小泉進次郎イチ推しの“新しいタクシー”「日本に絶対導入しないでほしい」ワケ。怖くて深夜に乗れなくなる
自民党総裁選が9月12日に告示され、過去最多の9人の候補者が立候補した。やはり小泉純一郎元首相を父親に持つ小泉進次郎の注目度は候補者の中でもとりわけ高い。小泉はさまざまな政策を掲げているが、中には違和感を覚えるものも少なくない。その最たるものは「ライドシェア」の規制緩和だろう。ライドシェアとは、タクシーが不足する時間帯や地域に一般ドライバーが自家用車を使って有料で乗客を送迎するというもの。小泉は9月6日、総裁選への立候補を表明した記者会見にて、「誰もがいつでもどこでも安全に利便性の高い移動サービスを享受できるよう、ライドシェアを完全解禁する」と述べた。
日本では2024年4月から、タクシー会社が運営主体の「日本型ライドシェア」がスタートしている。小泉は日本型ライドシェアを全面解禁させ、タクシー会社以外の参入を認め、地域や時間帯を限定しない方向に法整備する考えのようだ。インバウンド需要の高まりをはじめ、タクシー不足は以前から懸念されているため、ライドシェアを全面解禁されるとその問題は解消されるかもしれない。とはいえ、タクシー業界からすれば一般ドライバーに客を奪われるため、かなりの打撃を受けるだろう。さらには、乗客の安全面でも懸念があるのだ。
◆11年間で998件。日本と比べて性的暴行件数が多すぎる
政府が2023年10月31日に閣議決定した答弁書では、ライドシェアにおける性被害の多さが指摘されていた。
答弁書は2023年3月の衆院国土交通委員会での国交省答弁を引用をしており、輸送回数は年間で日本のタクシーは約5.6億回だったが、アメリカのライドシェア企業は約6.5億回と比較的近い数字だったという。その中で、アメリカのライドシェア企業の2020年における事故・事件の件数は、交通事故死者数は42人、身体的暴行による死者数は11人だったと報告している。一方、日本のタクシーはそれぞれ16人、0人と、その安全性の高さが伺える。
さらには、同年の性的暴行件数に関しては、アメリカのライドシェア企業は1年間で998件と、日本のタクシーの19件を大きく上回る結果であると記した。
◆良くも悪くもいろんな人がドライバーになれてしまう
いくら輸送回数が異なるとはいえ、性的暴行件数の違いには驚きを隠せない。日本のタクシーでも言えることではあるが、性被害を警察に話すことは容易ではない。泣き寝入りするケースも珍しくないことを鑑みると、この数字以上の被害が出ている可能性は高い。
ライドシェアでは、タクシー会社のドライバーになるよりも簡単にタクシードライバーになれる。企業が吟味して採用した人物ではなく、良くも悪くもいろんな人がドライバーになれてしまうことが、性的暴行の多さにつながっているのだろうか。また、ドライバーを監視するシステムについても、タクシー会社との違いは大きそうだ。
◆「夜でも安全な日本のタクシー」は世界でも珍しい
そもそも、答弁書内の数字が示す通り、世界的に見ても日本のタクシーの安全性はとても高い。お隣の韓国でさえ、深夜に女性が1人でタクシーを使う時はかなり警戒すると聞く。車内で寝るようなことはまずしないし、記録が残る配車アプリを利用して流しのタクシーは使わないよう心がける人が多い。さらには、家族や友人に「今○○社の○○という運転手のタクシーに乗ったから、もし○時になっても私から連絡がなかったら通報して」と連絡することもあるという。
もし日本でライドシェアが全面解禁になれば、今の安全性は失われる恐れが高く、これまで抱く必要がなかった不安感を抱かなければいけなくなる。小泉はこういった現状を理解したうえで、全面解禁を進めようとしているのか疑問だ。
ライドシェアだけではなく、解雇規制の見直しも検討している小泉。構造改革と称して非正規雇用を増やしてワーキングプアを多く生み出した父親同様、小泉が首相になると日本の雇用状況はますます悪化するかもしれない。メディアに取り上げられやすい人物だからこそ、小泉の掲げる政策にはより注意深くチェックしなければいけない。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
◆11年間で998件。日本と比べて性的暴行件数が多すぎる
政府が2023年10月31日に閣議決定した答弁書では、ライドシェアにおける性被害の多さが指摘されていた。
答弁書は2023年3月の衆院国土交通委員会での国交省答弁を引用をしており、輸送回数は年間で日本のタクシーは約5.6億回だったが、アメリカのライドシェア企業は約6.5億回と比較的近い数字だったという。その中で、アメリカのライドシェア企業の2020年における事故・事件の件数は、交通事故死者数は42人、身体的暴行による死者数は11人だったと報告している。一方、日本のタクシーはそれぞれ16人、0人と、その安全性の高さが伺える。
さらには、同年の性的暴行件数に関しては、アメリカのライドシェア企業は1年間で998件と、日本のタクシーの19件を大きく上回る結果であると記した。
◆良くも悪くもいろんな人がドライバーになれてしまう
いくら輸送回数が異なるとはいえ、性的暴行件数の違いには驚きを隠せない。日本のタクシーでも言えることではあるが、性被害を警察に話すことは容易ではない。泣き寝入りするケースも珍しくないことを鑑みると、この数字以上の被害が出ている可能性は高い。
ライドシェアでは、タクシー会社のドライバーになるよりも簡単にタクシードライバーになれる。企業が吟味して採用した人物ではなく、良くも悪くもいろんな人がドライバーになれてしまうことが、性的暴行の多さにつながっているのだろうか。また、ドライバーを監視するシステムについても、タクシー会社との違いは大きそうだ。
◆「夜でも安全な日本のタクシー」は世界でも珍しい
そもそも、答弁書内の数字が示す通り、世界的に見ても日本のタクシーの安全性はとても高い。お隣の韓国でさえ、深夜に女性が1人でタクシーを使う時はかなり警戒すると聞く。車内で寝るようなことはまずしないし、記録が残る配車アプリを利用して流しのタクシーは使わないよう心がける人が多い。さらには、家族や友人に「今○○社の○○という運転手のタクシーに乗ったから、もし○時になっても私から連絡がなかったら通報して」と連絡することもあるという。
もし日本でライドシェアが全面解禁になれば、今の安全性は失われる恐れが高く、これまで抱く必要がなかった不安感を抱かなければいけなくなる。小泉はこういった現状を理解したうえで、全面解禁を進めようとしているのか疑問だ。
ライドシェアだけではなく、解雇規制の見直しも検討している小泉。構造改革と称して非正規雇用を増やしてワーキングプアを多く生み出した父親同様、小泉が首相になると日本の雇用状況はますます悪化するかもしれない。メディアに取り上げられやすい人物だからこそ、小泉の掲げる政策にはより注意深くチェックしなければいけない。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki