えば、2バンドEQによる音質の調整も可能です。

このイヤホンを所有することを想像するだけでニヤけてしまう

Photo: 小原啓樹

Pi6の価格は4万5100円。他メーカーだとフラッグシップ級に相当する価格帯なのですが、Bowers&Wilkinsの場合は、さらに上位モデルとして「Pi8」が存在します。つまり、このPi6のレベルでエントリーモデルなんです!

言い換えると、エントリーモデルを作っても結果的に他社フラッグシップ級になってしまうほどのこだわりが、Bowers&Wilkinsというブランドのモノ作りにはあるということ。

この姿勢こそ、世界中の音楽家や映画製作者といったクリエイターたちがBowers&Wilkinsに信頼を置いている理由なのでしょう。僕も思わずイヤホンケースを握り締めて「このPi6には間違いなく価格以上の価値がある!」と確信させられました。

Photo: 小原啓樹

── お客様、Pi6のサウンドはいかがでしたか?

そう聞かれた僕は、その言葉に被せるほどの勢いで「いただいていきます。今日はこのまま着けて帰るので、包装はしてもらわなくても結構です」と即答。もはや迷う理由などありません。

今回のイヤホン探しの旅は、こうして名門ブランドの気品を漂わせる一室にて終幕を迎えました。そして、これからの僕はPi6と共に、ラグジュアリーな音楽人生を味わっていくことになるのです。

Source: Bowers & Wilkins